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召喚された世界はどこまでも理不尽だった  作者: 伍煉龍
其之壱:冒険者になる
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VIII.異世界の人間は危険なにおいがする

 翌日から俺達は草原を突き進んでいた。森に居たときはゴブが居たが、草原だとスライムさんが出てくるようになった。ゴブよりも楽に倒せるので、問題なく進めた。食事は、森の中でとっていたものの残りばかりだ。場所は変わったのに食事のメニューはだんだん雑になっている。だって、数がないんだもん。


「アイト兄ちゃん、他に食べ物無いの?」

「ないよ。見てたでしょ」

「も~、飽きたよ」


 イリはキノコを(むさぼ)りながら言う。俺もルナは名を言えばいいのか分からない。


 俺達は翌日も、そのまた翌日も、草原を進んでいた。俺が戻り道を行こうとしたのは、毎朝の事だったらしい。だって知らない場所で景色変わらないんだもん。分かる方が異常だって!


「あれ、街じゃね?」

「本当ですね」

「ここはどの種族がいるん…だ…」


 イリの歯切れが悪い。街にいたのは人間だった。イリとルナの足が止まる。一応目的地?なんだよ?


「二人とも行こうよ。人間の街だよ」

「に、人間、、、」

「アイトさんも、人間、なんですよね?」


 二人の様子がさっきまでと明らかに違う。


「そうだよ? なんで二人とも怯えた(怖そうな)顔してるの? 怖いの?」

「ち、違うよ」


 歯切れが悪いが、俺は気にせずに周りを見渡してから、街の方へ歩き出した。適当に行ったらイリに何か言われるんだもん。ルナとイリは俺の背中に文字通りに引っ付いて、付いて来る。動きにくい。


「歩き(にく)くなるまで強くくっ付き過ぎじゃない?」

「そんなことないよ」

「そんなことないです。気にしちゃ負けです」

「絶対わざとだよね? 分かってるよね? もうすぐ着くんだよ。周りから変な目で見られるよ。いいの?」

「気にしたら駄目です」

「絶対離れないよ!」


 二人がどんどん強く引っ付くので俺の動きがだんだんと遅くなっている。振りほどくのは簡単だけどやめとこ。


 ようやく街に着いた。周りから見られてる気がするが、俺は周りを全く見ることなく歩いている。


「おい、そこのガキ」


 大柄な男を筆頭に五人組が、目の前に立ちはだかった。邪魔だな。


「おじさん何か用?」

「お前の後ろにいるガキ、人間じゃねぇよな。何でここに連れてきた」

「仲間だから? おじさんの後ろにいる人と似たようなもんだよ」

「こいつ裏切り者なんじゃない? 異種と共闘なんかしちゃってるし」


 男の後ろに立っている女が言った。異種って人間じゃない人の事かな?


「人類の掟に(そむ)くとは、良い度胸だな。俺らが苦しまねぇように殺してやるよ」

「掟とか知らないんだけど? この世界の人間は良くないの? 悪者だったら全員殺すよ」

「お前みたいなガキが俺らAランク冒険者に勝てるわけねぇだろ」


 男は大きな剣を構えた。逢兎も杖を突きだした。こういうのって、殺すか活動復帰できなくなるまでボコるのが鉄板だよね?


「もっとファンタジー見るまで死なないよ」

「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」


 男が剣を振り被ってきた。


「遅いよ。それが最速?」


 俺は男を蹴り返した。



コロ・タカ  人間  大剣使い


称号:Aランク冒険者 集団(パーティー)(リーダー)


スキル:剛力 大地懐斬(デ・ブロム) 高速移動C 跳躍強化B 身体強化A


魔法:大地魔法A 新緑魔法C


耐性:物理攻撃耐性A 魔法攻撃耐性A



ヒヨノ・ココ  人間  魔術師


称号:Aランク冒険者


スキル:高速移動B 跳躍強化B 身体強化D


魔法:属性魔法A 回復魔法A 強化魔法B


耐性:間接攻撃耐性B 貫通攻撃耐性D



ロノン・カノン  人間  侍


称号:Aランク冒険者 大将


スキル:侍心得(サムライ) 高速移動D 跳躍強化B 身体強化B


魔法:加護


耐性:物理攻撃耐性A 魔法攻撃耐性A 精神攻撃耐性C 



リシェウス・ロンド  人間  暗殺者(アサシン)


称号:Aランク冒険者 忍者


スキル:分身 高速移動A 跳躍強化A


魔法:


耐性:



