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020 お出掛けと母の異名

前回のあらすじ

 Q 賢者の石には色々な使い道がありそうです。あと、外出許可を貰えそうです

 A やっと外の世界へ足を踏み入れる訳ですね

 少し眠そうではあるが、大きくつぶらな瞳。虹彩は朱色で、長い睫毛とのコントラストが美しい。子供らしく丸みを帯びた輪郭は、けれど見る者に愛らしい印象を与える。真っ直ぐ伸びた鼻筋は、その下にあるふっくらとした唇へと繋がり、一切の違和感を感じさせない。肌の色はやりすぎな位白いが、それはそれで儚げな印象を引き立てていると言えるだろう。

 そう、目の前に居るのはかなり可愛い幼児だ。敢えて文句を付けるとしたら、幼『女』ではなく幼『男』ということだろうか。


「あっれ……?」


 柔らかそうな唇が、ワナワナと震えている。

 動揺。

 目の前の幼児は動揺しているのだ。予想外の出来事に、頭の中が混乱している。

 思えば、前世では自分の顔を確認するのが嫌いだった。下のほうから数えた方が早かったこともある。大学で遭遇するイケメン達で目が肥えていた為、自分の顔を見るのが嫌だったのだ。髪型や眉を整えれば雰囲気イケメンにはなれたのかもしれないが、それはそれで恥ずかしいという感情が邪魔をしていた。

 では、生まれ変わった今ならどうなのだろうか。けれどそんな疑問は、やはり込み上げる不安によって先送りになっていた。


「良く似合ってるわよ、エイル」

「……何で……?」


 甚平によく似た服を着せられ、姿見の前に立たされた俺。その唇は、まだプルプルと震えている。


「……オッドアイは? 碧眼のキラキラは? 超絶イケメンになるはずなんじゃ?」


 転生とは、そういった強烈なアドバンテージが付与される物ではなかったのか。そう、女の子にモテる為の。

 だが、俺に与えられたのは母上様の遺伝子と親父の遺伝子。白い肌は親父譲り。そしてこの猛烈なインパクトは母上様の……。


「思ってたのと違うんですがぁぁぁあああああああ!?」


 改めて見た今世での俺は、かなりの女顔だった。





「忘れ物は無い?」

「無いって。それ何度目だよ……」


 親父との約束から数日後、とうとう俺に外出許可が下りた。

 本来この世界の子供が本当の意味で外出を許されるのは、学校に通い始める段階になってからだと言う。しかも、その段階になってからでも最初は親同伴で登校するのだと言うのだから、この世界の防犯意識は相当に高いと言える。

 尤も、俺が思っている以上に外が危険という部分もあるのだろう。

 だが、家の中で出来ることなど、たかが知れている。子供の好奇心を押さえ込んでおくには、やはりなかなか厳しい物があるのではないだろうか。

 かく言う俺も、精神年齢こそ20台後半になっているものの、やはり早く外の世界を知りたいという願望は持っていた。

 なので、今日という日をずっと待ち望んでいたのだ。


「エイル、外での約束事は?」

「魔法をみだりに使ってはいけない、スキルも自分が危険な状態にならないと使ってはいけない、知らない人にはついて行かない。もう耳にタコが出来そうだよ……」

「文句言わないの。とにかく、それは絶対に守りなさい。エイルの魔法はまだまだだけど、スキルはもう一人前なんだから」

「……わかりました」


 本当は氷魔法で相手を殺傷できるレベルにはなっているのだが、そこは敢えて言わないでおこう。元より街中で魔法をぶっ放すことは、異世界だろうと何だろうと異常なことだと予想がついていた。

 スキルに関しては、習い始めた段階から口を酸っぱくして言われていたことである。曰く、俺のスキルは既に一端の冒険者並なのだ、と。

 冒険者というのが俺の抱く想像とかけ離れていなければ、彼等は魔物と戦う事を生業としている筈だ。そして、それは魔物を仕留めるだけの術を持っているということで、そんな技量を人に対して使うというのは、異常事態以外では許されないだろう。しかし、俺にそんな勇気があるとは到底思えない訳で。

