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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
異世界での新生活
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自覚

泣きながら手をひかれて家路についた僕。なんというか、セリナやミミ、ヒロコに白夜は家族みたいなもので、ううん家族といって差し支えないぐらい好きになった。でも、手を繋ぐだけでも恥ずかしい。前はそうでも無かったんだけど、なんでだろうね?


なんで恥ずかしいのかなぁと、ミミの顔を見るとすぐにこちらに気付きニコッと笑いかけてくれる。その笑顔がなんだかとても嬉しくて、余計に恥ずかしくなってくる。あぁ駄目駄目。なんか凄く浮かれてるや、僕。


「えっと、さっきは皆学園を辞めようって言ってたけど、僕は辞めないから皆も辞めちゃ駄目。良い?」

「それは良いが、またいらん事を言う輩がいたらオシオキして良いか?」

「ですねぇ、私の範囲殲滅呪文を凌いでから文句を受け付けるようにしましょうか」

「ちょっと待て範囲で殲滅とか、わしの領分ではないか! 任せろ!」

「・・・二人とも駄目だよ。ミミも悪巧みしないの、顔に出てるよ?」


絶対にセリナ達を暴走させたら駄目だ。確かに僕はセリナの殲滅呪文もミミの本気の攻撃も凌いでみせたから、文句を言うならそれ以上の実力を示して貰わないと駄目っていう理屈はわかるんだけどこの二人が本気出すと、ちょーやばいもんなぁ。


「でも、このままだとコージが弱いと思われたままで、悔しいです・・・」


すごく悔しそうな顔をするセリナ。なんだか僕の事なのにそこまで真剣に考えて貰えるのは嬉しいけれど、恥ずかしい。それにそんな顔をさせるのは嫌だなぁ。女の子は笑ってるほうが可愛いもんね。


「だったら、セリナとミミの二人掛りで僕と模擬戦しよっか。二人の攻撃を凌げれば少しは落ち着くんじゃないかなぁ?」

「え、本気でして良いんですかっ?」


セリナにとって自分の攻撃呪文を全開で放っても、確実に凌ぐ僕と戦うのは良い経験になるらしい。色々な術式を編み出し実際に使ってきたものの、その全てを出し切る程の戦闘は、今まで経験した事が無いらしく自分の全力を測りかねているみたいなのだ。


「くふー」


ミミはというと、攻撃というよりも抱きつくのがメインで前に戦った時は危うく組み敷かれて何か凄く危険を感じた。ヒロコやセリナが素早くひっぺがしてくれたから良かったものの、あれは何かやばかった。そして、今のミミはその時よりも破壊力抜群なボディなので僕も本気で逃げないと、めっちゃやばい。


「や、やっぱり一人ずつ戦おうっかなぁ・・・」

「駄目だよぉ、コージィ? 今度こそぉ、好きにするからねっ♪」

「クラスの人が見てる前で・・・?」

「むぅ。そうだった。誰もこない所でしよっ?」

「それだと意味がないから、だめっ。それと誤解を招く発言もだめっ」

「誤解じゃないんだけどなぁ~? にへへ~」


僕の腕を抱え込みながらそんな事を言ってくるミミ。今日はそれがとっても恥ずかしい僕。なので、すぱっと逃げた。捕まった。逃げた。ダッシュ!


「もうやっぱり、二人と戦うのは無しっ! なんか危ない! 早く帰るよ! 家まで競争!」

「あ、ずるい! まってぇ!」

「え、早いですよコージ!」

「逃すものか! とりゃぁ!」


あ、白夜が通り過ぎた。あれ、引き返してきた・・・って背中に乗るなっ?!


「よし行け! わしの身体を燃料に疾く参れ! しっかり押し付けてやる!」

「あ~~~! そこはミミの席なのに白夜ずるいっ!」

「誰のものでもありません! あえて言うならわたしのベッドです!」

「マスターもてもてだね、ひゅーひゅー!」


ヒロコ、君は一体いくつなんだ。駄目だ今日はすごく恥ずかしい。とにかくこの場をすぐに逃げ出したくて、一目散に家に向かいましたとさ。





僕の中で何かが変わった次の朝。意識して教室に入るとやっぱり色々と突き刺さる視線。でも、よくよく考えて見るとファウンデルス卿やリュートの視線に比べたら、数が多いだけでちっとも怖くなかった。今までなんであれだけ怯えていたのか不思議。


「ぷふっ」

「お、コージ元気そうやないか、おはようさん」


昨日までの自分がおかしくて、つい笑った所にハルトがやってきた。


「あ、おはようハルト。昨日はみっともない所見せてごめんね」

「ぉおう。気にすんな、大丈夫なんか?」

「平気平気。ありがとね~」


あれ? ハルトと会話しただけでまたざわつき始めた。そんなにずっと見ていて退屈しないのかなぁ?


「おい、転入生」


まぁ、他の人がどう考えようとハルト達ともセリナ達とも仲が良いのは変えようがないもんね。だって仲間だもんね。


「おい転入生、聞いてるのかっ!? こっち向け!」

「ヴァイス、うるさい」

「ハルトは黙っててくれ。俺はそこの転入生に用があるんだ!」


んー・・・ヴァイスって名前なのねこの人。魔法実習の時に誤射した人だ。まぁ誤射じゃなかったんだろうけども。ていうか転入生って僕だけじゃないんだけど、この人はそれを分かってるのかなぁ?


「あら、わたしに何か用ですかヴァイスさん。決闘ならいつでも受けますよ?」


ほら、セリナが早速怒ってるよ。


「い、いえセリナさんではなくて、そこの転入生に・・・」

「あら、わたしも転入生ですよ? さぁ何の用です、ヴァイスさん」


仕方がないなぁ。このままだと話が進まないからぼちぼち相手しないと駄目かぁ。


「セリナ、ありがと。それぐらいにしてあげて? で、そこの人、僕に何か用ですか?」

「俺はヴァイスだ! ろくな成績じゃないくせに生意気な奴め! おまえがなんでハルトやセリナさん達に馴れ馴れしくしてるんだ! 身の程をしれ!」


ちらりとハルトの方をみると、あちゃーって感じで天を仰いでいる。この人、前からハルトにも突っかかってたみたいだね。でも埒が明かないから昨日みたいな事になって、それでも懲りずにハルトと話ししてるから、直接僕に言ってきたって所かな?


「えっと、同じクラスメイトなのに身の程とか言われても・・・?」

「ハルトは同じ学年だが、すでに何度も遺跡に潜って戦果を上げてるんだ。おまえみたいな有象無象とは違うんだよ!」


えー・・・そんな事言うならこの間の動乱に少なからず関わってる僕も凄いんじゃない? 言わないけど。


「そんなの誰が決めたの?」

「決める事じゃない、そういう物なんだ! いちいち口答えするな!」


うーん・・・僕がハルト達と仲良くしてるのが羨ましいって事なんだろうなぁ。でも、そういうのって他人が決めていいもんじゃないと思うんだけど。


「んー・・・それじゃあ、模擬戦で僕が君に勝てば問題無いって事でいいのかなぁ?」

「・・・へぇ。まさか君からそう言ってくるとはね。ちなみに俺の成績は・・・」

「うん、僕より上って事でしょ? いいよそれで」

「ほぉ、逃げるなよ転入生」


そう言い捨て戻っていくヴァイス。最後まで僕の名前を言わなかったなぁ、あの人。でもいい加減はっきりしよう。僕はセリナやハルト達の隣に立っていられる人間かどうかを。




今日の投稿はこれだけです。


明日も一話だけになるかもしれません。

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