表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これから世界が死んでいきます  作者: 狐面
序章
3/59

多原 百合

 草薙(くさか)め、また来ているな。

 所長の邪魔だと、()の者は理解出来ていないのだろうか。

 (れい)は良いが、他人である貴様が、私達の家に汚い足で上がり込むな。


 ――殺すか? 


 いや、駄目だ。

 駄目だ駄目だ駄目だ。

 何を考えているんだ、私は。

 気が触れている。殺すなんて、今まで考えた事も無かったのに。

 所長、助けて下さい。貴方をこれほど想っているのに、これほど苦しんでいるのに、どうして気付いてくれないのですか。

 出会った時は(すで)に遅く、貴方(あなた)は婚姻して()りました。

 ですから、こうして(そば)()るしか無いのに。


 貴方は、私が見えて居ますか?


 常に前ばかり見て、(かたわ)らに(たたず)んでいる私の事など見向きもしない。だから私は、独り手に持った人形を(にぎ)()め、千切(ちぎ)り、貴方の前に(ほう)るのです。

 中々気付いてくれないから、既に(いく)つか(もてあそ)び、壊して(しま)ったではないですか。

 両の手は、こびり付いた血が変色し、黒く染まって仕舞(しま)いました。手だけでは有りません。手から広がった血が、身体も、その中の心まで塗り潰して居ます。黒く。ただ、黒く。


 それでも振り返らず、研究に没頭するのですね。


「草薙め……」


 見て居ても反吐(へど)が出るので、私は場を離れた。息子さんの部屋に入ると、彼は嬉しそうに駆け寄って来る。


「さあ、今日は何をして(あそび)ましょうか?」


 所長。最早(もはや)、貴方の家族にしか選択肢が無くなって仕舞いました。

 貴方の所為(せい)なのです。

 私の所為では無いのです。 


 ――ああ、私はまた何と言う事を。

 私は何をしているのだ。

 私は。

 所長、助けて下さい。

 助けて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