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EP20ララの姉御と市場の仲間と

★☆  検索ワードは 【野草飯】  ☆★

タイトル忘れてもこれで見つかります!


給料日まであと1日と異世界に来た日。

野草茶が災いし、

田村は市場で追われる身となった。

混乱の中、彼を救ったのは、ララの姉御。

田村が外周へと走り去り、

ララの姉御は内周へ向かう。

これは、あの別れたの直後の異世界物語。

ララの異世界での日々を描く、

もうひとつの物語である。

異世界で田村と別れた直後の話だ。

ララが振り返ると、

外周へと走り去る田村の後ろ姿が

小さくなるのが見えた。

背中が遠ざかるのを見届けると、

ララはすぐに内周へと足を向けた。


途中、知り合いの店に立ち寄る。

「おばちゃん、ちょっと、

これ預かってもらっていいかい。」

おばちゃん店主が「ああ、いいよ。」と快く頷く。

ララはビニール袋に入ったドクダミ葉と

ペットボトルの水をカウンターの隅に置いた。

「助かるよ、ありがとう、おばちゃん。」

お礼を述べながら、店を後にする。

しばらく内周の方に走り、

そろそろいいだろうと息を吸い込む。

「見つけた!見つけたよ!こっちだよ!」

ララの大声がこだまする。

ララの声をきっかけに、あちらこちらで、

「こっちだ!」

「そっちに行ったぞ!」

と色々なところで声があがる。

そうして、時間を見計らい、水を回収して、

ララは再び市場に向かって歩き始めた。


市場の入り口に近づくと、

いつもの賑やかさが戻っている。

商品を買い求める客たちの談笑や

子供たちの甲高い笑い声も混じり、

市場の喧騒は戻っていた。

同じ時間に続々と帰ってきた屋台のおやじ連中は、

何事もなく、すぐに夕食の仕込みに入る。

そんな中、ララは鼻歌交じりに

血抜き用の水瓶にペットボトルの水を注ぐ。


「さあ、商売商売!肉を入れておくれ!」


ララが声をあげると、

屋台のおやじ連中が夕食用の肉を

水瓶に落としていく。

肉の取り仕切りも終わると

ララも自分の屋台で仕込みに入る。

彼女の肉串は屋台では安い事で評判になっている。

普通は捨てる腸や胃袋などの内臓を使うためだ。

むね肉と内臓を交互に挟み込む。

肉の下処理が丁寧なので、

他の店より血生臭さが少ない。

何より工夫しているのが焼き台だ。

石炭の火が直接当たって、

油臭くならないように工夫してある。

創意工夫で、油臭さ血生臭さを減らしているのだ。

しかも手頃な価格なので、すぐ売れる。

買いに来るのは、

年寄りや浮浪者、

身寄りのない子供たちだ。

稼ぎの少ない人ばかり。

そういった者たちにも優しく接するララの屋台は、

いつも顔なじみの常連客に囲まれる。

稼ぎの良い冒険者はララの店では、

買わないようにしている。

そういう暗黙の了解が市場にはある。

ララは元々冒険者。

料理が好きで、冒険者を止めてしまった。

冒険者の頃から、人の世話好きで、

面倒を見た冒険者も多い。

だから、冒険者には顔が利く。

屋台のおやじ達も冒険者からの引退移籍組が多い。

足を失くした者や、

体のどこかが欠損しているような者が

冒険者を引退する。

引退して食うに困った連中が、

ララの紹介で屋台を始めてしのいでいるのだ。


そろそろ、夕食の時間だ。

あちらこちらで、威勢の良い商売人の声があがり、

混んできた市場に活気がみなぎる。

そんな中、ララの店に不審な影が現れた。

水ギルドの憲兵たち。

その中で、ひときわ威圧感を放つ男が、

こん棒を手にしてララに近づいてくる。

「水ギルドの検閲だ。ララのお嬢さん。」

ララは軽く肩をすくめ、気だるげに答える。

「なんの用だい。あんたら。」

「だから検問さ。・・・なんだぁ、この水は。」

肉をつけてある水瓶をこん棒でさす。

「それは貰い物の水だよ、文句あるのかい?」

「貰い物?乾季のこの時期にか、嘘をつくな!」

憲兵の一人が声を荒げた。

ララを見下すよう口調には、

明らかに攻撃的な意図があった。

「この間、雨水が盗まれた、

・・・こりゃあ、その水だろ!」

「これはある男に貰った水さ。」

「じゃあ、その男をさっさと出せ。」

押し問答が始まったが、

ララは冷静を保ちながらも反論する。

だが、四人の憲兵に対して、

ララは一人きり、次第に押されていく。

聞き耳立てていた屋台のおやじたちが

手を止め、武器を手に取る。

「なに言いがかりつけてんのさ、

あんたら揃いも揃って暇人だね。」

「なにを!」

憲兵の一人がララの屋台のカウンターを叩いた。

その時、

カウンターにあった仕込み中の肉の破片が、

落ちる。


ポチャッ。


夕食後のお茶として振舞おうとしていた

ドクダミ茶の鍋に落ちた。

ララだけが気が付く。

ダンジョン産の湧き水を使っているのに、

肉が浮かんでいる。・・・溶けてない。

・・・どういうことだい?


憲兵はそんな事も知らずにララをまくしたてる。

「いいから、その男を出せ。そいつが盗人だ。」

段々魂胆が見えてきた。

・・・こいつら、田村を捕まえて、

なんかする気だね。

反論しようとすると、

見かねて、常連のおばあちゃんが口を挟んだ。

「ねぇ、ちょっと、あんたら、

女一人に何やっているのさ。」

「うるさい、だまってろ!」

乱暴に憲兵はおばあちゃんを突き飛ばす!


「・・・・お前ら!」

常連でいつも優しいおばあちゃんが突き飛ばされ、

怒ったララがついに動いた。

屋台のおやじ連中も、

包丁やら、フライパンを手に取り集まりだす。

4人の憲兵達は不穏な雰囲気に剣を抜き放つ。

素手で立ち向かうララ。

剣を振る憲兵の懐に素早く入り込んで、

正拳突きを繰り出す。

正拳突きが憲兵の胸に決まり、

相手は一瞬で後ろに倒れ込んだ。

屋台のおやじ達も、すでに戦闘になっている。

さすがは元冒険者達、

相手を避けながら見事な立ち回りだ。

一人のおやじが影から忍び寄り、

うなるフライパンの一撃。

不意を突かれた憲兵が前のめりに倒れこむ。

横にいた憲兵は斬りかかったが、

剣は空を切るばかり。

片腕の屋台のおやじが、

包丁の背でその憲兵の手の甲を叩き、

剣が空中に舞う。

すかさず、ララが回し蹴りを喰らわせて、

憲兵をぶちのめした。

最後の一人になった憲兵は、

遠くから投げられた鍋が、みぞおちに命中した。

「・・グェッ。」憲兵は声とともに倒れこんだ。

遠くにいた片足義足のおやじが

ララに手を振っている。

手をあげて答えながら、憲兵達を縛り上げる。

この街で水ギルドに手を出したら、

タダじゃすまない。

・・・なんとか、上手くかわすことはできないかい。

後始末の算段をララは静かに巡らせていた。

スマホでも見やすいように、

2025年5/13に直しました。

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