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召喚された世界はどこまでも理不尽だった  作者: 伍煉龍
其之壱:冒険者になる
12/21

XII.冒険者ギルド入会の勉強は単位だけで事足りた

 無音が鳴り響く冒険者ギルド。酒の騒ぎは何処へやら。一瞬を超過する無音の空間がそこにはあった。


「お姉さーん、これ如何(どう)すれば良いの? 要らないなら燃やしちゃうけど如何する?」


 俺はリーノさん?に問いかける。しかし返事がない。


「要らないみたいだし燃やしちゃうね」


 そう言って俺が火球を作ると、突然冒険者たちが騒ぎ出した。


「「「待てーー!!!」」」


 五月蠅(うるさ)い何人かの冒険者が俺に飛び掛かる。


「俺はボーイのラブ的なやつ(BL)は無理なんだけど!」


 俺はとっさに火球を飛び掛かって来た冒険者に目掛けて飛ばしてしまった。わざとじゃないけどわざとだ。


「俺はホモじゃないの!」


 などとぼやきながら俺はまた火球を作る。


「お前はその薬草(クサ)の価値知らねぇのか⁈」


 一人の冒険者が俺に向かって言った。俺は火球を消してその冒険者の方を睨みつけた。


「低ランク冒険者向けの依頼のやつでしょ。誰でも集められるんじゃないの?」


 俺がそう言うと、一瞬未満の短い間その場が凍り付いたみたいに静かだった。


「その草は白い色をしてるだろ! 本来緑なんだよ!」


 さっきの冒険者が俺に歩み寄りながら言う。


「じゃあ欠陥品だし燃やしちゃうね」


 俺はまた火球を作り出す。すると冒険者に頭を殴られた。


「白い色の薬草は稀に生まれる‘厄災’って野郎()の縄張りにしか()えてこねぇんだよ!」

「あー、厄災ってこれでしょ?」


 俺は厄災を指さしながら言った。


「リーノさんが厄災な(わけ)ねぇだろ」


 俺はまた殴られる。見えないのを見ようとする努力くらいしてほしいものだ。


「違うに決まってるでしょ! これだよ! こ・れ!」


 俺は持ち上げて地面に叩き落とした。

 冒険者たちが〇つの〇罪3期(作画崩壊)みたいに唖然とした表情のまま固まった。


「これをお前らが?」

()()!やったの! 死ぬかと思ったけどね」


 後半半笑いで俺は言った。


「危険なことはしないでって言いましたよね?」

「危ないことはしないって約束したよね?」


 イリとルナが頬を膨らませながら言ってくる。怒っちゃってるのかな?


「そんな事よりあいつ殴って良い? アイト兄ちゃんを殴った分よりも」


 イリは俺を殴った冒険者を睨みながら言った。


「そういうのは俺の前に出れてからね」


 イリは飛び出して一発本気で殴った。殴られた冒険者は地面に殴り倒された。俺は直ぐにイリを回収した。足が地面に着かないのに地団太を踏んでいる。


「嬢ちゃん中々やるな。ランクは幾つなんだ」


 頭から血を流しながら冒険者()は聞いてきた。イリは答える気はなさそうだ。


「ランクも何もないよ。俺たち冒険者じゃないもん」


 イリの代わりに俺が答えた。


「ルナ、イリ持つの代わってくれない?」

「いいですけど、何かするんですか?」


 俺はイリを渡すと少し微笑んだ。


「だって此奴(こいつ)、俺たちを殺す気だもん。そんな目をしてる気がする」

「フ、よく分かったな。分かったところで、どうにもんねえよ」


 男は剣を振るう。俺は右腕で剣を受け止めて、左手で男の顔面を掴んで押し倒した。


「中途半端に斬られるのが一番痛いんだけど。斬るならちゃんと切り落としてよ」


 腕にはが入っているのに切断されていないから再生できない。刃があるんだもん。


「はぁ、なんで防げんだよ。その方が可笑(おか)しいだろ」


 イリとルナも大きく頷く。俺の方が可笑しいらしい。切れない方が可笑しいと思うよ?


