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召喚された世界はどこまでも理不尽だった  作者: 伍煉龍
其之壱:冒険者になる
9/21

IX.冒険者ギルドに行くのに冒険者を殺さないといけないなんて、理不尽すぎるよ

「ほんの数回の戦いでそれほどの実力とは、放っておけねぇな」

「ライバルとかいらないよ。競争とかそういうの嫌いだから」

「ライバル? 競争? 何言ってんだ、こいつ。お前はここで死ぬんだ」


 コロは俺を斬り裂こうとする。


魔力刃(スラッシュ)


 俺はコロの大剣を切断した。何処かで聞いた横からの力で割ったわけではない。縦方向で斬ったのだ。いや、斬れたのだ。

 コロ達は言葉を失った。


「これって殺し合いだったんだね」


 俺はそう言ってコロの胸を貫いた。コロは大量に吐血し、倒れた。多分死んじゃったと思う。生きててもすぐ死ぬだろうし。


「マルオの方が強かったな。うん、四人一緒においでよ。これは“殺し合い”なんでしょ?」


 俺は残りの奴らを睨みながら言った。


「コロをあんなにも容易く…」

「ヤバいよ。あいつ余裕そうだよ」

「あいつ、俺より早かった。逃げられない」

「ここでやるしかないのかな」


 四人ともやる気だ。逃げればいいのに。


「あ、そうだ。このコロってやつ、死んじゃったけど、ギルドの場所教えてよ。俺が勝ったら教えてくれるって言ってたのに死んじゃってさ」


 すっかり忘れていたので聞いてみた。


「だれが、」

「貴様なんかに」

「教えるかーーー!!!」


 ヒヨノ以外の三人が突っ込んでくる。俺は全ての攻撃を捌ききっている。ヒヨノが強化魔法を施しても捌ききっている。てか、さっきの奴も強化してやれよ。忘れてたのかな?


「ねぇ、飽きて来たんだけど、教えてくれないの? 約束破るの?」

「お前と約束した覚えないぞ」

「は?」


 俺は死んだ魚を見るような目で三人を見る。

 次の瞬間、瞬きする間もなく、


「「・・・・・・」」


 ロノンとアーシュの両腕、首、両足が斬り

落とした。ヒヨノは息を吞んだ。


「よく(かわ)せたね」

「人でなしの行く末は地獄だ」

「そうだな。地獄で待ってろ。『鍾乳石噴射(トップストーガン)』」


 俺は後ろにいたリシェウスの腹に大きな穴を空けた。ヒヨノは腰を抜かして後ずさりしている。俺はヒヨノの元へ歩み寄る。


「こ、来ないで」


 ヒヨノの声はかなり震えている。


「じゃあ早く教えてよ。ギルドって何処(どこ)にあるの?」

「そ、それは...り、『蘇生(リノゼーション)』」


 するとどこかが光りだした。見渡すと、コロが転がっている地面に魔法陣が描かれていた。


「一度俺に勝ったところで、図に乗るなよ」


 コロは立ち上がる。しかし、胸の傷が完全には癒えていない。止血してから立たないと死んじゃうよ、また?


「あ、生きてたの? 約束通り教えてよ」

「ああ、このまま道を真直ぐ行った先にあるさ。お前が行けるとは限らないけどな」


 コロは折れた大剣で斬りかかる。胸元から血を垂らしながら。俺はその攻撃をかわす。反撃は出来なかった。さっきより早いし。


「『全回復(メゾ・ディクション)』『解放全戦(メディオ・ロクテン)』 最大限の強化はしたよ。もう魔力も残って無いから負けたら承知しないよ」

「ああ、さっきみたいに油断したりしねぇから大丈夫だ」


 コロはそう言いながら首をポキポキ鳴らす。怪我も治っちゃってるし、さっきまでと威勢が違う。


「『零装備(リロード)』」


 コロの大剣が元に戻った。さらに、強度が増している気がする。あの件斬るのは(あきら)めよう。


「ちょっと戦えるからって調子に乗ってんじゃねぇぞ。殺してやる」


 コロはさっきまでと比べ物にならない速さで動く。さっきまでよりも重い攻撃を俺は防いでいる。しかし、俺は少しずつ押されている。反撃の隙を計るも、全くない。それに、少し気を抜けば吹き飛ばされてしまうほど攻撃が思い。仕方ない、あれ(・・)してもらうか。


「さっきまでの威勢はどうした」

「そろそろかな」

「何を企んでやがる。お前は今日俺に殺されるんだよ!」

「いや、俺は元の世界に帰る方法を探すから。それに、もうすぐ街の外だ。ここまで追ってくるとは思ってなかったけど、俺より強力な助っ人さんがいるからな。ルナ、あれやって」

