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XVI.一人で戦うことほど怖いことはない

 俺は一人でモンスターと戦っていた。一人で次から次に湧き出てくる大群を斬りつけたり、燃やしたり、感電させたりしている。


「いくら何でも多すぎじゃない?『魔力刃(スラッシュ)』『身体発火(テオ・バースト)』『連電撃(サンダーボルト)』 これでも倒しけれそうに思えないんだけど、本当にこれ全滅できるのかな? イリとルナは大丈夫なんだろうか?」


 などとぼやきながらも俺は真面目に攻撃している。ほとんどのモンスターにダメージを与え、半数弱は確実に倒し切っている。全員倒せるわけない量なんだよ!

 モンスターがどんどん強くなるうえに俺の体力も減って行くので、確実に倒し切れる数が減ってきつつある。人間の限界を考えてほしい。


「こんな大量にどこから来てるんだ? 多分根本を潰さないと終わる気配がしないんだけど、て、行ってみないと分かんないか。道、開けて『極大魔力弾(レズ・ジ・ボール)』」


 俺は一直線にモンスターを倒し、モンスターたちが湧いて出てくる方向に向かった。



「イリちゃん、これ以上()がり続けると街が危険です。少しでも前に出てください」

「ルナ姉ちゃん、、、良いんだね。じゃあ、半分の願い。『爆撲(フェインネイル)』」


 イリちゃんは勢い良く殴り飛ばして、およそ視界に移るモンスターの半数近くを倒して前に突き進んで行きました。残ったモンスターもまばらに飛び散って、イリちゃんは近くを通るモンスターを倒しながら進んで行きました。


「イリちゃんにこんな力があったなんて、少しくらい無理させても大丈夫ですよね、アイト…でも、こんなに散らされたら大変です! もう少し節度を持って戦ってほしいです!」


 ルナはイリちゃんが散らしたモンスターを集めて倒すのに精いっぱいでイリちゃんを追いかけられる余裕がありません。



 私が出した冒険者の緊急招集。それは、各地の冒険者ギルドが緊急時に、その地にいる冒険者に対して特例依頼を出すことである。また、この章週に逆らえば冒険者資格剥奪となる。

 緊急招集には、Cランク以上任意招集・Cランク以上強制招集・Aランク以上強制招集・Sランク級緊急応援がある。

 今回出したのはCランク以上任意招集・Aランク以上強制招集である。Cランク以上任意招集は、Cランク以上の冒険者は依頼可決実行中・戦闘不能の重傷を除き冒険者ギルドに集まることを指す。Aランク以上強制招集は、Aランク以上の冒険者は戦闘可能な状態であれば冒険者ギルドに集まることを指す。

 ただし、over Zランクの冒険者はこれら招集の参加は全て個人の自由とされている。なので基本的に参加する者はいない。そもそもover Zランクに上がるようなものは何かあれば応援を出すので強制させる必要がないとされている。


「おそらく皆わかっていると思うが、皆には先ほどの大震を起こした輩についてだ。先程の大震は作為的な揺れであることは明確だ。そこで、皆にはその揺れを引き起こしたものの討伐を依頼する。震源は草原方向だ。今回招集に集まった12名の冒険者に特例依頼を命じる! ギルド内の装備の使用は自由とする」


 私がそう言うと、集められた冒険者は装備を再確認し、冒険者ギルドから出て草原の方へ向かった。



 僕は一人で森のすぐ近くまで突き進んで戦っている。でも、モンスターの数も増えていって、どんどん強くなってくる。森に入るどころか、むしろ後ろに戻されそうになる。だけど、僕はルナ姉ちゃんが後ろにいてくれるから多少は倒し損ねても前線を下げないようにした。ルナ姉ちゃんなら大丈夫のはずだから。