 ともあれ、今日の外出は俺にとって一大イベントと言える。

 用事の一つはお使い。ニンジンとタマネギを切らしているのだそうだ。

 もう一つは俺の護身用の武器を買ってくること。

 これは、元の世界との明らかな違いと言えるだろう。備えあれば憂い無し。スキルや魔法だけでは対処が遅れる可能性を考えれば、武器を持つというのは当然のことらしい。

 ちなみに、何を買えとは言われていない。もしかすると放任主義というやつだろうか。

 そして最後に、これが俺にとって一番の楽しみであるのだが……冒険者ギルドへの登録がある。

 何故俺のようなお子様が冒険者ギルドへの登録を必要としているかと言うと、ギルドカードがそのまま身分証明書になるらしい。と言っても、あくまで仮と呼べる程度の物でしかないのだそうだ。

 ともかく、仮だろうが何だろうが、あれば便利なのは確かだろう。日本でも学生証や運転免許証の有り難味は十分に身に染みている。

 他にも、ギルドへの登録によって迷子になった時や犯罪に巻き込まれた時の対処が迅速に行えるというメリットもあるとかで、やっておくに越したことはないのだそうだ。

 本来なら子供の入学に合わせて親が勝手に登録しにいくのだそうだが、そこは俺の心情が許さなかった。こういった面白いイベントは、自分で起こすからこそ意味がある。誰かに持っていかれては堪ったものではない。

 なので、今日の用事を全て一人でやりたいと言い出したのは俺自身だったりする。

 これには流石の親父も難色を示し、母上様は猛反対していた。だが、そこをなんとか説き伏せ、親父を味方に引き込んだ末に今日という結果を得たのだ。


「とにかく、暗くなる前には帰ってくるから」

「ちょっとでも空が赤くなる前でしょうが!ああもう、本当にこの子は……」

「ダイジョウブ、インディアンウソツカナイ」

「くっ、すぐはぐらかす……ねえ、インディアンって何?」

「たぶん戦闘民族的な何かだと思います」


 適当な説明もそこそこに、ドアノブへと手を掛ける。このまま問答を続けていれば、それこそ夕方になってしまうだろう。

 元より、俺自身もそこまで長く外に出ていようとは思っていない。と言うより、俺は買い物でも何でもさっさと済ませるのが好きだ。往々にして、買い物なんかでは最初に目を引かれる物が末永く使える物だったりする。

 タマネギもニンジンも日本の物と全く同じ外観をしている訳で、冒険者ギルドで時間を取られない限り、今日の用事自体はすぐに終わる物だと言えるだろう。

 後ろに母上様の声を残しつつ、ただ「行って来ます」とだけ言って玄関の扉を開ける。

 季節は初夏。

 開け放たれた外の世界は、何処か懐かしい眩しさを湛えていた。




 トコトコと余所見をしつつ、下級区を歩く。

 俺が住んでいるのはミッドラルという国で、ここはその王都らしい。

 自宅は上級区で、王都の最外周にある。

 この王都は年輪構造になっているらしく、外から内へ上級区、下級区、中級区、貴族区、王城となっているのだそうだ。

 俺が目指しているのは中級区で、そこで日用品やら何やらが売られているらしい。

 ちなみに冒険者ギルドも中級区にある。

 迷ったら中級区。ちぃ覚えた。


「……チッ」

「またかよ……」


 そんなことを考えていると、本日何度目かになる舌打ちが聞こえてきた。

 現在、俺は肩掛けの鞄を下げている。

 そして、それを人に擦れ違う度に手で押さえていた。と言うのも、母上様からの受け売りでしかないのだが、こうするのが一番引っ手繰りに会わない方法なのだそうだ。俺の身形がお子様なせいかは知らないが、さっきみたいな輩と結構な頻度で遭遇している。手で鞄を押さえるということは、警戒していますというアピールなのだ。

