神狩 響子:捌
長い長い廊下を、ロビーに向かって歩く。
零と同じくらい強くなるには、圧倒的に時間が足りネェ。
けど梔子とは、ナンとも芸がネェな。
「総一郎、テメーの尻拭いをしてやるよ」
「来たか」
「オレを過去に送れ」
「時間を超える能力を持っていない者が生身でやろうとは、身体が保たないぞ」
「ヨケーなお世話だ。早くしろ」
「……分かった」
無名が、オレの胸に手を当てた。
「オイオイ、ドコ触ってんだヘンタイヤロー」
「言うな。心の臓に近い方が、操作しやすいのだ」
「あ、あ……?」
コンクリート製の床が、頬を冷やしている。
気がつくと、オレは神狩研究所に倒れてた。
クソいってえ。
身体じゅうボロボロじゃネェか、動けネェよ。
「あ……あ、あ……」
声も上手く出ネェし。
目の前を、オヤジが通りかかった。オレに気付いて叫ぶ。
「おい、君! 一体どうしたんだ!」
駆け寄って来て、身体を抱き抱えた。
オレだって判らネェのか。
そンなツラになってンなら、コッチも好都合だ。
「わ」
「わ?」
ここからが勝負だ。
零の助けになるタメに、バレないよう一人で戦うんだ。
アイツの好きな花が。
世の中がどんなコトになっても。
名前だけでも、最後まで傍に残るように。
「わ」
時間はある。
たった一人で戦って戦って、もっともっと強くなるンだ。
「おい、君……」
「わたしは、くちなし……梔子 世輪傍」