「ごめんルナ姉ちゃん、僕このままここにいるよ。アイト兄ちゃんが弱らせてくれてるんだ。回復される前にダメージ与えれば倒しやすくなるよね」


 僕はアイト兄ちゃんの攻撃で弱っているモンスターから確実に倒していっている。だけど、ダメージの少ないモンスターはそのままルナ姉ちゃんの居る方へと行ってしまう。


「アイト兄ちゃんごめん、約束破る(無理する)よ。『無限連撃(ニアインパクト)』」


 僕は先ほどまでよりも高速で高威力で広範囲を殴り続ける。全体に攻撃しているけど、それでも突破していくモンスターもいる。でも、確実に数は減っている。


 ずっと殴っていたら突然、森からモンスターが出てこなくなった。


「アイト兄ちゃん、全部倒したのかな?」


 僕が森に入ろうとした瞬間、森のいろんな所からモンスターが出てきた。さっきまでは同じ場所から出てきていたのがばらばらになって出てくる。


「こんなにいっぱい、僕一人じゃ…」



 ルナはイリちゃんが倒し切れなかったモンスターを確実に倒しながらイリちゃんを追いかけます。


「イリちゃん流石にこれは任せすぎです。ルナはそんなに攻撃力高くないんですからもう少し減らしておいてほしいですよ」

「じゃあ下がっておきな」


 突然ルナの前に一人の男の人が現れたと思ったらその場にいたモンスターが全員ばらばらに斬られていました。


「あ、あなたは?」


 ルナは助けてくれた男に聞きました。するとその男の人は長くて赤い髪をなびかせルナの方に振り向きました。


「俺はラオ。こう見えてもSランク冒険者だ」


 そう言ってラオさんは刀を鞘に納めました。ラオさんはルナの目を見つめて口を開いた。


「さっきの揺れは君か?」

「い、いえ、さっきのは」

「違うならいい。この先に原因があるんだな」


 ラオさんはルナの言葉を遮るようにして森へ向かってしまいました。ルナはラオさんを追いかけます。



「ラオさん一人で行っちゃったな」

「ラオさんだけで十分なんじゃないですか?」

「それだと私たちの報酬が無くなるんじゃ?」

「依頼の良いところだったのに最悪だ」


 ラオに置いて行かれた俺達他の冒険者たちは追いかけながらもそんな話をしている。


「てか、こんなに細切れにしちゃったら報酬貰えないんじゃ?」


 地面に転がってるラオが倒したモンスターを見てみんな呆れている。


「それよりヤバいのはあれだろ」


 俺が迫ってくるモンスターの大群を指しながら言った。その瞬間全員が戦闘態勢を取った。もっと気を引き締めておけよ。



「ギルマス、ちょっとヤバいよ。Cランクは助けようがないくらいヤバいよ」


 冒険者ギルドの屋根から草原を見ていた(やつがれ)が入り口前にいるロノスさんに声をかける。ロノスさんはそれを聞いて屋根の上まで上がって来た。


「いったい何が…」


 ロノスさんは言葉を失った。モンスターの大群もそうだが、森付近には巨大な竜が3体いる。Aランクがギリだろうの強さな気がする。


11人の冒険者(最終防衛ライン)が破られたら(やつがれ)も行く。問題あるまいな」

「今すぐにでも行ってほしいものだがね」

「今行こうと全滅してから行こうと結果は変わらぬ。あいつらに(やつがれ)の攻撃に耐えられるわけがない」

「加減すれば?」

「生き残ったモンスターがここまで飛んで来る。それでもいいなら今行ってやるよ」

「後にしてくれ」


 ロノスさんは即答した。要らぬ犠牲は極力出したくないらしい。



 俺は森のさらに深く、までやって来た。地面に穴が開いていて、そこからモンスターが続々に出てくる。


「見つけたぞ。『死への誘い・炎(デッドリーファーヤー)』」


 俺は穴よりも一回り程直径の広い火炎放射で穴を塞ぐ。一回りもデカい保証はないけどそれくらいのつもりで出している。

 出てくるモンスターもすぐに倒れれていく。そのまま突き進むものはさらに少数しかいなくなった。

 突然地面が揺れて俺の炎はどこかに行った。揺れでどんどん穴が広くなっていく。直径10mくらいに見えるほど穴が大きくなる。俺の目分量は信用ならないらしいけど、結構デカいのは本当だ。そこから巨大な竜が5体出てきた。俺は両手で1体ずつ黒と白の竜を掴んだ。


「『服従又死呪デッド・オア・アライブ』 くたばりやがれ!」


 俺が2体を抑え込んでいる間に残りの3体は森の外に向かって移動を始めた。一気に5ライは無理に決まってるっだろ。

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