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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
旅立ち
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俺の世界

 ふと気付くと何も無い空間に、僕は1人で立っていた。


いや、立ってるのか浮いているのか良く分からない状態だ。ここには何も目印となるもの

が全くないので、どうなってるかさっぱり分からないのだ。


「あー、またなんか巻き込まれちゃったのかな僕は」

人は1回異常な経験をしていると、とりあえず冷静でいられるらしい。

こんな時は落ち着いて深呼吸。


すーはー。


「巻き込まれたってのは、あながち間違いじゃないな」


と、どこからか少年?らしい声が聞こえてきた。声が聞こえてきた方向へ顔を向けるとそこには、1人の小柄な少年が立っていた。


「よう。俺の世界へようこそ。坊ちゃん」

金髪の髪を短く揃えた、青い目をした少年が挑むように僕を見ていた。


「君は誰? 僕はコージ。ヒロセ=コージ」

先に名前を名乗ってないと、先に名乗れ礼儀知らずが! とか言われそうだから先に名乗る。


「へぇ、珍しい名前だな。で、お前はなんの印を持ってるんだ?」


え、ちょっとそこは名前を名乗ってくれるターンじゃないの? ずるいよ君。だから聞かなかった事にする。


「君は誰? 僕はコージ。ヒロセ=コージ」

名乗るまで負けないぜ!


「・・・ぉぃ」


「君は誰? 僕はコージ。ヒロセ=コージ」


「いや、だからな。名前は分かったから・・・」

「君は誰? 僕はコージ。ヒロセ=コージ」


「・・・はぁ、分かったよ。俺はエドワード=リュクスだ」

「オーケー、エドワード。覚えたからな! 逃げるなよ!」

「いや、訳分かんないから」

調子狂うぜ、と呟いているエドワード。お約束を守らないからそうなる。


「まぁいいや。で、おまえはなんの印を持ってんだ?」

「いや、わかんないし」

「はぁ? じゃあなんで、ここに入れたのおまえ?」

ん? 印が無いとここに来れないって事かな?


「知らないよ。とりあえず、印なんてものは無いから出してくれる?」

「まぁそう焦るなよ。せっかく来たんだしゆっくりしてけよ。明日は狩りに行くんだろ?」

「え、なんで知ってるの?」

「あんだけ食堂で大騒ぎしてりゃ、嫌でも聞こえるっての。俺もここら辺で狩りしてっから獲物によっちゃ穴場も教えてやれるぜ」

食堂で話を聞いてたのか・・・って、あの1人で居た子かな?


「ひょっとして、1人でご飯食べてたのってエドワードだったの?」

「うるせぇよ。1人で悪かったな」

「いやいや、むしろ1人でこんな所に来れるのが凄いよ! 僕1人だったら絶対無理」

ヒロコとセリナが居たから、ちょっと見栄張って頑張れたんだし。


「・・・ふーん、そっか。で、明日は何を狩るつもりなんだ?」

ちょっと照れた風に聞いてくるエドワード。なので、明日狩る予定の獲物を言ってみた。


「は? えらく大物というかヤバメの奴を狙うじゃねぇか。大丈夫なのか?」

「んー、たぶん平気だよ。これでも僕って色々できるからね」

とちょっと得意気に答える僕。


「具体的には何ができんだ?」

「えーっと魔法?」

「なんでそこで疑問系なんだよ」

「いや、ちょっと特殊な魔法なんだよ、僕の魔法は」

似て非なる魔法も一応使えるけど、基本的に普通の魔法とは全く違うし。


「ほほぅ。特殊な魔法とか面白そうだな! ちょっとやってみせろよ」

「やってみせろって・・・ここって魔法使えるの?」

「ああ、いけるぜ。ちょっと待て、的を作ってやるから」

とエドワードが言うや否や、ゴーレムが突然現れた。


「そいつを狙って撃ってみろよ」

「分かったよ。ボール・アイス、ボール・ファイア」

二つの玉が浮かんだのを確認して、狙い撃つ。


「ボールシュート」

浮かんだ玉ごと、ゴーレムへ向けて解き放つ。


ゴッバガッ! ゴォオオオオオオオオオオン!


木っ端微塵に吹き飛ぶゴーレム。まぁ玉ごと撃っちゃったからそうなるよねぇ。

ちょっと呆然とした感じのエドワード。


「ね? 特殊でしょ?」

「・・・おう、こりゃすげぇぜ! ボール・アイス! ボール・ファイア!」


え? エドワードが僕の魔法を使ってる?!


「ボールシュート!!!」


ゴバーーーーーーン!


威力はちょっと弱いかもしれないけど、間違いなく同じ魔法だ。


「なんで?」

「まぁ、これが俺様の印の力なのよ。世界に1つしかない「真似の印」」

「なんていうか、そのまんまのネーミングだね」

「ほっとけ!」


と、おちゃらけてはいるけども僕の魔法を真似されるとか凄いなぁ。でも、簡単に真似されるのもちょっと悔しいなぁ。


「まぁ安心しろ。真似出来ると言っても、本物には負けるし覚えられる数も限りはある。でも印の力を磨けば、かなり強いのは間違いないけどな」

「印って凄いなぁ。僕にも印って付けられるの?」

「いや、印は生まれつき持ってるだけで後から付けるとかは聞いた事ねぇなぁ」

「へぇ~・・・良いなぁ・・・」

「ま、まぁ気落ちすんなよ、お前の魔法も大概すげぇんだからさ!」


僕の羨ましいオーラを感じ取ったのか、そう言って僕の魔法を褒めるエドワード。


「コージだよ。せっかく名乗ったんだからちゃんと名前で呼んでよね」

「おま「コージ」・・・コージは変な奴だな」

「エドに言われたくないね」


と、睨み合う僕たち。だけど、それも長続きせず二人とも吹き出して笑ってしまった。


「でも、おっかしいなぁ。この世界なんだけど、印を持ってる人間しか入れない世界のはずなんだけどなぁ。おいコージ、ほんとに印無いのかおまえ?」

「別に体のどこにも、印はおろかアザすら無いよ。まっさらぴーん」


はぁ、とため息をつく。


「全くコージは不思議な奴だなぁ・・・ま、何はともあれコレも何かの縁だ。よろしくな」

「エドには不思議とか言われたくないけど、まぁよろしく」

とシェイクハンドシェイクハンド。


「じゃあ、またな」

とエドがそう言うと、僕の意識はうっすらと沈んでいった。あ、穴場教えて貰ってないや・・・



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