 引っ手繰りではない人に対して失礼ではないのか、と聞かされた時は思っていたのだが、どうやらそれは間違いだったらしい。


「こんなに頻度が高いと、流石にちょっと怖いな……」


 上級区では、こんな目には会わなかった。下級区に入ってからなのだ。

 しかし、目に映る家々は質素ではあるものの、貧乏という印象ではない。石畳の通りと木造住宅の群は、何処か古き良き日本の商店街の様な印象を受ける。もしかすると、王都という事で美観を意識した町並みを目指しているのだろうか。

 だが、それに似合わぬ治安の悪さには辟易する。薄暗い路地には、何のために居るのか分からない連中まで居る始末。なるほど、これは母上様がやいやい言うのも頷けるというものだ。

 そんな微妙な下級区なのだが、実は俺自身そこまで心配していない。

 理由もちゃんとある。

 それは、俺の精神年齢の高さと自衛能力だ。

 俺は体こそお子様ではあるが、中身はそれなりに大人のつもりでいる。危ない場所の分別くらいは大体できるし、あくまで日本基準でしかないものの、もし何かあっても逃げるくらいは可能だろうという自信もあった。

 なので、俺自身は結構な安全マージンを取った上で今日という日を迎えていたのだ。


 ……また背後からゴツンと重たい音が聞こえてきた。


「はぁ……」


 そんな俺の自衛意識とは別に、今日という日が安泰に終わるという確信が、背後にもう一つある。

 後方20メートル程に生えている街路樹。その端から覗く銀の髪。それの傍らに倒れている、先程の引っ手繰りと思しき男。

 母上様である。

 親父から、母上様は昔それなりに有名な冒険者だったとは聞かされていた。だが、脳筋だとは聞かされていない。

 悪いのは向こうだとはいえ、ああも俺から引っ手繰ろうとしていた人達がのされていくのを見ると、俺にスキルを使うなと釘を刺した意味があるのか疑わしくなってくる。

 しかも、問答無用であの所業なのだ。

 倒れている男を見て、他の通行人が小さく悲鳴を上げるもの無理はない。俺だって、事情を知らなければ素っ頓狂な声を上げるだろう。

 そんな暴挙を視界の端で捕らえつつ、俺は敢えて引き攣った笑顔と共に前を向く。


「ミッドラルハヘイワダナー」


 そう、俺自身は平和なのだ。そうでなければ困る。




 また暫らく歩いていると、中級区へと入っていた。

 ここまで来ると、上級区程では無いが、若干平和な空気になった気がしてくる。

 相変わらず護衛様は背後に控えているものの、擦れ違う人の数が増えたせいか、何度か知人と思しき人達に声を掛けられていた。

 上級区、下級区と歩いてきた訳だが、やはりと言うべきか、中級区は活気に満ち溢れている。それもその筈。通路は広く、行き交う人は大勢。辺りには、店への呼び込みの声が幾重にも混ざりながら響いていた。

 そんな中でも取り分け俺の目を奪ったのは、歩いている人達の姿だ。


「やっぱり森族多いなぁ! あ! あのおっちゃんとおばちゃんは犬みたいな耳がはえとる!」


 ミッドラルは森族が興した国である。森族とは、長命な所も含めて地球のエルフ像に近い。

 大通りには、尖った長い耳が生えた青年、犬耳の生えた夫婦と思しき二人組み、その他諸々。

 そう、ここは正しく異世界だった。

 濁ったガラス窓から見える景色ではなく、剣術の練習の合間に見る通行人達でもなく。中級区は、本当の意味で此処が異世界だということを教えてくれる。

 よく『人種のるつぼ』という言葉を聞くが、この光景を前にしたら、そんな言葉は他で使えなくなるだろう。目の前を歩く馬鹿デカイ乳をしたおばちゃんなんかは、頭から二本の角が生えている。何となく顔が牛に似ているので、恐らく牛の獣人なのだろう。その凄まじい光景は、俺の心を躍らせてくれる。


