EP25異世界と細心と
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タイトル忘れてもこれで見つかります!
ボンズに勝利後、田村は市場でドクダミと塩を渡す。
ドクダミ茶で肉が驚くほど旨くなり、屋台が大繁盛。
働き詰めの田村は異世界でも仕事三昧。
しかし、店主たちから感謝され、久々の充実感。
ララに「明日もよろしく」と言われ、やる気が芽生える。
田村は前向きな気持ちで現代へ帰る。
駅前のコンビニから、明るい光が漏れていた。
田村はその前で足を止める。
まだ、夕食は食べていない。
お腹は、正直かなり減っている。
けど・・・今日はコンビニ弁当は買わない。
結局、少し離れたところにあるスーパーに行く。
食べたいものがある。
小麦粉・片栗粉・ショウガ・ニンニク・油・醤油。
そして、銀色に輝く、ビールを6本。
手土産に塩、今日の甘味はシュークリーム。
けっこう買ってしまった。
そしてドクダミよ、お前どこにでも生えてるな。
スーパーの脇のちょっとした茂みで見つけた。
手早く摘み取る。
よし、これで行こう。
異世界へ行く準備を整えて、早めに自宅を出る。
リュックに水とビール。手に食材のビニール袋。
すでに、だいぶ重い。
こうして、自宅を離れた。
異世界に着く。
今回は外周部の近くに出る。
街並みには少しどんよりとした雰囲気が流れる。
道端には泥にまみれた浮浪者が横たわり、
目だけがこちらを追っていた。
不穏な空気が感じられる。
まずい、市場からかなり遠い。
結構、しんどい距離を歩くことになる。
しかも、この辺りは治安が悪い。
この荷物を持って襲われたら、逃げ切れそうもない。
細心の注意が必要だ。
そう思って、腰からナイフを取り出す。
暗がりの路地に目を凝らし、ギョロリ。
遠くから聞こえる喧騒に、ビクッ。
こけないように足を前に進め、ソロリソロリ。
細心に、細心の注意を重ね、細心に進み出す。
「おぬし何をしてる、こんなところで。」
真後ろから声がかかる。
ヒャ!
驚き、情けない声が出た。
いつぞやのドワーフが立っていた。
「なんじゃい、そんなナイフなんぞ持って。」
驚いた田村は尻餅をついていた。
俺の細心を返してほしい。
「そうじゃ、あの酒の缶は融通してくれそうかの。」
前にこのドワーフからアルミをせがまれていた。
「わしはあれで、作りたいものがあってのう。」
すっかり忘れていた。
だが、今日は銀色のヤツがリュックの中にある。
交渉だ。
社畜スキル開放するしかない。
危険な外周部から市場へ着くために、護衛が必要だ。
鍛えぬかれた社畜交渉術でドワーフを味方につける。
それには武器が必要だ。
しかも飛び切りの誘惑兵器。
リュックから、固く、光を宿した兵器を取り出す。
銀色に輝く誘惑兵器・・・缶ビール350㎖!!
「それじゃ、これ・・」
田村がドワーフに話しかけた瞬間だった。
ドワーフの目に焼き付く、銀色の缶ビール。
もはや理性ではない、本能が彼を狂わせる。
一目散に向かってくるドワーフ。
田村が瞬きをする前に手から、奪われるビール。
プルタブの開け方がわかないドワーフ。
田村の腰にあったナイフがドワーフの手に。
・・・いつの間に!
ビール缶に躊躇なく突き刺さるナイフ。
プシュッ!!
こぼれ出す黄金色の液体。
その液体を一滴も逃さずに飲む、ドワーフ。
ここまでわずか3秒。
「話を聞きやがれ!」
ドワーフの頭に田村のツッコミが入る。
だが、ドワーフは動じない。
ギロリと田村をにらむ。
にらみながらも、飲むことに全集中。
ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ、グシャリ!
「ぶふぁー。旨い!!」
最後にビール缶を片手で握りつぶした。
ドワーフは鬼の形相で、息を吸い込むと、
「・・・カネならない!!」
大音量で田村に言い放った。
いや、このパターン前もやったろ。
前にビール1本に全財産はたいたのだろ。
俺の懐にまだあるぞ、その金。
2回目に飲んだ時だって、金ない宣言したろ。
それで、
「・・・だが、当てならある。」
そこまで一緒かい。
「いらん、いらん、そんな当てなんぞ。」
そう言いながら、田村は立ち上がった。
前回、ビールと引き換えでドワーフ製大剣を貰った。
・・・重くて持てなかったから、あげちゃったけど。
ドワーフにそんな事より、護衛を頼む。
「なんじゃ、そんなことでええんか。」
頼もしい、頼もしすぎる。
そういう事で、市場までの最強の護衛ができた。
道すがら、ドワーフに尋ねる。
「なあ、あんた名前は?」
まだ、名前すら知らなかった。
言ってみれば、朝の通勤中でよく見かける人だ。
「そういえば、名のっておらなんだ。パンチョじゃ。」
おっと、まさかのメキシカン。
陽気なおじさんがマラカスを振っているイメージだ。
ギャップに笑いをこらえて、田村は自己紹介した。
気になっていることを、この際聞いてみる。
「この間もらった金貨、あれはめずらしいのか?」
「そうじゃな、ありゃ、わしらの国の通貨だからな。」
そう言いながら、パンチョは教えてくれた。
この世界の通貨大きく3種類に分けられる。
まず、ドワーフ通貨。
偽造が難しく、品質が高い。
そのため、ダンジョン内で最も価値がある。
次にダンジョン産通貨。
ダンジョンの様々な所で発見される。
謎が多く、通貨ごとに価値が異なる。
そして、街通貨。
街ごとに作られ、街なかで使われる。
金属の種類や質によって、価値が変わる。
ほうほう、と異世界常識を教えてくれた。
田村にとって非常に助かる。
「助かるよ、よく知ってるな。」
ドワーフのパンチョが意外に知識人だと思った。
「それは、ほれ、長く生きてればこのくらいな。」
「長く・・・、パンチョ、一体、歳はいくつだ?」
「ん・・・200を過ぎたばかりじゃよ。」
・・・おぉ、かなりお年上、さすが異世界人種。
話を聞いて、慌てて言葉を正す田村であった。
読者の皆様へ
現在、スマホで見やすいように手直し中。
最新話では見やすくなったかと思います。
休憩や、ひと時の時間に気軽にお読みください。
作者より。




