EP15異世界と効能と
★☆ 検索ワードは 【野草飯】 ☆★
タイトル忘れてもこれで見つかります!
市場でドクダミ茶を作る田村。
異世界の人々はその独特な匂いに驚きつつも、
見物人が次々とカップを差し出す。
ララ姉御にドクダミ茶を渡し、
名前を聞かれた田村は自己紹介。
異世界で初めて名を名乗り、帰路につく。
給料日まであと・・・2日。
今日は休日だ・・・・だが金は7円しかない。
金はないが、腹は減る。
空腹を紛らわすように自転車で河原に来た。
河原の草地は陽の光に包まれ、
やわらかな風が背中を撫でていく。
穏やかな景色、・・・だが田村には違って見えた!
野草の宝庫が、今、ここにある!
しかもタダだ!
野草取りに励む、田村の休日である。
河原には遊歩道があり、
散歩を楽しむ人や、
ジョギングする人で結構な賑わいだ。
そんな中、ひとり、
田村はスマホで野草を確認しながら、
黙々と野草を摘んでいく。
アブラナ
・・・菜の花の仲間で、若芽は青菜風味をもつ野草。
ムラサキツメクサ
・・・草っぽい風味の葉を持ち、穏やかな香味野草。
ナガバギシギシ
・・・酸味が特徴の野草。湯通しすると、使い易くなる。
カスマグサ
・・・豆科の野草でクセは少なく、香りは弱い。
ヨモギ
・・・キク科よもぎ属の多年草で古くから食される。
食料、ゲットだぜ!!
2時間もすると、自転車のカゴ一杯に野草がとれた。
一人では食べられない量・・かも。
・・・そうだ!
近場に親友の竹田がいる。
奴は、キャンプ好きな、インドア派。
奴のところなら、あれ、があるはず。
ガキの頃からの親友なので、気軽に会える。
電話で連絡を取り、
親友宅アパートを訪ねると出迎えてくれた。
トランクス縞パンツ。
白いTシャツ。
ぼさぼさ頭に、眼鏡不細工デブ。
一見するとやばいオタクの典型。
社会人には見えないが、これで立派な社会人。
外見は完全にオタクだが、
妙に多趣味で、キャンプにもよく行くらしい。
そして、なぜか・・・俺の親友だ。
数カ月に1回は飲みに行ったり、遊びに出かけたり。
数少ない田村の親友である。
「おう、久しぶり、ほれ、これがブツだ。」
フランクな口調の田村は取り分けた野草を渡す。
「そんないいのに、ホレ。どこかキャンプにでも行くの?」
余りそうな野草と引き換えに、キャンプコンロを借りた。
カセットガス式の優れもの。
竹田も行きたそうだったが、
まさか異世界へ連れていく事もできず、やんわりと断る。
自転車で自宅に戻った時にはもう夕方近かった。
リュックに荷物を詰める。
調味料・ペットボトル水・調理器具、その他もろもろ。
特に水が重い、今日はリュックがパンパンだ。
手にも、野草の入ったビニール袋を持つ。
あとは夜を待つだけ、これで準備は整った。
時間だ・・・さあ、異世界に出発。
今日は市場の裏に出た。
ありがたい。
革エプロン姿のララの姉御が見える。
「ララーッ!」
手を振りながら、叫ぶ。
田村に気が付いて、ララの姉御がかけてきた。
いや、・・・ダッシュして近づいてくる!
猛スピードで!
後ろに束ねた黒髪がブルンブルンと揺れる。
まさに突進、短距離走ダッシュ!
なにその勢い!怖い怖い!どうしたの?
ララの姉御は開口一番、
「田村あぁぁぁ!茶が、あの茶があぁぁ・・・!」
息が上がって言葉がでない。
「ハァハァ・・・あのお茶はなんだい?!
もう、凄い事になってるよ。」
「・・・へぇ?」
「見なよ、この髪を!」
後ろで束ねていた紐をほどき、
美しくさらさらな黒髪がハラリと現れる。
「あたしの髪はもっとごわごわでパサパサだったのさ、
それが一晩で・・。」
そう言うと、きれいな黒髪をなでる。
髪はサラサラとつややかに流れる。
シャンプーのCMを見ているようだ。
ララの姉御は軽く頬を叩き、
「それにこの肌、赤ん坊の肌みたいだよ。」
掴みかからんばかりに田村に近づく。
「いったいどんな魔法を使ったんだい?教えとくれ!」
「魔法も何も、ただの野草のお茶さ。」
「どこで手に入れたのさ、ダンジョンの外かい?
それとも深層かい?」
すごい勢いでまくしたてられる田村。
ララは気にせずに、お通じが良くなっただの、
飲んだ奴らの体調が良いだのという。
矢継ぎ早の質問に、田村は押され気味。
「・・・それよりも水、欲しくないのか?」
その一言で正気に戻ったララは水を受け取った。
「今日も水が来たよ。ほら、お前たち仕事だよ。」
屋台のおやじ連中が「おう!」と答え、
威勢よくテキパキと動き始める。
ララも取り仕切る為に、市場の屋台の場所へ戻る。
田村も後に続く。
「ほら、見ろよ、今日は女性客が多いだろ。」
市場は活気であふれているが、
屋台の集まる一角にチラホラと女性が混じる。
いつもは、喰い詰めた労働者のようなおっさん冒険者が
目立つのだが今日は違った。
「狙いはあんただよ。・・いや、あんたのお茶か。」
・・・異世界でモテ期到来!?
・・・じゃなくて、俺じゃなくて茶かよ。
「今日は気を付けるんだよ。特に女にはな。」
ララが原因を作った張本人なのだが、
そんな事をおくびにも出さずに仕事に戻った。
田村はそっと市場を見渡す
髪にリボンをつけた若い娘集団。
上品そうな年配婦人と侍女とおもわしき連中。
冒険者風の剣を持った女性達まで、
田村をチラ見しているような・・・。
・・・監視されているような、鋭い視線が。
・・・獲物を狩るような、鋭い視線が。
・・・殺されそうな殺気を含む視線が。
・・・・怖い。
怖いので、ララの姉御の目の届く範囲に場所を取る。
田村は市場の片隅でレジャーシートを敷くのであった。
スマホでも見やすいように、
2025年5/11に直しました。




