EP29異世界とイメージと
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タイトル忘れてもこれで見つかります!
田村は小鍋で唐揚げを揚げ、皆に振る舞う。
ビールも用意し、屋台の面々と酒宴が始まる。
ポンチョが登場し、勝手にビールを飲み干す。
唐揚げの旨さにポンチョが、包丁作りを約束。
和やかな雰囲気で宴が続き、皆が唐揚げを絶賛。
しかしその肉は「ジャイアントラット」と聞き、
田村は衝撃を受ける。
市場の奥で店主達が美味い唐揚げに喜ぶ。
ドワーフのポンチョも酒に喜ぶ。
現代人田村は、ネズミ肉に泣く。
・・・鶏肉だと思いたかった。
田村がそうぼやいていると、
「田村よ、ホレ出来たぞ。」
言いながら、ポンチョが筋切り器を持ってきた。
現代でもある筋切り器。
構造は簡単で、剣山のような物を肉に刺す道具だ。
刺さった肉は筋が切れて柔らかくなる。
穴が開くので、味も染み込みやすくなるのだ。
ポンチョはほんの数時間で作ってきてくれた。
でも、なんか違う。
これ、武器だよな。
持ち手の柄がある。
しっかり握れるようにかなり太めだ。
手が滑らないように柄頭までついている。
・・・まあ、少し重そうだが許そう。
その上に鍔がある。
普通、鍔は相手の剣から、手を守るものだ。
・・・何をここで守るんだ?相手は生肉だ。
鍔から4本、細い小さな剣の刃が突き出てる。
ちょっと長めの両刃ナイフくらいの刃。
・・・4つ刃がついた・・片手剣?
刃刃刃刃
||||
||||
鍔鍔鍔鍔
柄
柄
柄頭
なんだこの特殊な剣は?
筋を切るより、モンスターを切り刻むものでは?
熊の爪で切り裂く感じになりそうな・・・武器?
店主達が、ドワーフ製の武器?に興奮する。
元冒険者の店主はダンジョンで試そうと言う。
「ドワーフ製の武器だぞ。ロマンだろ。」
何度か振り回して、使い心地を試していた。
それは、調理器具のはずだ。
「おい、ポンチョ。これはなんだ、筋切り器か?」
田村もそれを試す。
筋切りならばと、まな板の上で筋切りの素振り。
まな板に少し刃先が当たった。
まな板が熊の爪痕のように4つに切れた。
「どうじゃ、凄い切れ味じゃろ。」
自慢げなポンチョ。
筋も切れるが、使ったらまな板ごと切れるだろ。
切った肉も細切れになるだろ。
・・・イメージとは大切なのだな。
田村は学んだ。
おやじ達と話しているポンチョを呼んだ。
まな板の残骸をみせる。
思案気に考えるポンチョ。
「おい、ポンチョ。これは武器か?」
「うむ、武器にもなりそうじゃな。」
ダンジョンに行きたそうだった店主の目が輝いた。
・・・いや、いや、いや、そうじゃない。
「おい、ポンチョ。俺は武器を頼んだか?」
「武器にもなる、筋切りじゃ。」
店主の目がさらに輝く。
もう、ダンジョンで使いたくてしょうがない。
剣を振って見せる。
新しい武器の誕生である。
その名も、熊爪短剣?
その武器で斬られた相手は、瞬時に細切れだ。
「ハハハハ。」
もう、笑うしかなかった。
確かに、筋も切れるし、
相手の命すらも斬れることだろう。
筋切り兼武器を持った店主が相手を突き刺して、
仕留める仕草をする。
思案顔になる、田村とポンチョ。
武器だ、もう武器にしか見えない。
「ポンチョよ、試作2号機と、いこうか。」
「・・・うむ。」
また地面に絵を書いて、説明する田村。
今度はちゃんときっちりと説明した。
形、用途、材質、注意点、全部。
イメージ共有、大事。
会社で新人の頃、課長にアレやっといてと言われ、
ポカーンとしていた。
・・・アレがわからん。
イメージ無し、知識無し、経験無し。
その後、慌てて先輩にいっぱい質問したあの頃。
思い出すよ、社会人一年目。
・・・ポンチョよ、俺が悪かった、許せ。
ポンチョに謝り、試作2号機に向けて会議をした。
「明日もあるんだ、今日はお開きにしようか。」
ララがみんなにそう告げた。
田村はポンチョとの会議を終えたばかりだった。
明日にはろ過機もできるそうだ。
仕事が早くて、本当に助かる。
田村も帰宅しようと荷物をまとめていると、
「明日もよろしくな。」
ララから声がかかった。
「そういえば、ララ、甘いものは嫌いか?」
田村はララに通りすがりに、質問した。
異世界名物の甘味事件が発生していない。
女性たちが現代甘味に驚く、恒例のアレだ。
「え、甘いもの?」
「そう、ケーキとか、今日のシュークリームとか。」
「なんだい、それ?」
・・・?
「あげただろ、昨日も?」
・・・?
お互い、合わない意見。
「昨日のあげただろ、白いの。」
「え、珍しい置物だろ、教会に持ってた。」
「お、お供え物。」
「うちじゃ、飾る場所なんかないからな。」
持ってこられた教会も困るだろ。
「なんか、神官が喜んでたぞ。」
・・・まさかのお喜び。
そういえば、渡しただけで教えてなかった。
そうか・・・イメージ共有、ほんと大事。
食べ物であると真実をララに伝えた。
「食べ物?あれが?あんな白いのに?食べ物?」
・・・確かにな、白いし綺麗だしな。
異世界人たちとのズレを感じるな。
今日渡した手土産のシュークリームも、
甘くておいしい食べ物だと伝えた。
シュークリームを手荷物から出すララの姉御。
食べてみろと促す田村。
「食べられるのか?この茶色の塊。」
「もちろん。甘くておいしいぞ。」
躊躇いながら食べるララ。
1秒後。
・・・むさぼり食べるララ。
1日遅れの異世界甘味イベントの発生である。
「甘いな、美味いな!」
口の周りにクリームがついてる。
小さい子が食べたあとのようだ。
「昨日あげたケーキも、甘くて美味いぞ。」
教えると、弾丸のように教会へ飛んでいった。
・・・返してもらえるといいな、ララよ。
明日の甘味を考えながら帰途に就いた。
うーん、めちゃくちゃ難産。