「……ハッ!? いかんいかん!」


 知らず知らず、人の流れを呆けて眺めていた。

 俺が此処に居る理由を忘れてはならない。

 何より、白い目で見られている護衛の人が可哀想だ。


「さて、先ずは嵩張らない物から済ませていこうかな。そうすると、先ずはあそこか」


 なるべく大きな声で、護衛の人にも聞こえる様にごちる。伺いを立てたつもりなのだが、店の角から覗く銀の髪が縦に揺れているのを見るに、どうやらそれで良いらしい。

 護衛の人が隠れている店。その店員らしき人が可哀想な人を見る目で母上様を見ていたのは、見なかったことにしておこう。


「冒険者ギルドか……」


 本音を言えば、こんなメインイベントは最後に取っておきたい。

 だが、それは子供では無理と言えるだろう。登録にどれだけ時間を取られるのか分からないので、門限を考えると真っ先に潰しておく必要がある。もし予想外に時間を食われたとしたら、他の用事を急ぐなり、後日に回したりしなければならない。

 そんな訳で、俺は早速とばかりに冒険者ギルドの場所を近くに居た八百屋のおばちゃんから聞くことにした。


「すみません」

「はいはい、おや!? これはまた可愛いお客さんだわ。えーっと、坊……や? お母さんかお父さんは一緒じゃないの?」


やはり俺程度の年齢の子供が一人で居るのがおかしいのだろう。

おばちゃんは、そんなことを聞いてくる。


「ええと……お使いなんですけどね。一応、一人みたいなものです。あそこの八百屋さんの影に隠れているのが母上様なんですが、ついて来ちゃいまして……」


 目線で方向を教えると、おばちゃんは笑いながら納得してくれた。


「あはは、なるほどね。でも、子供を心配するのは仕方のないことだよ。一人で外に出られるってことは、魔法かスキルが使えるのかい?」

「はい。魔法は中級までなんですけど、4大スキルを使えます」

「はぁ!?」


 何か不味いことでも言ってしまったのだろうか。おばちゃんは目を見開いている。


「ちょっと、中級に4大スキルって……ああ、子供の冗談だわね。びっくりしたわ……ええと、でも魔法もスキルも『一応』使えるのね?」

「え……ええ、『一応』」


 妙に『一応』と強調してくるので、俺もそれに乗ることにしておいた。

 もしかすると、俺の年齢で4大スキルと中級魔法を使えるのはおかしいのかもしれない。


「そう、それなら安心だわね。なら坊や、今日はお買い物? お母さんに何か買ってくるように言われなかった?」


 おばちゃんは平静を取り戻すと、丁寧な質問を投げかけてくれる。世界が違うので、子供の買い物は冷やかしと取られないかと心配していたのだが、杞憂だったようだ。


「ニンジン1ザルとタマネギ5個なんですけど、ちょっと他にも用事があるので、あとで買いに来ても良いですか?」

「へえ、偉いわねぇ。ウチの子が坊や位の歳はもっとはっちゃけてたのに、ちゃんと覚えてきてるなんて。それで、他の用事って?」

「護身用の武器を買わないといけないのと、冒険者ギルドへの登録です。先ず冒険者ギルドに行きたいんですけど、場所とかって分かります?」

「はいぃ!?」


 おばちゃんがまた停止してしまった。

 不安になってきた俺は、おそるおそるといった体で声を掛けてみる。


「あの……」

「何考えてんだい坊やの親は! こんな小さな子供一人で冒険者ギルドの登録と護身具の購入だって!? ちょっと文句言ってきてやる!」

「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい! 俺が言い出したことなんです!」


