EP14異世界とドクダミと
★☆ 検索ワードは 【野草飯】 ☆★
タイトル忘れてもこれで見つかります!
田村は部長に頼まれて、会社で雑草・野草取り。
帰宅後、異世界に行く準備をする。
異世界市場で注目されつつ、
姉御に頼まれた水を渡す。
手作りコンロでコンソメスープを作り、
異世界で温かいスープを味わうのだった。
市場には、肉の焼ける匂いが漂っている。
屋台の前で人々の笑い声が久々に満ちていた。
売り子たちの掛け声が飛び交っている。
その中で、田村はコンソメスープの余韻に浸る。
食後にリュックの中を見た。
余った材料がある。
名をドクダミ。
ドクダミ科ドクダミ属の多年草。
名に「ドク」とあるが、ドクダミは無毒である。
現代では雑草として身近な植物。
日陰のやや湿ったところに群生する雑草。
草むしりの時にむしり取ると青臭い匂いが漂う。
だが、古くから民間薬として利用されている生薬。
ネットで調べると、利尿作用、緩下作用、高血圧、
動脈硬化の予防作用、抗炎症・鎮静作用、
駆虫作用などなど、効能の多いこと。
だから、ドクダミの葉を少量取ってきた。
・・・食後に一杯のお茶欲しくありませんか?
食後は茶をすすりつつ、
ゆっくりとしたい優雅派の田村。
さあ、ドクダミ茶作るか。
しかし、水道水がもうない。
ダンジョン産湧き水ならある。
ならば、・・・実験の時間が来た!教えて田村君!
田村の脳内に教育テレビのようなシーンが
浮かび上がる。
頭の中で幼稚園くらいの男児・女児が
白衣を着た田村に質問を投げかける。
田村のお兄さんに質問タイム!?
脳内の鼻たれ坊主の男児が、
「湧き水をドクダミ葉にかけるとどうなるの?」
脳内おかっぱ歯欠け女児も、
「湧き水でドクダミ茶を作るとどうなるの?」
質問した。
ライトが当たり、白衣を着た田村が現れる。
小さな子供たちからの素朴な質問に、
少し首を傾げ顎をしごきながら考え顔だ。
白衣田村が指をパチンと鳴らすと、宣言する。
「それでは、実験スタート!」
ダンジョン産湧き水の入ったコップから、
ドクダミ葉に湧き水を垂らす。
答え。
普通に流れ落ちる。溶けません。腐りません。
そりゃ、そうか。
異世界人は、皆この湧き水を飲んで生きている。
モンスター肉が例外なのかもしれん。
時に、野草を食べる人を異世界では見た事がない。
ダンジョンに草は生えてないのかもしれない。
次はドクダミ茶の作り方。・・・異世界版。
まず、ドクダミを洗います。
現代の地べたに生えていたものなので、
ちゃんと洗いましょう。
洗い終わったら、水を切って、
軽く手でドクダミ葉をもみます。
両手でモミモミ、スリスリと。
この時点で少し青臭い匂いがします。
匂いを気にしたら、負けです。
敗北です。
揉みこんだら、
空の小鍋に揉んだドクダミ葉を入れて、
弱火で炒ります。
ここで、ドクダミ茶を作っているだけなのに、
もうすでに周りに見物人ができます。
革のエプロン姿の中年男、
冒険者風の革鎧を着こんだ青年達。
通路を塞ぐように数人が実験を眺めています。
すこし、青臭い匂いが漂います。
見物人の中にはこの匂いを嫌う人が出ます。
彼らは負けです。
敗北者です。
5~6分炒ってから、
ダンジョン産湧き水を入れます。
弱火で煮たたせないようにしながら、
コトコト10~15分ぐらい火にかけます。
湯の色が薄い茶色になります。
火から外し、匂いを確かめます。
青臭いです。
薬品の匂いです。
湿布の匂いの劣化版です。
冒険者の男も匂いを嗅ぎたそうなので嗅がせます。
あ、逃げました、彼も敗北者です。
だいたいの人は、すこし、嫌な顔になりますが、
臭い肉や臭いキノコに比べれば・・。
我慢です。忍耐です。比較論です。
煮だした茶葉を捨てます。
注意点は、茶葉を入れっぱなしにすると、
青臭さが増します。
熱いうちに、カップにドクダミ茶を注ぎます。
なぜか、次々とカップが差し出されます。
見物人も味わいたいのですね。
差し出された数個のカップに少量入れてやります。
みんなで飲めば怖くない!の精神です。
先陣を切って、
不肖、田村直樹・28歳・サラリーマン、
飲ませていただきます。
ゴクリ。
一口目、思ったよりも臭くはない、
だが、口の中に青臭さは残る。
健康に良いと言われたら飲むかもしれない。
なんというか味は独特。
さわやかな清涼感が広がり、
ほんのり自然な甘みを感じ、
すこしの苦味がある。
だが、そうじて青臭さが邪魔をする。
この青臭さが、まあ、飲めなくはない程度。
周りの見物人もその味や風味の微妙さに、
がっかりとしている。
ちなみに、田村は砂糖を少量入れてみた。
まだ、飲みやすくなった程度。
なぜか、次々に俺にも砂糖を入れろと催促がくる。
小匙一杯の砂糖を入れてやる。
周りの者が甘くなったドクダミ茶を味わいだす。
あ、そういえば、甘味は異世界で見たことがない。
小匙一杯の砂糖でも、さぞかし貴重なのだろう。
まあ、ドクダミ茶は甘ければギリ許されるらしい。
忙しく働く姉御にもドクダミ茶を差し入れた。
砂糖は多めの小匙2杯。
「何だい。甘いけど、変な匂いだね?薬かい?」
薬と勘違いされてしまった。
・・・さてと、帰りますか。
荷物を片付け、帰路に就こうとした時、
姉御から呼び止められる。
「明日もこの時間で頼むよ、あんた名前は?」
「俺の名は田村だ。あしたも同じ頃に。」
「私はララ。じゃあ、明日もよろしく、田村。」
水道水が効いたのか、ドクダミ茶が効いたのか、
とにかく上機嫌なララの姉御だった。
・・・そういえば異世界で初めて名を名乗ったな。
異世界人で名前を知っているのは、
革細工店の男児ボンズ
冒険者の大剣のチャッピー
そして、市場の革エプロン姉御ララ
徐々に異世界に慣れてきている実感がわいた。
そう思いながら現代へ戻った。
スマホでも見やすいように、
2025年5/11に直しました。




