EP28異世界と料理と『モンスター肉で唐揚げ編』
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田村はドワーフのポンチョを連れて市場へ。
ろ過機の構想を説明し、ポンチョに製作を依頼。
血抜き水を再利用するため、簡易ろ過機を考案。
料理は屋台の皆にふるまう異国の唐揚げ。
ポンチョには筋切り器も頼み、報酬は「酒」。
屋台終了後の宴に向け、準備は着々と進んだ。
田村は小鍋で唐揚げを揚げている。
ジュワ!
衣のついた肉を入れると、匂いが広がる。
香ばしい醤油の匂い、ニンニクの香り。
横にララが寄ってきた。
どうやら、異国料理に興味があるようだ。
「なあ、その油、何の油だい?」
「この粉はなんの粉だい?」
「調味料は異国の品かい?売ってくれよ?」
揚げている最中に質問攻めにあう。
揚がった唐揚げを鉄皿に移しながら、
「油は植物のさ。」
「この粉は小麦の粉と、こっち・・なんだろな?」
「調味料は異国のだが、量が少なくて売れない。」
田村はそう答えた。
ララは質問を続けようとしたが、
「おい!お二人さん、仲良しだね~。」
「もう、くっついちまえよ!」
「いちゃつくなら、外でやれ~!」
屋台のおやじ達の下品な冷やかしの声が飛ぶ。
ララが怒って、近くの箒を投げた。
苦笑いしながらも、唐揚げを揚げ続ける。
全部揚げるのに、予想以上に時間がかかったので、
「温かいうちに食べましょうか。」
と、皆に勧めた。
鉄皿に盛られた唐揚げから、湯気が昇る。
即席の机の上に置かれる唐揚げ。
「酒もあるから、みんなコップを用意して。」
田村が言うと、すぐに差し出されるコップ。
「おい、いつ以来だ、酒なんて!」
「今日はどうした、お祭りか?」
みんな、酒と聞いて喜び勇む。
持ってきた銀色に輝く缶ビールを開ける。
プシュ!
こぼれ出す黄金色の液体。
・・・その時。
どこからともなく駆け寄るドワーフ。
名はポンチョ。
屋台が終わる頃に、酒宴に誘たがもう来てたのか。
走りこんできて、ビールを缶ごと奪われる。
唖然とする店主のおやじ達とララ。
瞬間!
ポンチョがビールを一気飲み。
怒り出す店主連合!
無視を決め込むドワーフ1名。
平手でポンチョの頭を叩く田村、1名。
頭にくる衝撃にも無視を決めこみ、飲み続ける。
3秒後。
「ぶふぁー。旨い!!」
飲み干される缶ビール。
怒号が吹き荒れる会場。
片手で潰される空き缶。
グシャ!
にらむドワーフ。
ララ、にらみ返す。
にらむドワーフ。
かまわず、往復ビンタ!
止めに入る田村。
沸き起こるララへの声援。
ここまでわずか30秒。
やっとララの手が止まった。
ほっぺが赤く染まったドワーフ・ポンチョ。
「ララ、その辺で。まだ、あるから。」
ビールはあと4本残ってる。
「なに!」
ドワーフが目をむく。
「まだ、叩き足りないのかい!」
再度、ララは怒り出す。
ララをなだめてから、ポンチョに言う。
「ポンチョ、うまい酒の飲み方を知らないのか?」
「ここ数十年、飲んどらんわ。」
「なら、あれをつまみに飲んだらうまいぞ。」
そう言って唐揚げを指さした。
「なんだ、あれは肉か?」
「俺の国の肉料理さ。うまいぞ。」
「わしゃ、ごめんこうむる、
ここの肉は食えたもんじゃない。」
また、屋台のおやじ連中が怒り出す。
田村はそれを手で制する。
「それじゃあ、美味くなかったら、
俺の飲む酒の分は全部ポンチョにやるよ。」
ほう、とドワーフは話にのってきた。
「代わりに美味かったら、そうだな・・・、
みんなの包丁でも作ってもらおうか。」
「わかった。」
即答であった。
「おい、ドワーフ製の包丁だって。」
「冒険者の時にどれだけ憧れたか。」
「まあ、武器や防具じゃないけどな。」
店主達の怒りがすぐに収まった。
すぐ、鉄皿から唐揚げをつまもうとするポンチョ。
「まあ、待てよ。今、揚げたて作るから。」
田村は言ってから、再び揚げ始める。
ジュワ!
唐揚げの揚がる匂いがポンチョの鼻先に届く。
「いい匂いではないか!」
驚くドワーフのポンチョ。
自分の料理ではないのに、何故か嬉しい店主達。
数分後、唐揚げが揚がった。
油をよく切る。
ポンチョの前の皿に揚げたて唐揚げを置いた。
ポンチョは早速フォークで刺す。
サクッ!
まだ湯気があがる香ばしい唐揚げを食べる。
見守る一同。
「・・・美味い!!こりゃ、なんじゃい。」
外はサクサク、中はジューシー。
醤油を吸った肉が旨味と絡み、口の中で広がる。
筋切りもしたので余計に醤油が旨味を引き立てる。
「いくつでもいけそうじゃわい。」
「・・・ということは?」
田村が先ほどの約束を聞き返す。
「わかった。包丁を人数分作ってやる。」
そう聞くと、店主のおやじ達が歓声を上げる。
「ドワーフ製の包丁、くれるのかよ。」
「最高級品だぞ。」
「貴族の料理人しか、持ってないんじゃないか?」
そう言いながら喜んでいる。
田村はみんなに酒を注いで回る。
肩をバンバン叩かれながら、お礼を言われる田村。
「やるじゃないか。」
ララの姉御もそう言って褒めてくれた。
そして、唐揚げをつまみに、酒宴が始まる。
みんな、美味い!といいながら食べられる唐揚げ。
すぐに、鉄皿に盛られた唐揚げはなくなった。
ビールをちびちびと飲みながら、皆楽しげだ。
先程まで、険悪な場の空気だったが、
ポンチョもその輪の中にすでに混じっている。
田村も揚げたてを摘まみながらビールを飲む。
・・・美味い!
飲みながら、気になっていた事を聞いてみた。
「なあ、これ、なんのモンスターの肉だ。」
味は鶏肉に似ているし、鳥系だと予想していた。
・・・なんか大きな鳥とか、鶏の闘鶏みたいな。
ララの姉御がこっちを見て答えた。
「ジャイアントラット。でかいネズミさ。」
・・・!
嘘、これ、ネズミ肉!
予想とは違う、いや斜め上の真実!
「低階層で取れるんでね、こいつは。安いのさ。」
・・・そうか、屋台で使うんだもんな。
ショックを受けて顔色が変わる田村。
・・・全て食べてしまった。
そんな田村を他所に唐揚げは全部平らげられた。
・・・報告連絡相談、重要。
報告・・・ 屋台の料理が何の肉を使っているか、
事前に聞くべきだった。
連絡・・・ ララやポンチョからの情報をしっかり
受け取るべきだった。
相談・・・ みんなに肉の正体を確認しておくべき
だった。
社会人として反省した田村だった。
22~23時の読者の皆様へ
お読みいただき、ありがとうございます。
なお、この時間の投稿には
作者の悪意が秘められております。
お腹、減りませんか?
作者より




