表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/106

59.休日

「アンナ」


と呼ばれ、ハッと我に帰ると、エステルとシンがすぐ近くまで歩いて来ていた。


「お嬢様……」


アンナが取り繕うように笑顔で答えると、ジュリアはその後ろで心配そうな顔をしてアンナを見ていた。エステルは、


「皆んな疲れているでしょうから、今日はゆっくり過ごすことにしましょう。アンナ、あなたも今日は帰って休みなさい」


と命じた。いつもなら、


「休みなんていりません! 私はお嬢様と一緒にいることが何より楽しいんですから!」


と言って居座るアンナだが、今日は珍しく、


「……そうですね。そう致します」


と力なげに言うと、一礼してその場を去った。ジュリアは、アンナの返答に驚きながらお辞儀をすると、アンナの後を追った。



*******



(お休み、もらっちゃった……)


 エステルは、皆に平等に休みは与えているが、家族がいないアンナにとっては、城で過ごしている方が寂しくないし、何よりエステルの側で働けることに生きがいを感じていたため、家は着替えとお風呂と寝る為のもので、それ以上でもそれ以下でもなかった。とはいえ、この家自体もエステルが用意してくれたものだ。王宮同様、ピッカピカに磨き、大事に使っている。



 アンナは家に着くと、いつものように、ぱぱっと片付けをした。一通り掃除を終えると手持ち無沙汰になり、


「……買い物でも行こうかしら」


と呟くと、町着に着替え、外に出た。食事はいつも城でとっているので、買い物といっても石鹸やら、古くなったリネン類、掃除道具等を時々買い替えるぐらいのものなので、今、行かなくてはならない訳ではなかった。


が、じっとしていると、リアムと彼女のことを思い出してしまい、気分が沈んでくるので、とにかくブラブラと歩いてみた。前に、アンに紹介した美容院の前まで来た。


(そういえば、もう随分来てなかったかも……)


アンナは、伸ばしっぱなしになっている自分の髪に触れ、美容院の中へと入っていった。



*******



美容師から、


「はい、できましたよ」


と言われ、ぼーっとしていたことに気づいたアンナは、鏡を見て驚いた。いつものお団子ヘアではなく、髪を下ろし、毛先をゆるりと巻いてある。これだけでも、気分を上向きにするのに十分だったが、


「もしよかったら、少しメイクもしてみませんか?」

「あ……じゃぁ、お願いします」


美容師はにっこりと笑うと、メイク道具を取り出し、すすっとメイクをしていった。人にメイクをすることはあっても、人にメイクをしてもらう体験は初めてだった。


(してもらうのって、なんかちょっと恥ずかしいものね……)


と思いながらも、自分とは違うメイクの仕方に見入っていた。



(あぁ、これ、今度お嬢様にして差し上げよ。これ絶対似合うわ! お嬢様ならもう少し色味がハッキリしてるものでも……)


とすっかり仕事にモードになっていたとき、


「こんな感じでいかがですか?」


と声をかけられ、改めて自分の顔を見てみた。


(え? これ……私?)


アンナは目を丸くして、顔を右に向けたり、左に向けたりしながら鏡で確認すると、気持ちが徐々に高揚してくるのを感じた。



*******



 午後になって訓練場が空くと、エステルはリアムとシンに付き合ってもらい、火の玉の扱いを練習した。リアムが、火の玉を作ってはエステルに向かって投げ、エステルはそれを打ち返す、または消滅させる、を繰り返していた時、


(何か違和感が……)


どこかぎこちない気がしたシンが、


「エステル……もしかして……手と足、同じ方を出してるか?」

「え?」


エステルは、自分で再演してみて、


「そうね」


と答えた。エステルは、足先まで隠れる長さのドレスを着ているので、足捌きをどうしているの分からなかったのだが、これで違和感の正体が明らかになった。シンは、


「……なるほど」


と少し間を置いた後、


「それもいいが、右手で投げ返すときは、左足を前に、左手のときは、右足を前に……こうすると、力をより出しやすいかもしれない」


と言いながら見本を見せた。エステルは、すぐに真似をすると、火の玉の動きが明らかに勢いを増し、またコントロールが格段に良くなった。


(勘が良さそうだな)


シンが感心していると、エステルも感覚を掴めたことが嬉しかったようだ。その後、リアムが、


「お嬢様、すみません。そろそろ失礼させて頂きたいのですが……」


と切り出すまで、夢中になって練習していた。


「そうだったわね。リアム、ありがとう」


リアムは、お辞儀をするとその場を去った。エステルは、リアムが行った後も、動きをチェックしながら、体に覚え込ませようと何度も繰り返していた。


(アンナに火の玉をぶつけたこと、ずっと気にしてたんだな……)


シンは、その日は、エステルの気が済むまで、練習に付き合った。

お読みくださり、ありがとうございます!


次回、今度こそ四つ目の石の在処が分かる??


毎日一話投稿していこうと思っています。

ご感想、ブックマーク、評価、大変励みになります!

どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