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行平 康太:伍
姫桜と二人、陽だまりに舞う埃を睨んでいる。
「三百個……くらい?」
「ぶー。せいかいは、よんひゃっこでした」
「本当ですか?」
「本当です」
「怪しいなあ」
「信じるものは、すくわれますぞ」
座敷の横から、慎吾が声を掛けてくる。
「何しているんです?」
「しー。集中してるんだから、じゃましないでよ」
殺意でも含んでいるような眼差しで射貫く姫桜から振り返り、今度は自分から信悟に声を掛けた。
「今日は……」
「あー! ホコリ立てるなあ!」
背後から飛んでくる姫桜の怒号を避け、改めて信悟に言う。
「今日は、何を調べているんだ?」
「こらあ! 聞けえい!」
またしても銃撃してくる、高い声の弾丸は無視。
「整理が重なってしまいまして……今日は二つ、です」
「二つ?」
「ええ。一つは三猿」
「三猿って……見ザル、言わザル、聞かザル、ってあれ?」
「移植された女性二人と、残る贋作」
「贋作?」
「三つでの装飾ですから、惹かれあったんでしょう」
「あと一つは?」
「これは……聞かない方が良いです」
「何で?」
「もう話す人も途絶えてますから問題無いかもしれませんが、聞かない方が良いです」
まあ信悟が言うなら、そうなのだろう。
「忙しそうだな、手伝うか?」
「埃を数えている暇が有るのでしたら、そう願いたいですね」
ばれてたか。




