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お題シリーズ4

大切なものがいなくなったから嬉しむ

作者: リィズ・ブランディシュカ



 大切な人がいなくなってしまった。


 でも嬉しい。


 私は笑顔を浮かべた。


 そう、だって、彼はいなくならなければならなかった。


 大切だったけれど、彼といきるより他にもっと重要な事があったから、仕方がなかった。


 彼の亡骸を前にして微笑む。


 一人にしてください、といったから誰にもこの顔が見られる事はない。


 不謹慎だけれど、この表情はとうぶん変わらないだろうな。


 だって、ずっとこの時が来るのを待っていたからだ。


 私は、彼のきらきらした肌を指でなぞった。


 冷たくて固い。


 人間の皮膚じゃなかった。


 当然だ。


 彼は、人外。


 鉱物でできた生き物だったのだから。


 宝石人種と言う存在。


 鉄とか銅とかの皮膚がほとんどだけど。


 手の甲や額に宝石がうまっているのだ。


 これをとって売れば、きっと高い値がつく。


 昨日、とうとう、長い間少しずつ毒を盛った効果が出た。


 それで、こうなった。


 私は部屋の外に聞こえないように小さく「あはは」と笑った。


 知ってる?


 どんなにすばらしくても愛はお金の前では無力なんだよ。


 どんなに大切にしてても、その感情はお金の前では無力なんだよ。



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