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ショートショート10月〜4回目

のぞき

作者: たかさば

 ニ軒となりの、キレイなお姉さんに恋をした。


 毎朝、エレベーターで乗り合い。

 毎朝、おはようございますと挨拶をし。

 毎朝、見つめ合い。


 火曜日に、ゴミ出しを手伝い。

 木曜日に、スーパーで顔を合わせ。


 たまに、同じメニューを作り。

 たまに、同じテレビを見て。


 いつか、仲良くなりたいと。

 いつか、好きになってもらえたらと。

 いつか、抱きしめたいと。


 きっかけがないまま、時間が過ぎていく。

 きっかけがみつからないまま、時間だけが過ぎていく。


 いつまで経っても、距離が縮まらない。

 いつまで経っても、親密になれない。


 きっかけを求めて、右往左往する。

 きっかけを求めすぎて、余裕がなくなる。


 ……どうしても、仲良くなりたい。

 ……どうしても、彼女にしたい。

 ……どうしても、諦めたくない。


 ……どうしても、きっかけが欲しい。


 部屋の中を、見てみたい。

 出したゴミを、漁っておきたい。

 届いた手紙を、チェックしたい。


 お姉さんの生活を、のぞきたくてたまらない。


 もんもんと、毎日を送る。

 もくもくと、毎日暮らす。


 溜まっていく、欲望。

 溜まっていく、不満。

 溜まっていく、絶望。


 のぞきたい。


 のぞきたくてたまらない。


 のぞかずにいられない。


 のぞかなければいられない。


 のぞかなければ。


 のぞきたい。


 のぞくときめた。


 のぞくには。


 ……心ゆくまで、のぞくためには。


 命を投げ出し、身も心も軽くなった僕は…お姉さんの部屋を訪れた。


 目の前には、あこがれ続けた、最愛の女性の…あられもない姿が………。


「あ、こんばんは~」


 夜遅く、ノックもせずに…ドアをすり抜けた僕を見て、ニッコリと微笑む、お姉さんがいた。


「もー、遅いよ!めっちゃ時間かかったからチョーおなか空いちゃったじゃない!」


 真っ赤な唇をぷるぷるさせて、こちらに近づいてくる、お姉さんが。


「いただきま~す!」


 大きな口をあけて、僕に…、おね・・・


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