「俺飽き性だからさ、早く終わらせたいんだけど、厄災(これ)と同じ死に方でいい?」

「やれるもんならやってみろよ」


 男は俺を蹴り飛ばした。

 俺は即座に男に突っ込んで右腕を抑え込み、顔面を鷲掴みにした。ついでに腕の回復を済ませた。


「生き残れればいいな。デッド・オア「待ってください!」……」


 突然の聞き馴染みのある女性の声に俺と男は倒れた。


「ここでの殺し合いは断じて認めませんよ」


 リーノさん?がキッパリと断言した。


「ルードさんもCランクでは彼には勝てませんよ。Aランクでも勝てないそうなので」


 (ルドー)は咄嗟に冒険者ギルドから出て行った。変の雄叫びを上げながら。キモかった。


「えっとー、そういえば名前をまだ聞いていませんでしたね。私はリーノです」

「俺が逢兎で、この二人が、エルフ?のルナと熊娘(くまっこ)?のイリだよ。仲間でいいらしいよ」

「なんですかその紹介の仕方は」

「ちゃんと仲間でしょ! 仲間じゃないみたいな言い方しないで!」


 二人とも俺の紹介の仕方のどこがお気に召さなかったのだろう。謎だ。


「これだけのことをされては冒険者ギルドとしても認めざる負えないのですが、冒険者になるためには必ず戦教を受けていただく必要があります」


 何も聞かなかったかのようにリーノさんが話を進めた。慣れているのかな?


「戦教とは本来師範がすることなのですが、力の扱い方や戦い方なども含まれますが、今の様子だと、恐らく大丈夫なので試験の勉強をしていただくだけで大丈夫です」

「試験って何? 筆記? 実技?」

「皆さんは筆記だけでいいですよ。実技はこれでクリアですので」


 そう言ってリーノさんはルナたちが集めた薬草や魔物をギルドの裏の方に持って行った。


「おじさん、筆記試験ってどんな問題なの?」


 俺は適当に近くにいた冒険者に聞いてみた。


「読み書き算術ができれば大抵は出来る問題だ。ちゃんと勉強することだな」

「読み書き算術か~。読むのは出来たな、書けるかな? 算術ってどのレベルなの?」

「ほとんどの問題はあの棚の本から出るよ」


 別の冒険者がある本棚を指して言った。他の本棚より少し離して置かれている本棚だ。


「おー、そりゃ助かる。アリガトおねえさん」


 俺は本棚に向かい、適当に本を取り出して適当にページを開いた。


「何々、『冒険者ギルド入会模擬問題 算術編応用』か。どんな問題なんだ」


______

問題

1d(デル)c(シーノ)当たり200ベリン掛かる馬車に乗り、30w(ウェン)c移動したいときに必要になるのは何ウェネエルか答えなさい。

また、5人で乗ると100ウェネルの割引が受けられ、5人で割り勘したときの1人当たりの支出は何ベリンになるか答えなさい。

______


 単位がぐちゃぐちゃすぎて意地悪過ぎる問題だ。単位がどれくらいなのか分かれば面倒だが簡単にできる。


「えっとー、単位が分かれば簡単なんだけどな~。後は書けるかどうかだよ。てか、四則演算くらい誰でもできるでしょ。二人とも勉強するよ」


 俺達は冒険者ギルドの一番隅にあったテーブルで勉強を始めた。

 俺は読み書き算術ができるが単位が分からない。イリとルナは読み書きは出来るが算術ができない。単位は教科書を見て覚えた。算術は俺が二人に教えた。理解してほしいのに分かってくれなくて苦戦した。

 そして、冒険者の暗黙の了解という内容の試験体細工をした。暗黙なのに試験に出るらしい。暗黙の意味を知らないのだろうか。


 試験終了直後。


「意外と簡単だったな」

「そうですね。何度も見直せるくらいに時間も余りましたし」

「問題よ!」


 俺達は余裕な表情で笑い話していた。

 すぐに採点も終わりリーノさん俺達の元にやって来た。


「御三方とも無事に合格です。冒険者ギルドカードを発行しますのでカウンターの方へお越しください」


 俺達はリーノに連れられカウンターに移動した。


「ではお一人ずつこちらの測定石(いし)に手を(かざ)して下さい」


 イリは少し警戒している。俺の服が伸びるから強く握らないで貰いたい。


「大丈夫だって」


 そう言いながら俺は測定石に手を翳す。すると、測定石が光った。途端に何もなかったかのように光が収まる。


「はい、ではこちらがアイトさんの冒険者ギルドカードになります」


 俺はリーノさんからカードを受け取る。


「名前と種族、ランク、あとは適正属性とかも分かるのか。俺のは『なし』か。適性が無くても使えるみたいだしいっか」


 俺はカードをしまった。

 ルナ、イリも同じようにカードを貰った。全員ランクはEだった。規則のようだ。


「それと、こちらが入会金になります。5,000ベリンです。それから、こちらが以前お持ち頂いた魔物や薬草の買い取り金になります」


 少なく見ても100,000ベリン以上はあった。

 俺は二人を連れてまず服屋に向かった。二人ともずっとボロボロの布を着ていたので真面な服を買ってやった。それもまだまだお釣りが山のように残っていた。


この章の本編はここで終わりになります。

評価・感想・レビュー等していただけると幸いです。


来週(次回)は登場キャラをまとめます。ご興味のある方はご覧ください。

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