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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
異世界での新生活
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はじめての集団訓練

「コージィ、ごめんなさい・・・」


申し訳なさそうに、そう謝るのはミミ。ただでさえ小さい身体がそうやって申し訳なさそうに俯いてると、さらに小さく見えて居た堪れない気持ちになってくる。


「いや、まぁなんというか謝られるのも違うんじゃないかなぁ・・・」


どっちかというと僕が悪い・・・と思うし。事の発端は、魔法実習中にさかのぼる。今日は授業で魔法を唱えると言う事で演習場にて授業をしていたのだ。だけど僕は放課後にどういった事を皆に見せようか考えながら、クラスメイトが唱える魔法を上の空で見ていた。そんな僕に向かって故意かどうか分からないが、魔法の流れ弾が飛んできたのだ。上の空の僕は一瞬反応が遅れたのだが、ミミは即座に反応していて僕を抱きかかえて流れ弾から守ってくれたのだ。


だが、それがイケなかった。いや、イっちゃったと言うべきか。


抱きしめられる格好で地面に転がる僕とミミ。もちろん僕に覆いかぶさるようにミミが僕を押し倒している。最近、気のせいかもしれないけれどミミの色々な所が成長しているようで、この時もあまりの柔らかさに、思い出してしまったのだ。美少女達の抱擁を!


ばひゅっ!


あとはもうご想像の通り。少量ではあるけれど、鼻血のジェット噴射をしちゃった僕は保健室に直行。もちろん放課後の訓練などラインハルト達に許して貰える訳もなく、現在ミミに謝られているわけだ。


「授業中にぼけっとしてた僕が悪いんだから、謝らないで? むしろ助けてくれてありがとう、ミミ。で、あのその・・・聞きにくいんだけど・・・」

「ん? なぁに?」


うっ、ずごく純真な眼差しが僕に突き刺さる。どちらかというと駄目な質問をしようとしてるから、質問をするのに躊躇してしまう。


「えっと・・・最近、背が伸びた?」

「ううん。伸びてないよぉ?」


失敗した! きょとんとした表情で返事をしてくれるミミはとんでもなく可愛い。駄目だ聞けないや。成長したかなんて聞けないっ。


「ん?」


なんだか最近、ミミは成長してきている。気のせいかなって思ってたんだけど、こないだと今日の抱きつきで良くわかった。弾力が違うのだ! それまでも確かに女の子だなぁってうっとりする程柔らかかったんだけど、今は違う! ボリュームがあるのだ。色々と! 駄目だ思い出すな僕!


「どうしたのぉ、コージぃ? 息があらいよぉ?」

「な、なんでもない。大丈夫。だいじょうぶだからっ」


心配そうに覗き込んでくる、無防備なミミを宥めて事なきを得た。とりあえずミミの事は帰ったら母さんにでも聞けばいいや、うん。





「じゃあ、準備はいいか?」


放課後。フォーメーションの練習をする事となった。と言っても僕は戦う訳ではない。


「さすがに可哀想だからな。今回はパーティに護衛される人間役をコージにして貰おうと思う。俺達も誰かを守りながら遺跡を移動するという事が無いとは言い切れないからな」


そう提案してくれたのはランバルト。僕のあまりの不憫さに僕が訓練に参加できるように考えてくれたのだ。護衛される人間とはいえ間近で皆の実力を見れるのでそう悪い物では無いのだ。で、敵役としては訓練場に容易されているダミーを使い、それを凌いで撤退するというのが、今回の目標だ。ダミー人形は強さを設定できるのでこういった訓練にうってつけなのだ。


敵は魔法使いが混じったオーク6人のパーティだ。魔法使いが一匹に、あとの五匹は全て前衛だ。がんがん殴りに来る実にオークらしい編成だ。


こちらはラインハルトとセシリアが前衛、レイモンドが殿をつとめ、ランバルト、僕、エリーというメンバーを挟んでいる形となる。戦闘中はランバルトが指示を出して配置を組み替えていくんだけど、基本的にはこの構成で遺跡内部を進む事になる。


