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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
異世界での新生活
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授業風景

昨夜はお楽しみでしたね。


脳内でそんな台詞が聞こえる程、昨夜は大変だった。水着姿の美少女たち。しかもお風呂場で僕ときゃっきゃうふふなのである。母さんに、褒めないのがいけないと言われたので今度は馬鹿正直に、水着姿の皆を褒め捲くったのである。ついでに髪型も似合ってるのでそう褒めると、一人ずつ顔を真っ赤にしてお風呂場から消えていった。なるほど、こうすれば一人でお風呂に入れたのか。母さん、ナイス!


でも、本当の事とは言え女の子を褒めちぎるとか、僕には荷が勝ち過ぎたみたいで、あとから思い返して恥ずかしさのあまり赤面してしまう程だ。だけど、セリナ達はちゃんと褒めて上げないと色々面倒な事が起きそうなので、頑張らないと。


お風呂が終わって、晩御飯の時間になったんだけどそこの席でも妙な雰囲気は解消される事はなく、母さんが何か言いたそうな顔をしてずーっと黙ってた。時折、僕と視線が合うと顔を真っ赤にして俯いてしまう皆をみて、すごい笑顔になっていたけど。あれ絶対なにがあったか分かってる顔だよね。


こうして、僕の精神に多大な負担を残し、皆の心にも恥ずかしさを残したであろう一夜が終わった。


「ねぇコージ君、皆なにがあったのかしら?」


無事に朝を迎え学校に来て席に着いた途端、そう僕に尋ねてきたのはセシリアさん。うん、今日のみんなは一味ちがうよね。目が潤んで、うっとりとした表情をしていて、美少女っぷりが凄い事になってるよね。


「んー・・・どうしたんだろうね、あはは~・・・」


この場では正直には言えない。だって、水着姿と髪型を褒めちぎりました! って話をするとどうしてそうなったか話をしないと駄目になりそうだし。なんていうか、この綺麗なお嬢様にそんな事を話そうものなら、不潔! とか罵られそうで怖い。


「もうコージったら、また女の子とおしゃべりして~」

「ほんとだ。ミミともぉお話しようよぉ」


と、こちらに気付いたようでにじり寄って来る二人。えっと女の子としゃべってたら怒られるというのに、君達としゃべるのは良いって事? 


「セリナは綺麗な髪をしているよね。その髪型はセリナの落ち着いた雰囲気に良く似合ってる。あ、でも昨日してたポニーテールもすごく似合ってたなぁ。あ、ポニーテールといえば、ミミも可愛いよね。まえのツインテールも幼い感じに似合ってたんだけど、最近、ますます可愛くなってきたよね? お肌もすごく白くて綺麗だし」


と、二人の顔を見た瞬間、昨日の褒め殺しモードが自動で発動したようだ・・・


「コージ・・・」

「コージィ・・・」

「・・・コージ君て、たらしなのね・・・」


ぼそっとセシリアさんが何かを呟いて、いそいそと授業の準備をする。やばい、きっとおかしな奴って思われたな、これ。でも、いつまでもこんな調子だと会話もままならない。意識的に抑えるようにしないと、クラスメイトに何を言われるやら・・・


「自分、天然のたらしやなぁ」

「ほわっ?!」


さっそく突っ込まれた!? 僕の左隣に座ってる眼鏡男子ラインハルト君。背も高く体格もすらっとしていて、赤毛のつんつん頭のナイスガイ。


「いや、さっきの台詞聞いてるこっちがなんかかゆくなってきたで?」

「あー・・・それにはヤンゴトナキ理由がございまして」

「よく分からん事を言うやっちゃなぁ。ま、ほどほどにしときやぁ」


そう言って顔を近づけてくるラインハルト君。


「転入生四人を狙っとる奴は結構居るさかいな。平凡な成績の君がそういった連中に狙われても良いっちゅーなら話は別やけどな」


とぼそっと小声で忠告してくれる。


「え、教えてくれてありがとう!」

「う、ほんま自分天然のたらしやなぁ。男も女も見境なしかい!?」


え!? 今なにかそんな事したかな僕? なんかワザワザ忠告してくれたのが嬉しくて笑顔になってしまったのは認めるけど。


「まぁええわ。何かあったら言うてき。それなりにわしもやる方やさかい」


ラインハルト君は、ランバルト君と言うもう一人の赤毛の子とコンビで「ハルトバルト」とか言われている、このクラスで名物コンビなのだ。何かあったら頼らせて貰おう。


「わかった! その時はお願いね、ラインハルト君」

「・・・なぁ、コージっていっつもこうなんか?」


僕のお願いを聞いて黙り込み、静かに顔をセリナに向けて質問するラインハルト君。質問の意図が読めないんだけど?


