EP13異世界と野草と
★☆ 検索ワードは 【野草飯】 ☆★
タイトル忘れてもこれで見つかります!
田村がダンジョンの肉を使って料理をした際、
革エプロンの姉御に血抜き方法を指摘される。
ダンジョンでは血抜きせずに持ち帰るのが常識で、
湧き水を使うと腐ると教えられる。
田村は姉御との間で水の取引契約を結ぶ。
姉御は代わりに、美味しい飯を保証を宣言する。
あと給料日まで・・・3日。
今日は会社周りの雑草取り。
いやいや、野草取りを敢行。
少しやけになりながらも、手を動かしている。
きっかけは部長の一言だった。
「お、田村君関心だね。お昼に草むしりかい。
じゃあ、建物の周り頼むわ。」
そう言い残して、部長は昼飯を食いに行った。
田村直樹、28歳、サラリーマンの悲哀。
・・・少し摘まんでただけなのに。
こうして、お昼は雑草取り兼野草取りを敢行。
「あれ、田村さん・・・?」
「何してるんだ、田村・・・?」
などの質問言いがかりには、
「いや~、部長に頼まれまして・・。」
と、部長の名を力強く、印籠のように振りかざす。
「・・・ああ、そうか、がんばれよ。」
言い残し、だいたいの奴が部長の悪名を出すと、
逃げ出すのであった。
いや~、おかげではかどるはかどる。
すでにゴミ袋に満タンの雑草・野草たち。
ドクダミ・カタバミ・ツユクサ・タンポポ・ブタナ。
こんなに近場にあるのね、食料。
食べれそうにないものと野草を選別。
野草は持参の袋につめた。
そして帰宅する。
異世界に行く準備を始める。
革装備、装着!
ナイフ、装着!
リュックサック、そう・・・ちゃ・・・くっ!
重いぞ!
さすがに2Lの水入りペットボトルを3本は重い。
ズシリと肩に重みがのしかかる。
時間を待って、早めに家をで・・・・。
まて、このまま自宅から出るのはまずいまずい。
革の服、腰にナイフ、背中にでかいリュック。
明らかに、不審者だ。
薄手のパーカーを急遽上着として着込む。
これでよし。
トンネルから異世界へ向かった。
今回は市場の近くの路地に出た。
この重いリュックを背負って歩き回りたくない。
助かった、丁度良い場所だ。
田村は市場に入る。
どうやら有名人なってしまったらしく、
「あ、あの、あんちゃんだ。」
「例の水の野郎か。」
「本当に来やがったぜ。」
ところどころから小声が上がる。
注目の的になりながらも、姉御の元に足を運ぶ。
「よう、来たかい、あんちゃん。」
長い黒髪の後ろに束ね、
革エプロンをつけた姉御が迎えてくれる。
「よいしょっと。」
リュックを下して、ペットボトルを出す。
「そうそう、これよこれ、待ってたのさ。」
そう言いながら、ペットボトルを開けようとして、
苦戦する姉御。
蓋を引き抜こうと、引っ張っているのだが、
全然外れない。
そのお茶目な姿に、ちょっとだけ可愛さを感じた。
「ハハハ、引っ張るのではなく、捻るのさ。
・・ほら。」
笑顔で田村は他のペットボトルの蓋を開けて見せる。
「・・・なんだい。」
呆気なく外れる蓋に、姉御は少し照れている様子。
確認のために肉片に水をかける。
いつの間にか集まった屋台の店主達が、
その肉を見守っている。
肉片は変色もせず、水はそのまま流れ落ちた。
おお!小さな歓声が上がる。
「よし、昨日決めた血抜き用の水瓶持ってきな。」
姉御から指示で大きめの水瓶を用意される。
そこに、水をドボドボと注ぎ込み、
肉を大量に漬け込むと、
その水が一瞬で赤く染まった。
「昨日の話し合いの通りだよ。
この水瓶から出す肉は私が管理するよ。」
姉御はその後もテキパキと店主達を仕切っていく。
田村も片隅で自分の調理準備に取り掛かる。
レジャーシートを石畳の通路に広げる。
「よしゃ、こっちもやるか。」
気合いを入れ、田村は調理の準備にかかる。
まず、アルミの小鍋に買ってきたモンスター肉と、
少量の水と塩を入れ血抜きする。
路傍にある石を集めて、
石畳の隅に小さな釜即席の釜戸をつくった。
そこまで用意すると、
肉の焼ける匂いが市場を漂い、食欲を刺激する。
屋台の店主が調理を頑張っているのだろう。
それはそうと、田村は水が重たすぎて、
簡易コンロを持ってこれなかった。
なので今回、捨てようとして自宅にあった、
ツナの空き缶でコンロの代用をする。
小さいかまどの中に空のツナ缶を2つ入れ、
サラダ油を注ぐ。
ティッシュをつまようじに巻き付け芯の代わりに、
それを複数個缶に立てる。
ライターで火をつけたら即席コンロの完成。
肉も血が抜けたようだ。
血抜きが終わり、真っ赤にそまる水も大切なので、
捨てないで血抜き用の水瓶に入れてやる。
肉を小口に切る。
残った水を鍋にすべて入れ、肉を入れる。
千切りにしたショウガをパラリと。
ここで、現代の叡智、固形コンソメを投入。
後は沸騰したら、カタバミ・ツユクサ・タンポポ・
ブタナを放り込み、コンソメスープを仕上げ予定。
まだ、コンロの火が弱くなかなか沸騰しない・・。
沸騰を待つ間に屋台の肉串を買い食いだ。
あの期待値ゼロの謎肉串から、いい匂いが漂う。
ガソリンのようなツンと鼻をつく油臭はあるが、
血生臭さはなくなった。
筋張っていて顎が疲れる。
獣の臭みはあるが何とか食べれる。
食べている人からは、
「喰える、喰えるぞ!」と声があがる。
だいぶ、マシになった。
自分の分に塩を振りかけて、もう少しマシにする。
「兄ちゃん、俺のも!」と横から肉串が出てきた。
見ると、冒険者風の若い男が、
ニコニコ期待しながら、田村にお願いしている。
・・・しょうがねぇな。と思いつつ、
二振り程、塩を振りかけてやった。
すると、周りから次々に、
俺も俺もと肉串が5~6本出てきた。
「わかった、わかった。・・・ほれほれ。」
塩の小瓶を適当に振りまくる。
恩恵にあずかれた者たちは、
「塩味だ、塩の味がしやがる。」
「・・・何か月ぶりだ?」
「もうわからねぇよ。」
と言い合っていた。
そんな一悶着の後に、沸騰した小鍋に、
カタバミ・ツユクサ・タンポポ・ブタナを入れる。
最後に、塩、胡椒で味を調えてできあがり。
自分で作った野草とモンスター肉スープを喰らう。
「・・・うまい。胃に染み渡る。」
スープをひと口飲んだ瞬間、熱が体に染み渡る。
カタバミの酸味が軽やかに広がり、
タンポポのほろ苦さが舌を刺激する。
ツユクサとブタナの自然な味わいが、
どこか懐かしく感じられた。
肉は時間をかけたせいか、少し柔らかくなり、
ショウガが獣臭さを緩和してくれたようだ。
コンソメスープなので、どちらかというと、
お上品な味わいを堪能できた。
異世界スープの出来に満足した田村であった。
スマホでも見やすいように、
2025年5/11に直しました。