アーシュ・モンドウ  人間  双剣士


称号:Aランク冒険者 Dランク商人


スキル:高速移動B 跳躍強化B 身体強化D 解析鑑定感知S


魔法:火炎魔法A-


耐性:物理攻撃耐性C 直接攻撃耐性A



 逢兎は五人まとめて鑑定した。うん、装備通りの職業みたいで安心したよ。


「コロ、気を付けた方が良いよ。こいつ鑑定持ち。能力バレるよ」

「レア玉か。殺すには()しいな」


 アーシュの言葉にコロは呟いた。鑑定ってレアなのか。引っ掛からないように鑑定する方法考えないとな。


「二人とも下がって。下がり過ぎないで。こいつら強いよ。今の一撃かわしたと思ったのに(かす)ったよ。ちょっと本気出さないといけないと思うんだよ」

「掠ったって大丈夫なの⁉」

「回復しましょうか?」


 俺が言うと二人は驚いた顔をする。

 確かに、俺の右手と左足から少しばかり血が出てきている。流血はさほどしていないが、(にじ)み出てきているだけだし。


「大丈夫だって。『再生』するから」


 俺の怪我は()ぐに治った。思ったりするだけでできるって便利だな。


「あいつ本当に人間なのか?」

「人間じゃないなら殺す。人間であっても殺す。興味ないね」

「うちのリーダは毛が逆立ってるみたいだね」


 コロはかなり殺気立っている。

 イリとルナは俺から大きく一歩分ほど下がった。イリは五人まとめて睨みつけている。俺に向けてるやつよりおっかないよ?


「ルナ、イリを連れて逃げて。絶対に戦わない事。会敵しても逃げて。あいつらめちゃ本気だから」

「は、はい」


 ルナはイリの手を引っ張って街の外に走り去った。リシェウスが追いかけようとしたが、負わせるわけないじゃん。叩き返してやった。


「ウゴクナ。殺したいなら死ぬ気で来い」


 コロ達は動けなくなった。俺は言葉に魔力を込めただけだ。これすれば強制できるって、ラノベに書いてあったもん。


「言霊使いか。だが、これくらい」


 コロは無理やり体を動かした。しかし、ゴキゴキバキバキと全身の関節が割れている。全身複雑骨折の患者見る医者がかわいそうだよ?


「『能力同等再生(ニア・リ・ライフ)』『超身強化(トップアップ)』」


 ヒヨリはコロに回復魔法と強化魔法をかけた。コロの怪我は全て治り、瞬きの間に俺の目の前まで来た。一瞬で骨折治したことに驚く間もくれないみたいだ。


「『大地の怒り(マジンド)』 喧嘩売る相手は考えた方が良いぞ」

「『魔力刃(スラッシュ)』 勝てない喧嘩は買わないし、俺が売ってる喧嘩は有料だよ? 買いたいならそれなりのお金はくれないと、窃盗だよ。盗みは駄目だよ」


 俺は平然とコロの斬撃を受け止める。コロも、コロの仲間も、それに、騒ぎを聞きつけた街の住民(ガヤ)も驚きを隠せない。


「コロのAランク攻撃を片手で、魔術師が止めた?」「あり得るのかよ」「でも実際目の前で」「信じられないな」


ガヤがザワつきだす。俺は、軽く吹き飛ばされることにした。だってガヤが五月蠅(うるさ)いんだもん。


「うわー」


 我ながら迫真の演技ではなかったのでは、なかろうか。ついでに、ヒヨノ達にかかっていた言霊も外した。それっぽくしないとじゃん?


「わざとじゃね?」「あそこでパワー負けする方が不自然だって」「あいつ何者なんだ?」


 余計に騒ぎが大きくなりそうだ。


「止めてもダメ、飛ばされてもダメって、俺はどうするのが正解なの⁈」


 俺は自棄(やけ)になって聞いてみた。


「どうするも何も」「あそこまでするならな」

「自力を見せるのが正解なのか?」「いや、殺されるのが正解か?」「少なくともあそこで負けるのは間違いだった」

「五月蠅い! 分からないなら分からないでいいから、ぐちゃぐちゃ言わないでいいよ」

「「「「「知らない」」」」」


 見ていた人全員が口を揃えて言った。


「ダマレ。騒ぎたいなら顎外すしかないよ」


 俺はその場にいた街の人全員に言霊をぶつけた。だって五月蠅いんだもん。


「言霊の反動が見受けられないね」

「確かにな。これだけの事しといて外傷無いのはバケモノだろ」


 アーシュとロノンがこそこそと話している。


「バケモノじゃないんだけど? 見ての通りの人間だよ? 反動って、動きにくくってるやつの事?」

「お前、Sランク冒険者か?」

「Sランクも何も、冒険者じゃないよ」

「冒険者でもないやつがそんな力もってるはずねぇだろ」

「冒険者になれるならなるよ。同業者組合(ギルド)みたいなのってあるの?」


 俺はここぞとばかりに聞いてみた。冒険者ギルドとかファンタジーの大堂だよ? 行きたいに決まってるじゃん。


「俺らに勝てたら教えてやるよ。その前にお前は死ぬがな」

「そうだね。俺って戦ったこと数回しかないもんな」


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