「はい。女の子には特にそういった感じです」

「うん、いっつもまぶしいんですよぉ」

「ほーほーなるほどねぇ。お二人さんも苦労するねぇ」


うんうんと頷きあう皆。いったい僕が何をした。と腑に落ちないなぁと見ていると先生が教室に入って来た。それじゃあお勉強をするとしますかぁ。


今日は魔法の講義だ。


魔法の系統の話から始まり、魔法の発動までの手順や特殊な詠唱方法。魔力の込め方から維持するための魔力の操作。そういった諸々の理屈をまず教えられた。セリナに教わったとおり、魔法を唱えるには最初に術式を思い浮かべるか、空中に魔力を使って書く。そしてその術式に自分の魔力を流し込みながら詠唱を始める。詠唱の最中には必ずその効果と範囲を思い浮かべながら詠唱を行う。その効果と範囲をあやふやなままで詠唱を終えると、魔法もあやふやになり、失敗や暴走という結果になる。詠唱の間、術式を崩しても失敗だし、魔力の流し方も必要な量を流さないと失敗に終わる。流しすぎた場合は発動するんだけど、魔力がその分余計に消費されるので、おすすめできない。


今日は、今までの復習という事でさらっと簡単に話が終わった。説明の途中で当てられる人は何人か居たけど、ほとんどの人がしっかりと答えていた。


基本的に冒険者学園は授業料は古代遺跡の探索で得た物や警備をする事で支払う仕組みになっている。前に聞いた卒業までに支払う授業料が20ゴールドって言うのは、どうやら二年ぐらい前の話らしい。今では学園の生徒数も増えており探索で得るお金が莫大な物になるので、授業料の代わりに古代遺跡の探索が義務化されてるだけで特に支払うお金はないそうだ。あると言えば、寮生の寮費や食費、特殊な教材を使う場合ぐらいのようだ。


なのでしっかり古代遺跡を探索できるようにならないと、授業料を支払えないのだ。しかも授業料については現金での支払いを受付けていないので、しっかり学んで稼げるようにならないと退学になっちゃうのだ。時々、授業料が払えなくなりそうになった生徒が無茶をして大怪我や死亡という事になるのはそのせいでもあり、警備する事で授業料を稼げるようにしたのはそういった人達への救済措置なのである。


「では、セリナさん。詠唱の違いによる効果の違いを見せて貰えますか?」

「はい、分かりました」


そうやってセリナを指名するという事は、セリナの実力を良く知っているんだろう。だけど、そんな事を知らないクラスメイト達には、なんで? っていう空気が流れている。


「指名されたセリナです。よろしくお願いします。では、フレイムの魔法を例にして実演をしましょう。まずは」


「“炎よ! 我が手より出でよ! フレイム!”」


セリナの手から炎が吹き出る。ちょっと熱い。


「そして、少し詠唱を変えて唱えます」


「“炎よ! 我が意のままに動け! フレイム!”」


あ、動かせるんだこの魔法。そして、セリナの炎はゆらゆらと上下左右に動き始めた。そして炎が動き出して驚くクラスメイト達。ん? あれっ? 何かひっかかるなぁ、なんで驚くんだろ。


「こうやって、同じフレイムでもまったく違う動きを見せる事ができます。詠唱が勿論ちがいますが、イメージする事も大事です。その二つが一致しないとあやふやな魔法になります」

「はい、質問です」

「どうぞ」


がたっと席を立ったのは、どこの王子様? っていう感じの美少年レイモンド君。彼の周りにはいつも女の子が群がっている、まさしくリア充な人間だ。今も女の子達が黄色い声をあげている。凄い。


「後に唱えたフレイムは、初めて見るのですがそれはセリナさんが開発されたのですか?」

「いえ、魔法教会で開発された物です。あんまり実用度が高くないと判断されたそうで一般的には広まってない詠唱みたいです」

「なるほど、ありがとうございます。セリナさんは魔法の改良が趣味とおっしゃってましたが、改良される際どういった手順で改良していくのでしょうか? 教えて頂ければ幸いです」

「至って普通の方法です。まず魔法の効果をイメージし、古代の文献などを調べて色々な魔法の詠唱の語句をかたっぱしから当てはめながら詠唱して、効果のでる語句をうまく繋ぎ合わせるだけです」

「た、大変なんですね。ありがとうございます。質問は以上です」


自己紹介の時のセリナの趣味をよく覚えているなぁレイモンド君。ひょっとしてセリナの事が気になってるのかなぁ?


そんな事をぼんやりと考えていると、気付けば授業が終わっていた。



魔法の仕組み。シンプルイズベスト。大事なのはイメージなのです。


訂正ていせい。読み返すとおかしかった・・・

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