 正におばちゃんが踵を返し、護衛の人へと向かおうとした瞬間、俺は何とかおばちゃんを止めることができた。

 だが、俺の一言も大概だったらしく、その目には少し訝しむような色が浮かんでいる。


「……坊やが?」

「そうです。僕が一人で行きたいと言ったんです」

「ちょっと坊や、しっかりしすぎじゃないかい? 考えてもみれば、敬語もちゃんとしてるし。一体誰の……」


 そこまで口に出して、おばちゃんは護衛の人の方へと顔を向け……絶句していた。

 俺も気付かれぬように横目で見れば、やきもきした表情で母上様が店の角から顔を出している。あれで隠れているつもりなのだから、本当に脳筋なのだろう。俺に遺伝していなければ良いのだが。


「あ、あの『じゃじゃトカゲ』の子供!?」

「じゃじゃトカゲ!?」


 まさかの『じゃじゃ馬』ならぬ『じゃじゃトカゲ』である。こちらの世界では馬よりイヌトカゲの方が浸透しているということなのだろうが、今は置いておこう。

 とんでもない異名である。

 本当に御愁傷様としか言い様がない。一体、俺の知らない母上様の歴史に何があったと言うのか。


「鳶が鷹を産むとは言うけど……あの脳まで筋肉で出来てそうな子から、こんな賢い子供が産まれるなんてねぇ」

「あ、そういうの脳筋って言います」

「へぇ……」


 どうでも良い会話をしつつ、おばちゃんは変わらず母上様の方を見ている。

 だが、いくら相手が脳筋と言えども、それでは尾行がバレバレだと気付かれてしまうのではなかろうか。流石にそれはちょっと可哀想だ。


「あの……可哀想なんで、あんまり見ないであげて下さい」


 不憫に思い、おばちゃんの服の裾を軽く引く。それにより、おばちゃんは少し慌てた様子を見せながら俺の方に向き直ってくれた。


「あ、ああ、ごめんね。でもそうかい、『じゃじゃトカゲ』の子ならさっき言った4大スキルも、冒険者ギルドへの登録も……あぁ!?そういえばあの子はあの魔法大学の人と!!!」


 どうやらおばちゃんは頭の中で情報を整理しているらしく、その顔が次第に納得の表情へと変わっていく。

 『じゃじゃトカゲ』と聞いた時にはどうなることかと思ったが、やはり母上様が冒険者として名を馳せたという事実は大きいらしい。

 それは俺自身へのバロメーターとしても使われているようで、暫らく考え込んだおばちゃんが覗かせた顔は、彼女が完全に納得したことを知らせるものだった。


「なるほど、坊やなら大丈夫そうだ。冒険者ギルドに行きたいんだっけ? それなら、ここの通りを真っ直ぐ、2ニルほど歩いた所にある。頑張っておいで」


 こちらはまだ何に納得したのか微妙に分からないのだが、取り合えず素直に頷いておく。

 2ニルは200メートル程度なので、目的地は結構近くにあるようだ。

 なので早く行きたいと思ってしまうのは、仕方のないことだと思う。


「ありがとうございます。ギルドへ登録を済ませた後、護身具との兼ね合いもあると思いますが、なるべくすぐに戻ってきますので」


 そうして頭を下げ、俺はおばちゃんが指し示した方向へと足を向けた。

 いよいよ、冒険者ギルドへと足を運ぶことになるのだ。これで歩みが速くならない訳がない。


「……本当に奇跡ってあるんだねぇ。父親の遺伝が強いのかねぇ?」


 先を急ぐ俺には、おばちゃんの護衛の人に対する誹謗中傷など耳に入らない……ことにしておこう。

 また抜き足差し足で後ろを着いてくる母上様が不憫に思え、俺は何も聞こえなかった振りをしていた。

息子の心配をしすぎて身を隠せない母の図

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