「『大束樹(ビッド)』 もう絶対一人になったらだめですよ。こんなじゃ命が幾つあっても足りませんよ」


 コロは魔法で作られた樹木に手足を掴まれて拘束された。


「そんなことないって。だってほら、もう死んだし」


 俺はコロの首を切断した。ルナはイリの目を覆い隠していた。斬られる直前に拘束から自力で抜け出し、頭と体が飛び転がった。


「ルナ姉ちゃん何も見えないんだけど」

「イリは見ちゃだめです。アイトさんが首を斬ったのでグロすぎます」

「え⁈ アイト兄ちゃん死んじゃったの? 嫌だよ~!!」


 イリが泣き出した。ルナの手から溢れるほど泣いている。


「え、俺死んだの? じゃあこれ霊体? そんなことないでしょ? だってどこにも俺の体がないんだし」

「うわ~~~ん、アイト兄ちゃんの体がなくなったんだ~」

「アイトさん、誤解を生むようなこと言わないで下さい。ちゃんと生きてるじゃないですか。イリも、アイトさんが、人間の首を()ねただけですよ」

「そ、そうなんだ。よかったぁ~」


イリは安どのあまり崩れ落ちた。その目の前にコロの生首が転がっていた。


「ぎぃゃぁぁぁ~~~~」


 イリの悲鳴が響き渡る。ルナは慌ててイリを抱きかかえる。俺はとりあえずコロの頭と体を持ってヒヨリの元に行った。


「はい、これプレゼント? いらないから上げる」


 俺はコロの頭をヒヨリの足元に投げ転がす。体は面倒なのでガヤの方に投げておいた。


「一番苦しい死に方って知ってる?」


 ヒヨリは何も言わずに首を横に振る。


「知らないなら体験したらいいと思うよ。俺が居た世界だと、焼死ってのが一番苦しいらしいよ。燃えるんだよ。骨は残す? 残さない?」


 ヒヨリは目を見開いたまま動かなくなった。動いていないのに震えている。


「じゃあ、多分残す方が苦しみそうだから残すね。火力わかんないけど、ゆっくりじわじわの方が苦しいのかな? あ、殺さない選択肢はないよ?先に手を出したのはそっちなんだから。敵に情けは掛けるなって言われてるから」


 ヒヨリはあまりの恐怖に逃げ出そうとする。しかし、腰が抜けて走れず、四つん這いになって平治岳で動いてる。


「動けるくらいだけど、ちゃんと焼死できるくらいの温度で、燃えろー」


 俺がそう言うと、ヒヨリの肘の辺りと脇腹の辺り、膝辺りから火が付いた。青い炎なんだけど大丈夫なのだろうか。


「いやだぁぁぁ、死にだくないよぉ」

「この世界に来てから理不尽な事しか起きてない気がするんだけど? 理不尽の世界で理不尽呼ばわりは辞めてよ」


 俺はそう言ってまた街の外に向かって歩き出した。つもりだった。しかし、目の前には『冒険者ギルド』と書かれた看板があった。


「これが異世界の文字なの? 何で普通に読めるんだろ? ラノベの補正みたいなやつかな? これだったら勉強しなくて済むじゃん。てか、俺道間違えてたのか。誰か教えてくれてもいいじゃん」


 そう言いながら俺は来た道を戻る。英語みたいな文字だけど普通に読めた。英語じゃなかったけど、英語苦手なのに普通に読めた。


「んー、んー」


 街の住人が突然俺に唸りだした。


「あ、そうか。みんな口が開かないのか。喋っていいよ。五月蠅(うるさ)くしないでよ」


 俺はそう言って街の外に出て、ルナたちと一緒に冒険者ギルドに向かった。一本道だから迷うことはない。

 イリには目隠しをした。血だらけの死体と、燃えて唸っている女とか見せるモノじゃいという、俺なりの優しさなのだ。ルナも「珍しく意見が同じだ」と言ってイリに目隠しをして抱えている。血だまりに突っ込むのを防止するためだ。“珍しく”は余計だと思う。


「僕も普通に歩きたいんだけど」


 街に入って少ししたくらいにイリが呟く。


「さっきよりひどいのが転がってるからダメだよ」

「あれくらいもう大丈夫だもん」


 イリは頬を膨らませながら言った。


「ダメですよ。イリちゃんはまだ幼いんですからトラウマになるかもしれません」

「僕もう八つだよ! そんなに子供じゃない」


 イリは無理やりルナから飛び降り目隠しを外した。目の前に広がる悲惨な光景に思わずルナに抱き着いた。


「だから言ったのに」


 俺は(あき)れたように言った。


「だ、大丈夫だもん。ちょ、ちょこっと吃驚(ビックリ)しただけだし」


 イリはルナにしがみついたまま言う。めっちゃ怖がってない?


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