1.出会い~森の中で~
2話目です!
前回の続き―スバルは散歩中に道を外れ・・・!?
なんで?こんな所にアンドロイドが・・・しかも、その躯体の一部破損し、むき出しの配線があらわになっていた。驚いたことに背中のコネクター接続部から樹木が侵蝕し、その枝に花と果実が実っていた。
そして、そのきれいな顔立ちに自然と視線がいった。
パキッ・・・
僕の足元にあった小枝が僕の自重に耐え切れず折れ音を立てた、その乾いた音に気付き反応したのか、わずかに聞こえる駆動音と共にそのアンドロイドの顔と視線が僕に向いた。
アンドロイドと視線が合った瞬間、僕の声が洩れた。
「あっ・・・」
そのアンドロイドは少しの沈黙の後ぽつりと言った。
「・・・・・・・誰ですか?」
唐突に投げられた問い掛けに
「ぼ僕は・・・・スバル、君は?」
答えた僕は質問を返した。
「・・・・・私は・・・私は・・・・あ・・・」
「?」
どこかに不具合があるのか、うまく言葉が出てこないようだ
「・・・思い出せない・・です‥」
と、そのアンドロイドが答えた。
つづけて僕は質問をした。
「君の個体識別番号や型式、所有者・・・も?」
通常なら、最低限の情報は本体メモリーに記録されているはずだ。
「・・・・・思い出せない・・です・・・」
アンドロイドには最低限の情報として一番初期の頃に記録されるが、残念ながら目の前のアンドロイドは思い出せないようだった。
僕は少し焦った・・・こんな森の中で所有者不明のアンドロイド、しかもこんなに破損していると思わなかったのだ。僕はポケットから携帯端末を取り出し、音声操作でハルを呼び出してみた。
「ハル~いる~?」
呼び出したハルの応答を待つ。
「・・・・・・」
返事が無い・・・端末の画面を見ると、ハルとは接続切れで通信ができないようだった・・・再接続を試みるも接続されず通信エラーとなった。
一方、スバルの家ではハルがスバルの帰りを待ちつつ家事をしていたが、ハルはまだ接続切れに気付いてなかった。
「スバルさんまだかな~そろそろ帰宅予定時刻だし準備しようかな~スバルさん今どの辺りです~?・・・・・・・あれ・・・・?もう一度リトライ!!スバルさん~今どの辺りです~?・・・・・なんで~?」
ハルは、何回かリトライしたが、スバルの応答が無かった・・・。ナビプログラムを立ち上げ、ハルはスバルの端末に接続を試みた。
「ナビコマンド端末位置情報・端末ナンバー****、現在地・・・ロスト・・・何で?何でロスト?・・・も、もう一回ナビコマンド端末位置情報・端末ナンバー****位置情報ログ・・・えっ!・・・・どうして?どうして予定経路から外れて・・・・」
ハルは言い知れぬ不安感と高鳴る身体の駆動音と共に家を飛び出した。
次回、スバルの運命は?家を飛び出したハルは何処へ?