プロローグ
初小説ですが頑張ります。暇つぶしになれば幸いです。
不定期更新ですのでどうぞごゆるりとお待ちくださいませ。
ヒグラシが鳴いている。
傍らの時計の短針は6の数字をほんの少しだけを過ぎたあたりだろうか。
(眩しい・・・)
この春めでたく大学を卒業するも、就職先が決まらずフリーターと成り果てた悲しき脱落者、浜野康芳。
趣味はゲーム、アニメ。特にそういう創作物に出てくるワザを真似してみたり、妄想で自分がカッコよく繰り出している…ようなことを四六時中考えているような現実逃避の、クソ野郎だ。
――てんでダメなのだ俺は。人前に出るのが。
「はぁぁ~…」
ふと脳裏に過るは、かつての就職活動の時の面接の風景
緊張で乾く口内
真っ白な頭の中
苦笑いの面接官達
(何笑ってんだイオナズン繰り出すぞバカ。)
――――フラリと枕にうつ伏せになる
(後悔しても過ぎたこと・・・)
”あの時こうしておけば”
そんな――
<”あの時、もしも・・・”を深く考えるなんて時間の無駄>
俺のモットーだ。
(やっちまったもんは仕方がない。次だ次。)
そう、これまで自分に言い聞かせてきたように。
布団から立ち上がり、1階へと降りる。
俺は実家暮らし。
親は優しい。こんな俺に対しても応援してくれてるし、心配してくれている。
だからこそ心が痛い。
安心させてやりたいのだ。
こんな俺に対して心労を掛けてほしくないのだ。
そんな思いで、バイトで少しでもお金を稼いで家にお金を入れつつ、ハロワ通い。
アルバイトは週に3回、夜から深夜帯にかけて繁華街での酒の配達。マニュアル通りの応対をすればいいので俺でもなんとかやっていけている。
故に生活リズムが狂いまくりの完全昼夜逆転。
おかげさまでこんな時間に起きてしまっている訳だ。
今日と明日は仕事は休み。そうだ、これを期に生活リズムを改善して――――――
ダメでした。ムリムリ、ムリだって。誘惑が多すぎるもんパソコンって。何でもできちゃうじゃん。
アニメ、ゲーム、小説、掲示板・・・時間足りないよこれ!
悲しい言い訳をする。我ながら思う。なんて意志の弱さだと。
さっきまでの、家族を安心させてやりたいの下りはどこへやら。
カッコつけたがりの意志の弱いオタクなのだ。
適当に自分に都合良く折り合いを付けて逃げ回っているに過ぎない。分かっている。
だが、現状フリーター生活でなんとか出来てしまっている以上、”意志”の弱い俺はそれに甘んじてしまっている。
追い詰められないとやらないタイプ。
夏休み終了3日前ぐらいに宿題やり始めて。何が夏休みの友だよ!お前なんか敵だバカ!そんな時期もありまたね!
ダラダラとネットサーフィンをして、お気に入りのサイトもあらかた更新の具合を見終わると暇になってくる。そうすると俺はたまに、これまで積み重ねて来た結構な量のブックマークしたサイトを見始める。
こんなサイト登録したか?
懐かしいなぁオイ!
このレイドボスのギミック複雑すぎたよなぁ…
あ、エロい
滅茶苦茶カッコいいコンボMADだ…
たまに見ると面白いんだこういうものは。そう満足気にしながら次々とブックマークしたサイトを覗いていく。
そこへ飛び込んでくる文字列
明晰夢 やり方
(めいせきむ、だよな?)
(夢を夢と認識して自覚することで、夢の内容を制御する…だったか)
かつて俺が厨二病真っ盛りだった頃、なんとかして二次元の世界にいけないだろうかと悩んだ結果、調べに調べて辿り着いたのが確か”コレ”だったはずだ。
結局何ヶ月か試してはみたんだが結局効果は見られず。それ以降、俺の記憶から段々と薄れていったのだろう、すっかり忘れていた。
ふと過る考え。
暇を持て余したフリーターが、かつて躍起になったソレに再び出会った。
ならば導き出される答えはただ一つ!
「今の俺ならいけるはずだ」
何を根拠にだよ。
いそいそと布団を整え、明晰夢に臨むのであった。
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