今回は遭遇戦という事で、古代遺跡の中のように通路を設定しランダムタイマーでダミー人形が僕達に襲い掛かってくるようにして、それらしい演出をしてみる。


「グォオオオオオオ!」


オークが襲ってくるのを今か今かと待ちくたびれて来た頃に、急にオーク達が襲って来た。


「ちょこざいな! セシー! 抜けてったやつを頼む!」

「はい、任せてっ」


ラインハルトはセシリアが魔法剣にする為の詠唱の時間を稼ぐために、オークの群れに向かって前進する。そしてラインハルトが作ってくれた僅かな時間を使って、セシリアは炎の魔法剣を作り出した。


「“我が力に応え、その身を護りたまえ。ホーリーコート!”」


ランバルトが防御魔法を前衛二人に唱える。


「エリーは、氷系の魔法で足止めできるか?」

「やってみる」


「“氷よ! 冷気をもって我が敵を留まらせよ! コールドロック”」


前衛二人を抜けてこちらに来ようとしていたオークに向かって、拘束する氷系の魔法を唱えるエリー。だが、レジストされたようで一瞬動きが止まるものの、オークの勢いは止まらない。


「どっせい!」


突破してきたオークを盾を掲げて体当たりするランバルト。そしてすかさず僕の前にでてくるレイモンド。そういえばレイモンドの使える系統ってなんだろう?


「“風よ! 我が敵を斬れ! カッター!”」


風の魔法をオークに向かって唱えるレイモンド。なるほど、よく似合ってるなぁ。しかもカッターの延長線上には、別のオークもいたのでついでと言わんばかりに、切り裂いていった。そして、ランバルトと場所を入れ替わりオークを攻め込む。


「“ゲェゲッゲッゲゥゲッ! バーンウォール!」


向こうのオークが、前衛と僕達を引き離すつもりなのか炎の壁の魔法を唱える。これでラインハルト達は四対二で、僕達は二対三プラス護衛対象の僕となった。意外と頭を使って攻撃してくるダミー人形。侮れない。


炎の壁のせいでラインハルト達が見えにくいが、信じる事にしよう。レイモンドが相手にしているのとは別のオークが僕を狙って突進してくる。それに釣られてランバルトが動くが、それをレイモンドが気にした拍子に一気に二匹のオークは駆け抜け、僕達の退路を断つように動き叫んだ。


「グゲーーーーッ!」

「“ゲェゲッゲッゲゥゲッ! バーンウォール!」


そしてさらに時間延長するかのように炎の壁が出現する。そのせいで僕達は炎の壁を背に戦う事になる。


「“氷よ! 冷気をもって我が敵を留まらせよ! コールドロック”」


目まぐるしく敵との位置関係が変わる中、冷静にエリーが呪文を唱える。だが、これもレジストされ今度はエリーがオークに狙われる。


「くっ・・・こいつら連携上手い奴らだなっと!」


エリーに向かうオークを真っ向から受け止め、僕とエリーを庇うランバルト。護衛対象が居るとやっぱり自分の力を発揮しにくいんだろう。ランバルトもレイモンドも必死に守るために動き回っている。


だが、しばらくすると炎の壁を突きぬけラインハルトが飛んで来た!


「待たせたなっ!」

「グゲェェエエエエエ!」


どうやら向こう側は決着がついたらしく、オークの悲鳴が聞こえる。向こうでセシリアが止めを刺して回っているのだろう。こうなれば、後は早かった。二対一が次には三対一になり、あっという間にオークたちを殲滅した。


目的は撤退だったけど、倒しきったんだから良しとしよう。うん。



学生の中でそれなりにできる人間なのでオークぐらいは倒せるのです。魔法使いが混じっているとそこそこ苦戦しますけどね。魔法は偉大なのです。

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