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第43話 校外学習

「おいそっち包帯ないか!?」


「誰か!2級以上の治癒師!リリベルかニルを呼んでくれ!傷が膿だらけで治療ができん!」


エイガは周りのそんな声を聞きながら、足元に気をつけてノーマンに頼まれた治癒魔法薬を配り歩く。


「これ、本当に俺いていいのかな」


エイガはそう呟きながらも足を早めた。


 ノーマンに朝の訓練代わりに連れてこられたのは、緑の塔という緑の四天王、つまりノーマンの仕事場だった。

 日本でいう病院のような機関らしく、ノーマンの部下である治癒師が働いている。

 今日はノーマンが先日言っていた兵士の大々的な入れ替えの日らしく、国の治癒師は全員ここに集められ、治療にあたっていた。

 あたりは血の匂いと消毒液の匂いが充満し、ところどころうめき声や悲鳴が聞こえる。

 少なくとも子供が見学で来るような場所ではないとすぐに分かった。

 ちなみにモイはこの光景を見た瞬間眠そうだった目を見開いて呆然としたあと、しばらく目を覆っていた。

 エイガもうろたえ、入る前に一歩後ずさりしたほどである。

 

 しかしノーマンに言わせればこのような光景に慣れなくては、いざというときに戦うことも治療することもできない。

 そう諭されてモイとエイガはノーマンや、ノーマンの部下たちの雑用を手伝っていたのだった。


 

 「……戦いかぁ」

 

 エイガはノーマンに配れと言われた紋章をつけている治癒師たちに薬を配り歩きながら考えていた。


 ――俺たちいつか戦場に出なくちゃいけないんだよな。

 

 忘れていた訳では無いが急に現実にグイッと引き戻されるような感覚だった。

 自分たちは元々魔族と戦うために呼び出されたのだ。

 それは分かっている。

 しかし正直今の自分が戦場に行ったらすぐ死ぬ自信があるし、ただの足手まといだろう。

 ノーマンはほとんど戦場のことは喋らないし、モイも話題に出したりはしない。

 でもいつかきっと――。


 胸のあたりがぞわりとして、エイガは息を吸い直す。

 

 自分でも怖いのか、それとも案外受け止めているのか分からないがそのことを考えると妙に心がシンと静まる。

 俺は治癒師になりたいけど、俺って――。


「おい、ちょっと。お前その魔法薬こっちにもよこせって」


 そう治癒師の一人に声をかけられたのでエイガは立ち止まった。

 

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