梔子 世輪傍
ドアを蹴破って屋敷に突入した。
「クソどもが」
広い邸内にも贋作が溢れてる。
ロビーに入った瞬間、零が飛んだ。そのまま両手に掴んだ銃で、四方八方をメッタ撃ち。
二メートルほどの空間を作った中に、全員が背中を合わせて滑り込んだ。
「ンで、どの部屋に居やがる」
「このロビーを拠点に道を確保する。響子は二階へ、了は左、双子は右だ」
「了解」
「分かり」「ました」
「オッケー」
零が、銃を握り直した。
「3……2……1……」
贋作がジリジリと迫る。
「行け!」
全員が駆け出すと同時に零の姿は消え、銃声と共に左右の贋作が霧に変わっていく。
また強くなったか、もう本気だと見えやしネェ。
絶え間なく発砲音が響く中、ロビーと繋がる湾曲した階段に踏み出す。
リロードに備え、目の前と周囲に魔法陣を出現させた。
「装填する! 準備を!」
零の声が響いた。駆け上がりながら、集中を高める。
「装填!」
魔法陣から、大量の炎を吐き出した。周りからは冷気を発生させ、屋敷が燃え上がらないように防ぐ。
「上がったゼ!」
「二階を頼むぞ!」
上がってすぐ、冷気を巡らせた。
さっきは味方が居たからやらなかったが、二階全部を氷付け。
「さてと」
『前回』は間に合わなかった。全てが狂ってた。
双子は一人ずつ神皇に喰われた。
小夜子が神皇を討つと、その小夜子を零が殺した。
白夜――狐手袋 春香。
明星――小山内 蜜柑。
二人は逆上して零を殺そうとしたから、オレが殺った。
零は、そのまま心を壊し、行方不明になった。
時計屋は斑に殺された。
結局、オレと総一郎だけが生き残った。
破滅していく世界で、総一郎から再び過去に飛ばしてもらった。
未来のオレ――世輪傍が居る限り、響子は死なない。
過去のオレは黒嵐じゃなかった。けど入った方が、事実を早く知り有利になる。不確定要素は、なるべく多い方がいい。
だから総一郎を誘導し、やり直しでは響子を黒嵐に引き込ンだ。
でも、どうして上手くいったんだ?
世輪傍が居る筈の過去には、誰も居なかった。だから、また世輪傍になれた。
もしかして、源典回帰はどっかで一回やり直してンのか?
どのドアにも居ない。
「クソガキめ、ドコに居やがる」
一番奥のドアを開けると、見慣れない日記帳が置いてあった。
まさか……こりゃあ。
「零!」
無線機に叫ぶ。
「どうした!」
「二階の奥だ! 源典がある!」
「何?」
「新しい源典がある! ヤツは百鬼夜行の中だ!」
「矢張り、な……全員! 二階の奥に行け!」
零の声に、双子と了が返事をした。
「ゼロ! どこにおる! ゼロ!」
神皇の声が無線から響いた。かなり疲弊して怯えてる。
ナンだかヤバそうだ。
「零、オレは先に行くぞ」
「……分かった、頼む」
源典に触れた。




