第13話 来襲
歴史の授業でしか聞いたことのないような音が外で響き渡る。
「な、なんだ!?」
驚いたエイガは飛び上がり、モイもキョロキョロとあたりを見渡している。
ノーマンだけが落ち着いており、慣れた手つきで指が出た黒の手袋をつけ、その手に昨日エイガを治したときに使っていた大きな杖を取り出す。
「すまんな、招集がかかった。出かけるのはまた今度だ」
――これってなんのサイレンですか?地震?
文字は震えていたが、黒板にはこの国の言葉でそう綴られていた。
「おぉすごいなモイ、合ってるぞ。サイレンだが、これは魔族の襲撃を知らせるものだ。
「魔族って……あの女王が倒してくれって言ってた?」
「そうだ。だから俺は出てくるが、お前らは出るなよ。ブルム!」
そうノーマンが呼び出せば、どこからともなく昨日の蝶が一羽ノーマンの肩に止まった。
耳につけている大きな円と1本の細い円柱で構成されたピアスの根元に手を添えて話しながら玄関へと向かう。
「情報部、応答しろ!出現場所は東側城門上空!ドラゴン来襲!繰り返す!出現場所は東側城門上空!ドラゴン来襲!東側に避難勧告を出せ!属性は緑!アレーシア!お前は結界、ブリキは対処を頼む!怪我人はいつも通り俺の部下に任せろ!間違っても治癒魔法を安易に使うんじゃない!」
「ノ、ノーマンさん!」
緊迫した声にエイガは恐る恐る声をかける。
「あの……気をつけて行ってきてください!」
その言葉にノーマンとモイは目を丸くした。
するとノーマンは頬を綻ばせて、エイガの頭を雑に撫でた。
「久しぶりだよ、心配されたのは」
「……え?」
穏やかで、どこか寂しそうな笑顔だった。しかしその顔はまたすぐに引き締まった
「夜には帰れると思うが遅くなると思うから食事は適当に作って食べろ。いいな」
「は、はい!」
「情報部!避難はどうなってる!まだ残ってるぞ!10秒以内に終わらせろ!アレーシア!!結界が薄い!」
そう言ってノーマンは慌ただしく出ていってしまった。
呆然と出入り口を見ていたエイガたちだったが、ふとモイが黒板に何かを書きつけた。
――私エイガくんのそういうところ嫌い
「え」
その黒板を見せてモイは机へと戻っていってしまった。
「え、えぇ……」
突然の拒絶の言葉にエイガは戸惑うことしかできなかった。




