EP32異世界と保護と
★☆ 検索ワードは 【野草飯】 ☆★
タイトル忘れてもこれで見つかります!
市場でララと屋台の店主がチンピラ集団と対峙。
戦いになり、
店主達は鍋や包丁など調理器具で応戦
ララは頭目と戦い、苦戦。
おやじの一人が「筋切り1号機」で
チンピラの武器を次々と破壊。
頭目を撃破する。
騒動後、ギルド長婦人が現れ、
ララと田村に事情を聞く。
市場には、まだ騒ぎの余韻が残る。
夕食時を少し過ぎた頃、
市場の奥で田村はギルド長婦人に呼ばれた。
「田村様、塩はどちらから?」
「・・・。」
・・・現代のホームセンターで買いました、
とはまさか言えず。
「・・・では、こちらのお水は?」
「・・・。」
・・・自宅の水道水です、これも言えない。
「そうですか・・。では、言い方を変えましょう。」
「田村様、明日以降も、
この塩と水はご用意できますか?」
「・・・はぁ、まぁ。」
・・・用意はできるが、準備が大変だ。
田村は真意を測りかねる。
「では、商業ギルドが塩と水を
買い取らせていただきます。」
ララが口を出す。
「ちょっとそれは無いんじゃないかい。」
せっかく結んだ縁を、横からさらわれる思いだ。
田村にしても、商業ギルドと契約はしたくない。
組織との取引より、個人の取引の方が気が楽だ。
「ララ、すでに2回、市場で騒動が起きています。」
「それは、向こうが・・・」
言いかけるララを制して、婦人が言葉をつなぐ。
「また、起こるでしょう。その原因は塩と水です。」
「だから何だっていうのさ。」
ララは怒りながら、反論する。
「今日のようなことが続くと怪我人や、
死人がきっと出ますよ。」
確かに、今日は田村の所為で一人怪我人が出た。
「大丈夫さ、これまでだって
皆で乗り越えてきたから。」
ララが言うと屋台の店主達が周りで頷いている。
「まだ、わかっていないようですね。
あなたたちは狙われていますよ。」
「狙う?あたしらを?なぜさ?」
「塩と水が貴重だからです。
すでに他のギルドや組織が
動き出していると報告が来ています。」
「なんだって、田村が来てまだ数日だよ。」
ララと田村が会ってまだ7日目だ。
「あなた達は目立ち過ぎました。
お茶、水、そして、今度は塩です。」
確かに、ドクダミ茶騒動から始まり、
次に水ギルドの憲兵、
そして今日のチンピラ騒動、
確かに騒動が続き過ぎた。
「田村様、そして騒動の中心にあなたがいる。」
元を正せば、すべて田村の行動が原因にあった。
「我々、商業ギルドならば、
田村様をお守りすることができます。」
妙な事になった。
最初はララとの水の契約で始まった事が、
次第に大きくなっている事を感じる。
水を持ってくるだけだったのが、
手土産に塩や野草を持ってきた為、
騒動が大きくなってしまった。
責任を感じてしまう。
「田村、そんな事を聞くんじゃないよ。」
ララがかばうように田村の前へ出た。
「ララ、水ギルドの憲兵の時のように、
もう、あなたの手に負える話ではないの。」
婦人が諭すように言う。
「今日だってそうでしょ。
市場はまだ開いているのに、
屋台を終わらせたのでしょ?」
「それがどうしたのさ?」
「屋台が閉まっていなければ、
今日の騒動は起きなかったかもしれない。
この市場にだけ塩があるので
騒動が起こったのよ。」
「どういう意味さ。」
ララは聞き返す。
「すべて、この市場にあるからいけないの。
商業ギルドが他の市場に貴重な塩・水・お茶を
配ったらどうなるかしら。」
「・・・分散する?」
「そう、今日はこの市場の入場者が大幅に多いと、
聞いています。」
確かに、田村が来た時、屋台に行列があった程だ。
ララはお客を捌ききれず、屋台の営業を断念した。
きっと、常連のお客も諦めた人がいるだろう。
すでに、この市場の屋台だけでは、
今のお客を捌ききれない事は田村にもわかる。
「この市場だけの問題ではないの、ララ。」
婦人は説明した。
商業ギルドでの塩の供給が止まってから数カ月。
すでに、この街の人全体が困っている。
追い打ちをかけるように、乾季に入った。
そこに、一連の騒動で一気に広がってしまった。
しかも、田村は今日に限って現代から、
ポリタンク18L 水道水入り
塩 5kg
という、貴重な資源を大量に持ってきてしまった。
商業ギルドで問題にするのも当然だ。
重いし、面倒、と思いとった自分の軽率な行動を
田村は後悔した。
手土産も逆にララには迷惑になるかもしれない。
商業ギルドとしても、もう動かざるを得ない。
ギルド管轄のいち市場にだけ物資があるのだから。
そこまで、説明されると、
すでにララには何も言えなかった。
ことが街全体の話になってしまったからだ。
こうなると、田村自身も危うい状況だ。
大量の水をどこかから持ってくる人物。
しかも、塩まで大量に用意できるのだ。
「商業ギルドとしては田村様を保護する事が、
最善だと考えております。」
「・・・保護?」
「そうです、保護です。
田村様、失礼ですが今日はどこから市場に入り、
何をされていましたか?」
今日は、外に1環街離れた所から入り、
そのまま、ララの屋台を手伝っていた。
「そうですか、それはまずいですね。
田村様を見ていた人が多すぎますわ。
それと、荷物はここに置かれたので?」
荷物もララの屋台の脇に雑然と置かれている。
「それでは、すでに知れ渡っていますわね。」
婦人は思案顔で目を細めて、
手に持った扇子を静かに仰いだ、しばしの沈黙。
「・・・商人は情報が命です。
それでは田村様の塩・水の情報は
すでに各方面に回ってしまってますわ。」
ララに急かされるように、
屋台を手伝った事も、
目立つ原因になってしまった。
「田村様、商業ギルドは正式に
田村様を保護したいと思います。
その代わりに、我がギルドに、
どうかご助力をしていただけませんか?」
田村はララを見る。
ララはうつむきながらも唇を噛み、
弱々しくうなずくしかなかった。
折角、市場に笑顔が戻ってきたのに。
常連さんや冒険者が屋台の物を食べて、
おいしい!美味い!と言っていたのに。
ララの中で、その光景が脳裏に浮かんでいた。
ことの成り行き上、田村も
「・・・わかりました。」
そう、答えるしかなかった。
皆様へ
お読みいただき、ありがとうございます。
出来ればリアクションをお願いします。
作者より




