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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
再会そして反撃開始
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さらなる改良

そして僕が一人でやって来たのは、ヒューイックのハーベイさんが経営するガイアフレーム販売店。フレームのエンジンの出力を上げるためのアイデアがぽこっと浮かんだのでハーベイさんに聞いて貰おう。


「こんにちは、ハーベイさん居る?」


僕の声を聞いてハーベイさんが、ようやく見つけたという感じで飛んできた。


「おぉ、コージやっと来たか! ちと、おまえさんに相談したい事があるんじゃ」

「あ、僕もアイデア聞いて欲しかったんで、丁度良かった」


ハーベイさんも何か僕に用事があったようだ。なんだろうね? ハーベイさんは僕を店の奥のほうへと何故か丁寧に連れて行き、結局持って帰らずに置いたままにしていたエレメンタルフレアの前までやってきた。


「実はな、今ロバスの方で戦争になりそうなんじゃ」


ハーベイさんは深刻そうな表情でそう切り出してきた。


「あ、それは・・・」

「まぁ、聞いとくれコージ。わしはこの国の王様が好きでな。今までこの国は貴族が支配しとったせいで、わしらも理不尽な目に遭う事も少なくなかったんじゃ。じゃが、今のユージ王が即位してからは徐々にそういった事もなくなって、わしらみたいな平民も暮らしやすくなってきたんじゃよ」


一気に喋りすぎてハーベイさんは疲れたようで、そこで少し休憩している。そこで口を挟んだりはしないよ? 空気読めるもん!


「で、今そのユージ王がロバスでピンチらしいんじゃ。じゃがこの飛行ユニットを提供すれば、かなり戦局が変わるはずなんじゃ! なぁコージ、これをロバスに持って行って渡しに行かせて貰えんじゃろうか?」


ハーベイさんは必死の表情で僕にそう頼み込んできた。正直ハーベイさんが黙って飛行ユニットを持っていったとして、僕が怒る理由なんて無い筈なのに凄く律儀な人なんだよね、ハーベイさんは。


「ふふっ」

「な、なにが可笑しいんじゃ、わしだとてこの国が好きで何かできる事を探してじゃなぁ・・・」

「いやいや、別におかしくて笑ったんじゃないんですよ。嬉しくて笑いがこみ上げてきたんです。だけど、エレメンタルフレアは持って行かなくていいですよ」

「コージ、あの飛行ユニットは凄いんじゃ、あれがあれば・・・」

「僕がちゃんと渡してありますし、既に五十機分のユニットを製作済みです。だから大丈夫ですよハーベイさん」

「は? そうなのか? いやしかし何時の間に?」


一週間と経たない間に、そんな事になったら確かに驚くだろうねぇ。エレメンタルフレアが無かったらロバスまで行くのに時間かかるし、ユニットを作るのにも時間がかかると思うもんね普通は。


「まぁ、そこはこんな事もあろうかと思って、作ってたという事にしといて下さい。なので安心してください。ってな訳で僕のアイデアを聞いて貰えませんか?」

「あぁ、いいけど・・・そうじゃ! この飛行ユニットは効率を上げとるんで、あとで設計図を見せるから、すでに作った分の改良の参考にしてくれ」

「え、もう改良できたんですか? さすがハーベイさんですね、ぜひ参考にさせて頂きます。で、今回もってきたエンジンのアイデアなんですけども・・・」


前回の思いつきは試合に勝って勝負に負けた感じで、結局は失敗に終わったので、あれから暇を見つけては仕組みを色々考えてた中の良さそうな物を聞いて貰うつもりなんだ。


前回は、魔石シートの前に増幅シートを挟み込んだのが駄目みたいだったので、今度は単純に魔石シートを二枚重ねる事で効果を上げられないかと思った訳なのだ。そして、それをハーベイさんに伝えると驚いた表情をしていた。お、脈アリかな?


