EP24異世界と仕事と
★☆ 検索ワードは 【野草飯】 ☆★
タイトル忘れてもこれで見つかります!
サラリーマンの田村は、異世界での約束を果たすため、
再び水や土産を持って異世界へ戻る。
懐かしい市場にたどり着くが、因縁の少年ボンズに遭遇。
全力で逃走の追走劇。
追いつかれたものの、なんとか市場に逃げ込む。
ララの姉御に再会し、ボンズは肉串をもらって去った。
ボンズに勝ったと勝利の余韻もつかの間。
「それで、お水は?」
ララの姉御は田村を覗き込みながら催促した。
仰向けに倒れている田村はリュックを指さす。
「はやく、出してくれないか。」
息を整えながら、リュックをあさる。
水のペットボトルを渡すと、すぐに用意を始めた。
「さあ、あんたたち、仕事だよ。」
「おう!」
屋台のおやじ達が威勢のいい返事をする。
水瓶に水を注ぎ、中に肉が次々に漬け込まれていく。
田村はララが屋台の準備に入る前に、
「それと、お土産だ。」
持ってきた、ケーキと塩とドクダミを渡そうとする。
ドクダミを見て、ララの顔色が変わった。
「田村、またその葉をくれるのかい。」
・・・?
現代の甘いケーキよりも、
異世界では高価なはずの塩よりも、、
ララはドクダミを一番嬉しそうに受け取った。
・・・そこらの公園で摘んだドクダミだよ。
・・・現代ならただの雑草だよ。
ドクダミを見たララの姉御が、指示を出しはじめる。
「冒険者ギルドに連絡して、追加の肉を頼むよ。」
急に慌ただしくなる市場の関係者。
ララと屋台のおやじ達が急ピッチで準備しだす。
田村はその迫力に圧倒されていると、
「田村!あんたもこっちで手伝っておくれ。」
まさかの声がララからかかる。
ララは本当に高速で動き回っている。
「田村はこっちでお茶をお願い。」
いいながらも、ララの手は動いている。
「へぇ?」
田村がララの指示にもたついていると、
ララが鋭く声を上げた。
「早く!」
「はい!」
と思わず答え、ララの隣でドクダミ茶の準備だ。
そうこうしてるうちに冒険者ギルドから肉が届く。
「田村、この塩もいいのかい?」
手土産だと、田村が伝えると、
ララは他の店主たちにお裾分けしだした。
「こんな上物!いいのかい。」
「兄ちゃん、あんがとよ。」
おやじ達の感謝の声があちらこちらであがる。
これ、現代なら150円くらいの塩なんだけどな。
まさか、こんなに喜んでもらえるとは。
お茶の準備ができると仕込みも手伝わされた。
現代で仕事、異世界でも仕事。
現代と異世界のダブルワークだ。
おかしい、何故こうなった?
思っているうちに夕暮れ時を迎える市場。
辺りに住む街の人達が市場にあふれる。
人種は様々だ。
獣人の親子がしっぽを揺らしながら列に並び、
ドワーフたちは豪快に笑いながら肉串にかぶりつく。
その間を、小柄な小人族がするりと駆け抜けていく。
市場にも活気が出てきた。
肉の焼ける香ばしい匂いが、市場を席巻する。
たちまち、屋台に行列ができ始める。
「うめぇ!なんだこれ!」
「塩までふってあるじゃねえか!」
「何か月ぶりだよ、こんなうまい飯は!」
市場は、たちまち絶賛の嵐に包まれた。
どの屋台でも同じように、賛美の声が吹き荒れる。
声とともに行列が鬼のように伸びていく。
ララも屋台の店主達も、負けじと客を捌いていく。
行列の横の店主もこの波に乗ろうと声を振り絞る。
殺気あふれる屋台の台所。
威勢のよい声が飛び交う市場。
お客からは旨い飯にありつけて絶賛の声が絶えない。
ますます、仕事から抜けられなくる田村。
田村の仕事は、血抜きした肉をお茶に漬ける係。
・・・これは何の仕事だ?
意味も分からないまま、ひたすら手伝いに奔走する。
「兄ちゃん、肉!」
「おい、こっちもだ!」
はいよ!と田村は返し、店主の声に追い回される。
次第に集まった人々の食欲は満たされていく。
忙しいピークが過ぎ去った頃合いに、ララに聞く。
「ララ、俺は何の仕事をやらされているんだ。」
「あ、そうか、田村は知らないんだった。」
そこで聞くドクダミ茶の隠れた驚愕の事実。
嘘だと思いながら、1本頂く。
なんてことでしょう。
飲んだらそれほど旨くないドクダミ茶に漬けると、
あの硬く筋張ったモンスター肉が、とても柔らかく。
獣臭溢れていた肉が、あら不思議、臭みナシ。
肉から出る旨味とほんのり味付けられた塩味。
うまい、うますぎる!
どこかのCMのようだ。
コンビニ飯なんか食べなきゃよかった。
後悔した。
この肉串で一杯飲んだら最高なんだけど。
そう思いながら仕事に精を出す。
しばらくすると茶に漬けていた肉が全部はけた。
「もう、肉が切れました。」
田村が屋台のおやじ達にアナウンスする。
それを期に屋台も売り切れしだい店を閉めていった。
屋台を閉めた店主たちが田村のそばに集まってくる。
「ありがとよ、兄ちゃん。」
いかつい屋台おやじからのお礼の言葉が身に染みる。
いつ以来かな、仕事して感謝されるの。
疲れとともに充足感を感じた。
ララの姉御も屋台を閉めて、田村の横に来る。
「今日はありがとよ、見てみろよ。」
市場の出口の方を向く。
お客さんが嬉しそうに市場から出ていく。
親子連れの姿も見える。
現代で言えば、祭りの終わった後のようだ。
顔には、みな笑顔が浮かんでいる。
微笑ましい風景だ。
「街のみんなが笑ってるの、ほんと久しぶりさ。」
その言葉に、ただの感謝ではない想いが滲んでいた。
ララは田村の肩に手を置き、
「明日もよろしくな。」
屋台の店主からも、熱い期待の眼差しが向けられる。
仕事でこんなに期待されるのも、いつ以来か?
疲れの中に、ほんの少しやる気の芽が顔を出す。
・・・明日も頑張ってみるか。
そう思いながら、現代へ帰宅するのであった。
皆様へ
GWはどうでしたか?
楽しまれましたか?
作者は風邪気味になってしまいました。
皆様もお気を付けください。
作者より。




