XIX.落ちた先はどこまでも下の階層だった
突如異世界に召喚された俺は召喚の際に変な婆から能力を貰って、一人で森の中に放り出されたのだった。
そこで出会った熊娘獣人のイリ、奴隷商から奪い去ったルナと一緒に彷徨うことになった。
なんとか街に着いた俺達は冒険者登録をした。その後森に行くと魔物の襲災に遭遇したけど、、、色々あって殲滅には成功した。
その後、俺達が迷宮に行くと・・・
俺達は暗闇の中に飛ばされた。
「アイト兄ちゃんいる?」
イリは涙ぐんだ声で俺を呼ぶ。泣かなくても消えやしないんだけどな。
「イリもルナも動くな。静かにしろ」
俺は二人の手を取ってそう言った。
「ルナ安心しろ。お前たちは絶対に死なせない。俺が二人を守ってやる」
ルナの手も震えていたので気休め程度にでもそう言ってやった。
「でも、こんなの逢兎.さん一人じゃ……」
「大丈夫だ。俺は殺せないんだから」
俺は二人から手を放して歩き出した。
「ここどこか教えてくれたりする?」
俺は目の前にいるであろう謎の生き物?に問いかける。言葉通じてるのかな?
「ウ、ウウ、、ウウウ、、、ココハ、、、セ、、ン、、、」
そんな言葉と同時に闇の中でもなお暗い靄を噴出して俺達を飲み込もうとした。
「絶壁」
俺は咄嗟にイリとルナの周りに壁を貼った。自分に貼るのを忘れていて飲み込まれた。俺は靄の中をゆっくりと進んで行く。
「この、靄、動き、にくい、んだよ。…っさと、消えろ…。…つか、消せーーーー!!!」
俺そう言いながら靄を出しているものに触れた。流れに逆流してたら思いの外近いところにいた。
「触れられたら、こっちのもんだ。さっそと消えろ!『服従又死呪』!!!!!」
俺の魔力と靄がせめぎあう。着実に靄は増えなくなってきているが、それでもまだ出てきている。俺は出せないなりに出せる限りの力を振り絞り、さらに手を突き出す。
「うーーぅおーーーー! くたばれー!」
俺は靄を出しているものを押し倒した。靄が出なくなり、少しずつではあるが視界が開けてきた。というより暗闇に目が慣れてきたのだ。
多分ルナが出したであろう光はかすかに見えるが、まだ何も見えてこない。
「ここは、一体?」
突然、イリでもルナでもない少女の声がした。当然だが俺が変な声を出しているわけでもない。声は俺の真下から聞こえてくる。
「てか、重いぞ。誰だ!童に覆いかぶさっておるのは? 拷問刑に処すぞ!」
先っと同じ声がする。
俺の体の下に紫色の髪をして、白い片角の少女がいることに気が付いた。気が付いた瞬間、イリとルナが俺を見つけた。
「ア、アアアアイト⁉ な、何やってんでしゅかーーーー⁉⁉⁉」
ルナが少し噛みながらも大声を上げた。俺も知りたいよ!
「貴様さっさとどけ。でなければ消し飛ばすぞ」
片角娘が急に怒鳴るので、俺は慌てて立ち上がった。
「あ~、ごめん。大丈夫? 怪我とかしてない? どこから来たの? それより君冒険者なの?」
俺は片角娘に手を差し伸べながらも質問をした。てか何から考えたらいいのかさっぱり分からん。
「アイト兄ちゃん説明して。何なのそのこ?」
いつもと変わらないイリの声なのに、どこか威圧感を感じるようなきがする。心なしかいつもよりキレのあるジト目をしている気がする。
「知らないよ。なんか気付いたら俺の下にいたんだって。嘘みたいに聞こえるかもだけどホントで、それは何でかって言うと、俺がこの世界で知ってるのはイリとルナだけなわけで、いや、ギルドの人含めたらもうちょっといるかもだけど、こんな魔族っこ俺は何も知らないわけで......」
「五月蠅い!」
片角娘が俺の良いわけじゃない言い訳を断ち切った。
「どうやら童はこの童に奴隷とされたようじゃな」
俺はものすごい勢いで片角娘の方を見た。俺落としてなくね? 堕としてもないよね?
「アイト兄ちゃん、僕は今すごく冷静だと思うんだ。だから、そのこ殺してもいいかな?」
イリが指をポキポキ鳴らしながら歩いて来る。俺は片角娘とイリの間に立った。恋に落ちたとかじゃないよね? この一瞬で惚れられたら何フェチなのか疑うよ?