「ふーむ、シートを二枚重ねにする事でどれだけ変換率が上がるか分からんが確かにそれだと、安全にパワーを上げられそうじゃな。むしろ今まで誰も思いつかなかったのが不思議なぐらいじゃ」

「いやーこの案も没だったり、先に誰かにされてるかもっておもってたんで、ちょっと嬉しいですね」


これで、フレームの単純な強化が楽になる。まぁ、エンジンだけ強くしても本体の強度や素材の強度を上げるたり、足回りを強化しないとすぐにぶっ壊れる事があるんで、無茶はできないんだけどね。


「とりあえず、この二枚シート案は行けそうですね。これって、エンジンの中で魔力がどういう流れになっているか見る事ってできるんですか?」


どういう具合に魔力が流れてるかが分かれば、魔力の流れを収束させたり、流れを変える事でエンジン内部の素材に影響を与えずにさらに効率を上げられるかもしれないし。


「それなら、ここにあるテスト用のエンジンでなら見れるぞ。フレーム技師がエンジンの事を学ぶときに使うものなんじゃがの」

「なんでそんな都合の良い物がここにあるかは置いといて、それでテストしましょうハーベイさん」

「まぁ、深く聞くな。じゃあ、こっちじゃ」


今度はお店の入り口の方へと戻り、物置になってる一角からごそごそと台座に乗ったエンジンを引っ張り出してきた。そして、エンジン上部のシート取り付け具を取り外し、魔石シートを二枚はめ込む。もともとシートの太さがばらばらなので、取り付け具にはかなり余裕があるのを確認していたので、簡単にできるとおもったのである。


「この魔石シートは何故か攻撃力が上がる不思議なシートでな、結構一般的に出回ってる物なんじゃ。増幅する魔力とは違う色の魔力が発生するんで、流れが分かり易く見えるはずじゃ。これを魔石同士をくっつけるようにセットしてと。よし、試運転するぞ」

「はーい。どきどきしますね」


そして、エンジンに魔力を送る機械のスイッチを押してテストが始まった。


エンジンが静かに回りだし、徐々に魔力が高められて行く。今回使っているエンジンは四角4型のごく普通のものである。魔石シートがよく見えるようになってるけどもね。


「じー・・・」

「そんなわざわざ口で言わずに黙って見んかい」


いや僕は意識してなかったです、すいません。


そして、いよいよ魔石シートへと魔力が流れだすその瞬間が来た。ぴかぴかっと光りだして、シートについてる魔石へと魔力が順番にながれて・・・あれ? 今なにか凄い違和感があったぞ・・・?


「おおぉ、順調に出力が上がっとるぞ。しかもちゃんと安定した出力になっとる。でどれぐらいになったのかの・・・おお? 6型と変わらん出力まであがっとるぞこいつは!」


ハーベイさんがエンジンの出力アップに非常に喜んでいるけど、今の僕はそんな事にはまったく気持ちが動かなかった。さっきの魔石へ魔力が流れる瞬間をもう一回見ないとこの違和感の原因がはっきりしない。何か凄く面白い物が見えた気がするんだ。


「ハーベイさん、この魔石シートは攻撃力が上がるんですよね? なぜか」

「あぁ、まぁ攻撃力といっても武器を持って攻撃するときにだけ何故か余分に出力が上がると言う不思議な仕様でな。理屈は分かってないが、便利なんで皆つかっとるんよ」

「オーケーオーケー。僕の勘違いでなければその理屈も分かりますよ」

「・・・なんじゃと?」


そして、エンジンが安定しているかのテストは後回しにして、一度エンジンを止めて今度は録画できるようにカメラを用意して、もう一度最初から運転を始める事にした。見間違いでなければ、きっとさらに色々できる様になるはずだ。


「じゃあ、もう一回行くぞ。今度は安定テストじゃから暫くは止めずに行くからな」

「うん了解。準備オッケーだからいつでもどうぞ!」


僕の言葉を合図にエンジンが回りだす。魔力が徐々に高まって行きそして、魔石シートのほうへと魔力が流れ込み魔石が光りだす。問題はここからだ。ぴかぴかと光って魔力が流れ出し、エンジンは平常運転へと移行していった。よし、さっそく再生再生、確認だ!


こんな所で切るなんて焦らし? えぇ、その通りですごめんなさい。


これからご都合でお話は進んで行きます。

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