訓練と日常
訓練が終了し、舞台やダミー人形の後片付けをして学校を出て喫茶店に入る僕達。もっと強くなる為に今日の訓練内容を冷静に分析し、良い点と悪い点を洗い出すためだ。
「あー、まずはみんなお疲れさん。今日はランバルトの提案と可哀想なコージの為にちょっと変わった訓練をしたけど、皆の感想を聞きたい。セシーどうぞ」
ラインハルトが、そう切り出して今日の反省会が始まった。可哀想なコージって・・・
「またこのパターン? いいけど。今日分かったのは、護衛対象が居るとやっぱり難しいのね。今日の敵は10階層以上の奴らだったから余計にだけど、それにしても簡単に分断されたし、魔法の入りも悪かったわ。あれにはちょっと泣けて来たわね」
訓練の内容を思い出しながら応えてくれるセシリア。僕達からは見えなかったんだけど、セシリアの魔法も上手く決まらなかったみたいだ。
「じゃ、次はバルト」
「俺か。今日は分断されてしまった事でらしくもなく焦ったな。指示を出そうとしたが、うまくできずに事態を好転させる事ができなかった。結局個人の力だけに頼った下の下だったな、今日は」
断定した口調でランバルトは感想を述べる。口調だけを聞くと落ち込んで居ないように思えるんだが、顔を見れば苦々しい顔をしているので今日の訓練は腑に落ちない事が多いのだろうと推測できる。
「じゃ、エリー」
「魔法がまったく駄目だった。要練習」
ぼそぼそっと応えるエリー。それなりに魔法に自信があったようで、それだけを言うと俯いてしまった。
「僕もだね。魔法を効果的につかえない、剣で敵をあしらえない、護衛対象もうまく守れない。ないない尽くしだったね。ただ、カッターを2匹に当てられた点だけは良かったかな。それ以外は実力を出し切れたとは言えない」
指名される前に応えるレイモンド。それを受けラインハルトも感想を述べ始めた。
「そうやなぁ。今日はみんな精彩を欠いていたとしか言えんなぁ。でもあれが本当の実力と言われても文句は言えん。常に100%の力を出し切れるとは限らんのやからな」
そういって、皆の反応を伺うラインハルト。今日の訓練が実力だろうと言われてしまい、みんなは少し不満があるようだ。
「そやけど、結果を見てみぃ。敵の攻撃を凌いで撤退という目標が、なんのなんの敵を殲滅してもうた。わしらの拙い連携でも結果は十分以上のものが出せたと思わんか?」
どや? って感じで再度みんなを見渡す。
「まぁ作戦目標と違う結果が出たのはたまたまにしろ、磨けばもっと上を目指せるやろうなと、今日とくに思った。」
「んーそうねぇ。結果だけ見れば悪くないっていうのは確かにそうね。満足はしてないけどね」
「うん、練習しなきゃ」
「そういう見方もあるわけね。なるほど」
「俺はやるからには一番を目指したい。その為の努力は惜しまないつもりだ」
口々に感想を述べる皆。確かに連携はちょっとまずかったけど、結果としては僕が攻撃される事もなく無事に終わっているよね。それにパーティを組んでからまだ日が浅い分、ランバルトも皆が出来る事を把握しきれていないんだろう。
「それに、今日はコージは戦っとらん。まぁバランスを調整するのは難しいかもしれんが、コージも戦えばさらに良くなると信じてる」
そういって僕を見てにやりと笑うラインハルト。またにやりって笑うし。もう。
「でも、僕って使いづらいユニットじゃないかなぁ?」
どれもこれも、それなりって感じなのでツボを抑えれば、ハマるかもしれないけども。
「そこは俺の腕の見せ所だろう。で、今日はどうだったコージ?」
「護衛対象になるのは、他の人にお願いしたいね。僕も一緒に訓練したいよ」
「なに言ってるの。間近でちゃんと私達の活躍を見たでしょ? 誰に何を任せられるか知るのも立派な訓練なのよ?」
「あんまりセシーやエリーばっかり見てまた鼻血だされたら困るけどな。ま、ほどほどにしとけよー?」
「ちょっ、ラインハルトは僕の事をどんな目で見てるのさ?!」
ラインハルトめ言うに事欠いてなんて事を?! 血の気が多いのは本当だけど、なんだか僕がすごいスケベみたいじゃないかっ?!
「まぁまぁ、そういうのは慣れだから大丈夫だよコージ」
「レイモンド!? その突っ込みは想定外すぎるんだけどもっ?」
その後は、悪い点を洗い出し、何故そうなったかを各々理由を考えてくるようにという事になり解散となった。
家に帰ると、美少女達が出迎えてくれた。うん、やっぱりミミって成長してきてるよね・・・? しかも凄い勢いで。本人は気付いてないのかなぁ? 僕に対する態度が全く変わってないんだけども・・・
「コージィ、おっかえりぃ~!」
そういって、僕に飛びつこうとしてセリナや白夜に止められている。うん、止めようね。そんな事されたら僕、また鼻血で噴水しちゃうからね?