「待ってよ。俺さっきも言ったじゃん。こんな子見たことないんだって。俺の奴隷だっていうのも何かの勘違い名じゃないかな?」
俺がイリをなだめるようにそう言うと、後ろから片角娘が口を開いた。
「勘違いなんぞではない。これを見よ。これこそ我がその童の奴隷である証拠よ」
そう言いながら片角娘は左胸を出した。確かにそこには、イリの手の甲にあるある魔法陣と似たような文様があった。
逢兎は、片角娘が見せてすぐに隠した。
「今ポロリとか誰も期待してないから。ポロリしてなかったけどポロリしてもおかしくなさそうだったから!」
俺は片角娘に顔を近づけ、イリに聞こえないほどの声で言った。
「なんじゃ。童は童の様なのが好きなのか? ならばいくらでも見せてやるぞ?」
片角娘は膨らんですらない胸を出そうとするが、俺がその手を止めて、自分が羽織っていたローブを強引に着せた。
「ロリがそんなことすんじゃないよ! 本当に心臓に悪いからやめて!」
「なんじゃ、やっぱりデカい方が良いのか」
俺の言葉に片角娘は残念そうにボヤいている。小さい派だから困っているんだよ!なんて言えるわけないじゃん。
「いや、そう言う事じゃなくて......」
「アイト兄ちゃん?」
俺が何か弁明しようとすると、イリが声をかけてくる。俺は恐る恐る振り返る。
「説明、していただけますか?」
今度はルナが言った。二人とも満面の笑みだ。笑みの向こうに恐怖を感じる。俺は何も言われていないのにその場に正座した。迷子以外の説教は初めてだ。何に怒ったの? ちゃんと服着てるじゃん!
「ではアイトさん。この娘は一体何者なのでしょうか?」
ルナが俺を見下しながらそう聞く。
「初めましての人の紹介とかできるわけないじゃん」
俺は正座したまま身を乗り出して答えた。何も嘘は行ってない! 本当に知らないもん!
「童の名はリバイアサン・グローブ・ローリエじゃ。この迷宮を管理しておる。じゃが、初めて見たものにびっくりしすぎて体が動かせなくなっただけじゃ」
片角娘のリグローが俺の後ろから答えた。ちゃんと“初めて”って言ってくれたことに感謝しよう。ん?
「え、管理ってことは迷宮王? もうラスボス戦なの⁉ でもおかしいよ? 150より下は誰も行ってないんでしょ? てか、俺ら1階にチップ置いてきたよね? ここって何階層なの?」
「1000階層、端的に言えば最下層じゃ」
リグローが答えた。
「チップとやらが何なのかは知らんが、この間、暇潰しに迷宮を改装しようと思ったのじゃが、少し触ったらものすごい勢いで小石が3つほど降ってきおって辞めたぞ」
そのリグローが小石だと思っていたものが俺達のチップだったんじゃないの?
「あれ? そういえば、リグローは俺たちが来たとき何処に居たの?」
俺は話を聞くだけ聞いて次の質問を投げかけた。
「リグローって誰じゃ?」
リグローが聞き返す。
「え、名前長いから君リグローね。嫌でも俺はそう呼ぶから」
「童が童にくたばれだの消えろだの言っていたではないか!」
俺は少し前のことを真剣に思い出す。
「あー、俺が触りに行ったやつ? あれ? じゃあ君死んでるの? 幽霊? お化け? 妖怪? まさか、ゾンビ?」
「どれも違うわ!」
リグローは俺にげんこつをくらわした。親父にもぶたれたことないのに!
「じゃあ何なのさ? あれで死なないやつ見たことないんだけど?」
俺は殴られた頭を押さえながら聞いた。
「童が使ったのは‘服従又死呪’じゃろ。それは対象を殺すまで魔力を呪いに変え与え続ける魔法じゃが、しかし、何よりも生にしがみつこうとする者や術者の傘下に加わることを心中是非とする者には隷属の呪いを与える魔法じゃ。そんなことも知らずに使っておったのか⁈」
俺は目が点になった。俺の脳みその情報処理の限界値を超えた情報量を一度に詰め込まれショートしたのだろう。すごく馬鹿みたいだ
「えっと、つまり、死ななかったら奴隷になるのね。うん、わかったよ」
「違うぞ」
俺のバカな整理をリグローは一蹴した。俺がバグってるときにするまとめはいつも違うと言われるので慣れている。
「奴隷ではない。傘下に加わると言ったんじゃ。間違えるでないぞ」




