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EP12異世界と交渉と

★☆  検索ワードは 【野草飯】  ☆★

タイトル忘れてもこれで見つかります!


田村は、昼休みに野草を集めて異世界へ向かう。

市場の片隅で異世界食材を使い、調理を始める。

市場に匂いが広がると、見物人が集まり始める。

田村は見つめる見物人に分けずに料理を堪能する。

食後、黒髪の姉御に水と塩について疑問を抱かれ、

貴族扱いされ、見物人も田村を疑い始める。

仁王立ちする黒髪ロングの革エプロン姿の姉御。

じっと田村を目を見据えながら言った。

「あんたが料理してるの、あたしは見てたんだよ。」

水が入っていた小鍋を指さす。

「水使って、血抜きしてたろ。」

「・・・え?」

・・・血抜きがいけないのか?

田村は一瞬、何が問題なのか理解できなかった。

「知らないか、あんた。よっぽどボンボンだな。」

あたりに残っていた見物人が口を出す。

すると周囲の見物人たちも口を出し始めた。

姉御は手を挙げて一旦、静かにさせる。

軽くため息をつくと姉御は説明を始めた。

「いいかい、あんたが使ったあの肉。

ダンジョンで獲れるモンスターの肉だよ。」

!・・・やはり!

まあ、そうだと思っていたが、謎肉の正体が判明。

このちょっと筋張った繊維質な硬さの肉。

それは今まで食べたことがない。

「冒険者がダンジョンの中で仕留めて、

血抜きせずに街にもってくるんだよ。この肉は。」

姉御は肉片を手に取り、田村に示した。

「そうだ、ダンジョンの中で血抜きなんかしたら、

匂いに誘われてモンスターが群がってきやがる。」

見物人の冒険者風の男がつぶやく。

周りの者も深くうなずいている。

「仕留めた獲物を、ダンジョンの湧く水を使って、

血抜きすると、すぐに腐って腐臭が出るのさ。」

姉御は、モンスター肉とコップを手に取った。

「いいかい、このコップに入ってる水は、

ダンジョンから今朝とってきた湧き水さ。

普通の雨水とは訳が違うんだよ。」

コップ一杯のダンジョンの湧き水を肉に垂らした。

湧き水が肉に触れた瞬間、

シュウーシュウー

音を出しながら白煙もあがる。

まるで魔法がかかったかのようだ。

肉の色が紫色に一瞬で変わり始める。

変色した肉は腐りだした。

白煙とともにドロドロ粘ついた液体状になる。

最後には崩れて手から落ちていく。

あたりには白煙とともに、腐臭が立ち込める。

見物人は鼻をつまみ、くさいくさいと声をあげた。

液体は、姉御の足元で白煙をあげている。

やがて跡形もなく消えさった。

田村は異世界常識を思い知る。

奇妙な光景を呆然と見つめ、何も言えなかった。

「だから皆、街に戻るまで血抜きはしない。」

姉御は近場にある雨どいの下の水瓶を指さす。

「街に戻ってから、貯めた雨水で血抜きするのさ。」

冒険者が水瓶を転がす、水の一滴も零れない。

「けど今は乾季。雨水はほぼ水は底をついてる。」

冒険者がうなずいている。

「雨が降らなきゃ、血抜きなんかできやしない。」

そう吐き捨てるように、姉御は言った。

「だから、ここの連中は、どうしようもなくて、

血生臭い肉をかじってる。」

そうだそうだ!

周囲の者が合いの手をいれる。

田村の周りに、また人だかりができていた。

だから、皆、無心で肉にかぶりついてたのか。

田村はようやく合点がいった。

「なのに、あんたはこの街中でお貴族様のように、

ジャブジャブと水を使ったのさ。」

・・・あらやだ、やっちまった。

じゃ、水道水入りペットボトルの価値爆上がり?

右手にペットボトルを掲げる。

まだ、1本に半分ほど水が入ってる。

「立ちな、盗賊野郎。衛兵に引き渡してやる!」

片腕を回しながら、姉御が近づいてくる。

あたりの見物人も近づいてくる。

中には剣を抜いている人もいた。


田村直樹、28歳、サラリーマン。

前略、母さん。

今、俺史上、人生最大のピンチです。

・・・助けて、神様。

この至極まっとうに生きていた俺に救いの手を。

・・・救いの手?

・・・おう、神よ。天啓を与えたもう。

右手にペットボトル。

社畜田村、経験を生かせ。

思い出せ、あの辛い日々を。

数々の上司から与えられる理不尽な要求。

それをはねのけてきた交渉術を発揮せよ。


「おいおい、待ってくれ。俺は盗賊じゃない。」

姉御は動きをとめた。

「なら取引といこう。」

田村は姉御に挑発的に取引を持ち掛ける。

「この水を2本、今後1週間、毎日用意してやる。」

姉御が田村の話に耳を傾ける。

「それで今回の件は見なかったことにできるか?」

姉御は腕組みして田村をじろりと睨みつけた。

周囲の見物人も興味津々で事態を見守っている。

姉御は思案顔だ。

「・・・2本かい。」

姉御は物欲しそうな視線を田村に向けた。

「・・・、仕方ない、3本、3本だ。」

今度は田村が腕組をして、姉御をにらみ返す。

姉御はあたりの屋台を見回し、頭で計算しだす。

田村はじっと待つ。

「・・・もっと早い時間に持ってこれるのかい?」

・・・しめた!話にのってきた!

ここが勝負だ。焦るな、田村。

社畜スキルを絞り出せ。

「う~ん・・・もう少し早く持ってくることは・・

なんとか可能だ。」

わざと間を取りながら、相手から譲歩を促す。

姉御はあごに手をあて、さらに考え込む。

見物人がコソコソと話し出す。

「おい、今時期に、雨水をあのビンに3本分か。」

「水ギルドから買ったらいくらになるよ?」

小声が耳に入る。

ここだ!

ここでたたみかけろ!田村!

「仕方がない、この件は水ギルドと交渉するよ。」


田村の頭の中でまたRPGの選択肢が浮かぶ。

┌──────────┐

| たたかう          

|▶ じゅもん          

| どうぐ       

└──────────┘

┌───じゅもん───┐

| つよき          

|▶ あいてをかえる          

| ごまかす       

└──────────┘


たむらは あいてをかえる の

じゅもんをとなえた!


バシ!

ヒット!

あねごは もんぜつ している!


田村は荷物を手早く片付ける。

わざとゆっくり水を抱えて立ち去ろうとする。

呆気にとられる見物人と姉御。

「待ちな。わかったわ。」

ついに姉御が折れた。

「その条件でいい。前金に、その水をよこしな。」

田村はニヤリと笑って、手を差し出した。

「交渉成立。」

「まったく、やるじゃないかい。」

姉御と握手を交わす。

すると、革エプロンの姉御は堂々と言い放った。

「ここに宣言するよ!

この男と正式に水の取引契約を結んだ!

以後、この市場でこいつに手出しした奴は、

あたしがつまみ出すよ!」

「おおぅー。」

見物人からどよめきが起きた。

「代わりに明日から1週間、旨い飯が食えるよ!」

盛り上がる見物人。

「このあたしが保証する。」

「うおおーっ!」

見物人たちがどっと歓声を上げる。

田村からペットボトルを受け取った姉御。

改めて田村を見つめ、気持ちよく笑った。

「楽しみにしてるよ、水屋の旦那。」

田村直樹、28歳、サラリーマン。

人生最大のピンチを乗り越えた。

スマホでも見やすいように、

2025年5/10に直しました。

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