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第4話 多勢に無勢

 アレーシアがゴンゴンと大きな扉を叩いた。


「四天王が一人、アレーシア=クレイトス!召喚者たちを連れてまいりました!」


 先ほどのへらへらとした声とは打って変わり、まるで軍人のようなハキハキとした喋り方だ。そう高らかにアレーシアが叫ぶとギギギと音を立てながら扉がゆっくりと開いていく。


 扉が開けばいくつものシャンデリアが反射した光が赤いカーペットに斑点を落としている。50メートル走ができそうなその長いカーペットを辿っていけばその先には玉座からこちらを見下している人物がいた。まるで血のような赤いドレスに輝く王冠、そして顔は白い布で隠されている女性が足を組んで、こちらを見つめている。


 しかしなぜだろう、顔は隠されているというのに彼女の前でへまをすれば首が飛ぶ。それを実感させるだけの威圧感が確かにそこにあった。


 そしてその玉座の前には見覚えのある仮面を被った人物が2人いた。カラス面、先程ノーマンと言われていた人物が着けていたものと同じである。片方は白いひげが見えるのでかなりの年配だろうが、体を鍛えていることがローブ越しにも分かった。

 もう片方はおそらく先程アレーシアの胸ぐらを掴み上げたノーマンという人物だ。腕を組みながら不機嫌そうにトントンと指を叩いて仮面越しにこちらを睨んでいるように見える。


 そしてレッドカーペットの横には黒いローブを身にまといながらも、先ほどの2人と違って仮面をかぶっていない50人ほどの大人がいた。彼らはこちらを品定めするように扇子や流し目越しに見ている。


 あぁこの視線は嫌いだ。

 エイガは帰りたくなったが、そんなことは許してもらえない。


「では召喚者諸君、女王陛下の御前に進んでくれ。間違っても台座に足をかけてはだめだぞ、それだけでも首が飛ぶからね」


 またシュッと親指で喉をかき切るしぐさをやってみせるアレーシアに引きながらも中々誰も足が前に出ない。当然だ、何をしたら死ぬのかイマイチ具体的にわかっていないのに、我先に進む奴なんているわけがない。


 自然と委員長の方に視線が集まりだした。委員長の顔が青く染まりだす。わかりやすい代表者、それが委員長だ。こんな時に人が頼るのは先導者だ。たとえそれが残酷な生贄を差し出す行為であったとしても。


 委員長がふとエイガを助けを求めるように見た。エイガはふと先ほど言った言葉を思い出す。


――委員長のことは俺が守ってやるよ!


 あぁ約束したのに。進むべきだと言っている心とは裏腹にこの足は動こうとしなかった。代わりにどんどん呼吸が浅くなる。


――誰か、誰か行けよ!


エイガが心でそう叫んだ時だった。


見慣れたおさげがエイガの横を通り過ぎて一歩を踏み出した。


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