みんなでお出かけ
少し冷たい空気を感じて目が覚める。最近は日中はかなり暑いんだけど、朝晩はかなり冷え込む。寝てる間に乾燥した空気にさらされていたのか、喉が渇いて仕方がない。台所に行って水を貰ってこよう。
「あー・・・」
なんか身体がすっごく重い。寝起きにしてもちょっとしんどい。これって鼻血出した影響なのかなぁ? ずるずるとゆっくりながらも布団から這い出る僕。
ゴトゴトゴトッ
「ん?」
何か転がった音がしたけど気にしない。あー身体が軽くなった、寝起きでしんどかっただけみたいだね。お水お水。とてとてとゆっくりと台所に向かう。ロバスのこの家の水道はちゃんと蛇口から水がでるようになっているから、簡単に水が飲める。ロバスって便利な所だよねぇ。
「ふぅ、おいしかった。もう少し寝よっかなぁ」
まだ早い時間に目が覚めたらしく、まだちょっと外が暗い。部屋に戻ろう。
「ごめんなさい」
四人が起き出して、勢いよく僕の部屋に入って来た時は何事かと思ったんだけど、よくよく思い返してみると昨日は下の部屋でみんなと寝ていたのを思い出した。こっちに来て日が浅いのに、自分の部屋に戻る習性がついてしまっていたようだ。
朝、セリナ達が起きると僕が居なくなっていたので驚いたそうだ。しかも、どうやら僕は皆を蹴散らして部屋を出て行ったみたいで、それも皆が怒っている原因にもなっている。
「ひどいです、もう。罰として一週間一緒に寝て貰いますからね」
「はい分かりました」
全面的に僕が悪いので許してもらうには、なんでもするしかないのである。だけど、一緒に寝るっていうのは拷問に近いなぁ・・・でも、これに慣れたら鼻血を出さなくて済むようになるかもしれない。
「というわけで、トラブルもありましたが今日はお出かけするのです」
そうセリナが宣言して、僕達は朝の件でちょっと気まずい思いをしたけど、気を取り直して町へ遊びに行く事にした。
今日は他のブロックへ直接行ける内環状が使えるので、移動時間が前回ほど掛からないのであちこちを見て回る予定だ。まずは今回も北ブロックにある女神像へ赴いて、誰かが女神像に声をかけられないか確認して、次に南ブロックに行って服飾店へ向かう。その後はお腹の減り具合にもよるけど、今度こそ「レアリア」に行く予定なのである。
「うふふ~・・・ふふふ」
バスに乗って移動している間、ミミはずっとご機嫌だ。終始笑顔をふりまき、周りの人間の目を男女問わずに奪っている。そして、その笑顔の先が僕に向かっているのを知ると大概が突き刺さるような視線を投げかけてくる。更に僕の周りにいるセリナ、ヒロコ、白夜を見て、視線の強さがヒートアップしていくのであった。
「今日は誰か神託受けられるかなぁ?」
「どうでしょう? それこそ運がよければですね。ひょっとしたらコージがまた神託を受けるかもしれませんし」
え、あれって二度も受けられる物なの? 一回こっきりじゃないの?
「いえ、受ける人は立て続けに受けたりするものらしいですよ? 普通は神託を受ければかなりの幸運が舞い込むので、あまり繰り返し来るものではないみたいですが」
「だったら、僕行かない方が良いのかな?」
「うーん、前の分はかなりの幸運というか必要な事だったような気もしますけど。別にそんなに気にしなくても良いと思いますよ?」
「うんうん、それにぃコージが来ないと寂しいもん」
ミミは嬉しい事言ってくれるよねぇ。嬉しくて思わず頭を撫でてしまう。そうするとミミは蕩けるような笑顔になり、周りの人間をさらに魅了した。うぉ、やばい。ここら辺でやめとかないと僕の身が危なそうだ。
女神像のある縦穴の通路は相変わらず混んでいた。だけど、今日は前に比べると少し人の流れが早くて、すぐに女神像まで辿り着きそうだった。
「して主よ。これに一体どんな意味があるのじゃ?」
「運が良いと試練を与えられて、それをクリアしたらもっと幸運が舞い込む・・・って事かな。運試しって感じになるのかな? そういったのって分かる?」
「なるほど運試しか。わしは一か八かとか、のるかそるかとかいう言葉は好きじゃ」
「白夜が言うと、なんだか物騒な気がするなぁ・・・」
そうやって他愛ない話をしていると、あっという間に女神像の前に辿り着いた。女神像の前についた途端、ヒロコが妙な踊りというか動きをし始めたんだけど、それが神託を受けての事なのか、急にアホな事をしたくて始めた事なのか判断しかねた。だって、最近のヒロコって謎が多すぎるんだもん。唖然とした顔でヒロコを見詰めると、にこっと笑った。うん、これは単純にアホな事をしたくなっただけだな。
「誰か、神託受けた?」
僕の質問に頭を振る皆。今回は僕も何も聞こえず、ちょっと残念だった。まぁ、優しそうな顔の女神像を見るだけでも、充分楽しいからいっか。
「マスター、ボク神託を受けたように見えた?」
「ううん。アホな子に見えた」
「アホって何さー! マスターのあほー!」
「はいはい」
「うわっ、なんかその投げやりな感じが更にむかつくー! むきー!」
「うはは」
と、ヒロコとじゃれあっていると誰かとぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい」
「あぁ? ぶつかっといて謝るだけで済むと思ってるのか、兄ちゃん?」
「え?」
なんだかヤクザみたいな事を言う人だなぁ。ちょっと見た目も怖いし。
「昼間っから綺麗どころはべらせて良い身分じゃないか。侘びに俺に寄越しな兄ちゃん」
そう言って、セリナの腕を掴もうとするヤクザみたいな人。あれ? 気付けば周りに人が居なくなってるし。僕とヒロコとじゃれあい過ぎて皆逃げたみたいだね。
「やめてください。無理な事言わないで下さいよ。危ないですよ」
セリナを掴む前に、その手をがっちりと掴み逃がさないように、しっかりと両手で持ち直す。
「なんの真似や? こんな事をしてタダで済むと思ってるんじゃ・・・」
「うーん・・・おじさんって、痛い目を見ないと分からない人なのかな?」
セリナやミミに手を出して無事に済むと思っているんだろうか、この人は。嫌われたりしたらタダじゃ済まないって言うのに。
「コージ・・・」
なんだか、顔を赤くしてこっちを見ているセリナ。え、おじさんをセリナから守ってるだけなのに、なんでそんな反応になるの???
「ちっ、覚えとけよ。面は覚えたからな、兄ちゃん」
僕が余りにも真剣な表情で力強く腕を握っていたせいか、そう言ってその場から離れていってくれたおじさん。面は覚えたって、別にお礼なんて良いのにねぇ。律儀な人だなぁ。
「真剣に話せばやっぱり分かって貰えるよね。良かった良かった」
「コージ、ありがとうございます。うふふ」
「え、いや当然の事しただけだよセリナ」
被害者は出ないに越した事はないからね。そう思ってにっこり笑ってセリナを見る。セリナもそう思ってくれたのか、笑顔を返してくれた。何事もなくてほんと良かった。
中々遺跡実習まで辿り着けませんね。自分で書いておきながらモドカシイッス。