「セリナ達も班の人たちと、訓練してるんだよね?」
「ううん。一回しただけでぇ、後は良いっていわれたよぉ?」
「私もですね。ちょっとやりすぎちゃったみたいで、リーダーの人が大喜びしてましたけども。今後は程々に動くようにしないと駄目ですねぇ・・・」
「わしも不思議そうな目で見られてのぉ。あんな目は好かん」
「ボクは応援してれば良いから、楽だよ~」
あー・・・凄すぎて合わせるのも大変そうだもんなぁ、みんなは。ヒロコはあまりの戦わなさに応援させてるんだろうな、きっと。
「凄すぎると、それはそれで大変なんだねぇ。僕も頑張らないとね。あ、そうだ! 明日ってどこか行きたい所ってある? 一応、セシリアとエリーに女の子が好きそうな所を聞いてきたんだけども・・・」
と言っても、どこもかしこも買い物関連だったんだけどもね。覚えるのに一苦労した。
「一緒にお出かけできるなら、それで・・・と言いたいのですが、私は服を見に行きたいです。ロバスだと色んな服が売っていて見に行きたかったんです」
なるほどセリナは服ね。なるほどなるほど。
「ミミも服が見たいなぁ。コージにぃ選んで貰いたいの・・・」
「僕が選ぶより店員さんのほうが、可愛いの見繕ってくれるんじゃないかなぁ?」
「だぁめ。コージが選んでね?」
「もう、分かったよ。後で文句言っても知らないからね?」
「わぁい」
「あの女、中々やりおるな・・・」
「えぇ、いっつも私負けてるんです。可愛い顔して中々押しも強いですし・・・」
なにやら、セリナが白夜とぼそぼそと内緒話をしている。セリナ、白夜と仲良くなったんだね。良かった良かった。
「白夜は・・・どこでもいいよね?」
「主っ!? その対応はいかがなものじゃ?! わしだって傷つくぞ?」
「わぁ、ごめんごめん。白夜は自分で色々出せる見たいだから、服とかは別に要らないのかなって思ったんだよ」
「出せるけど、要らないって訳では無いんじゃぞ? わしを傷つけた罰として、わしに似合う服を選べ。良いな?」
「はいはい。知らないよ、どうなっても」
小物が売ってる一角や服が売ってる一角は隣接しているので、色々合わせながら見て回るのが良いだろうね。あ、そうだ町ではぐれたりしたら困るからみんなに携帯を渡しておこう。あとお金も分配しておこっかな。借金も綺麗に無くなったしね。
「なんでボクには何も聞かないのかな、マスター?」
「ん? ヒロコはどうせ小物とかが見たいんでしょ? ちゃんと行くから大丈夫だよ?」
「む。むむむ。何も言わなくても分かって貰うのは嬉しいんだけど、なんだかマスターのくせに生意気だって凄く言いたい! 生意気だっ!」
「なんでさ!?」
もうヒロコは本当に何を考えてるか、さっぱりだよ。んと、とりあえずお金は今どれだけあったっけかなぁ? 一万ゴールドぐらいあったはずなんだけど・・・そこからお金を数えた記憶がないなぁ。あ、やっぱり一万ゴールドぐらいだね。一人二千ゴールド渡しておこう。
「それじゃあ、お金と携帯渡しておくね」
そういって皆にお金と携帯を渡す。セリナには前に携帯渡しているからお金だけだけど。
「え、なんでこんな大金を渡すんですか? まさかの手切れ金・・・!?」
「セリナの発想は想定外だ! なんでそんな発想になるのさ? これは今まで皆で稼いで来たお金だよ。僕が預かってたけど、ちょうど良いから分配してるだけだよ、もう」
「じゃあ、おこづかいだねぇ。えへへありがとうコージィ~!」
ごめん、おこづかいって感じじゃないぐらいどでかい袋に入れてごめん! 両替しとけばよかったよね・・・でも、指輪に入れておけば出すのも入れるのも簡単だから許してね。
ヒロコはともかく白夜はあんまりお金を使う事はないだろうけど、持ってたら何かと役に立つと思う。それに皆に渡しているのに白夜にだけ渡さないというのも、仲間はずれにしてるみたいで嫌だしね。
それじゃあ、明日のお出かけに備えて今日はゆっくりと寝るとしよう。
「なんでこうなってるんだろう・・・」
「班の人達とばかり遊んでるからです。私たちもコージ分を補給しないと駄目なんです」
「うん、コージがぁかまってくれないから仕方ないんだよぉ?」
「主の自覚が足りんのじゃ。もっと構え」
「すー・・・すー・・・」
なぜかその日は、下の部屋に布団を敷いて皆で一緒に眠りました。鼻血、大丈夫・・・だよね・・・?
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サブタイトル苦手です。数字だけにしちゃおうかなぁとか考えたり。
人が増えてきて、コージ君も色々学んでいく予定です。
で、いまさら気付いたんですけど、大好物なツンデレが居ない。リアルでツンデレはきっと凹むでしょうけど、大好きですツンデレ。