波乱万丈父ちゃん
「さて、何から話そうかねぇ」
帰ってきた父さんは、部屋で落ち着くとふむと難しそうな顔をした。
「よし、最初っからじゃなんなんでダイジェストで行くぞ。まず、父ちゃんなこっちの世界に急に落ちたわけよ。で、落ちた先がなんでかロボットの中でさー、しかも魔石獣がどんどここっちに来てる訳よ。夢中で動かしてなんとか倒しきったら、周りにたまたま居た人達にえらい喜ばれてなぁ」
最初はそうだったよなぁと呟く父さん。いきなりフレームに乗ったのか。ある意味うらやましいシチュエーションだなぁ。
「で、身体に訳のわかんない印があって、どうもそれが王の印という奴らしくってな。あれよあれよという間に、王様にされちゃったってわけなのよ。まぁ、今はその印は無いんだけどね」
「印って消えるもんなの?」
「あーいや。お前に移した。あはははー」
「は?」
「だって、るりと光司をこっちに呼んだ時にさ、ラディアスの奴がクーデターなんぞするから、やばい状況でさ。とりあえず光司だけでも逃がそうと思って、移動させたのよ」
「じゃあ、僕のでたらめな魔法の力ってそのせい?」
「いやぁ~王の印ってのはそういうのじゃ無かったと思うぜ? 現に俺は魔法なんてろくに使えないしなぁ」
「ふぅん」
「ま、とりあえずこっちの世界に来て王様になっても、るりと光司を忘れられなくてな。こっちの世界の魔術師に向こうの世界に戻れないって聞いたけど、諦められなくてね。だったらこっちに呼んでしまえって思ったわけだ」
にこやかに笑ってるけど、父ちゃん中々に無茶をするなぁ。僕たちが嫌って言うと思わなかったのかなぁ?
「そりゃぁ嫌って言われるかもと考えもしたが、先に色々メッセージを送っといたから心の準備はできただろ? 駄目なら、指定した時間と場所に居なけりゃいい訳だし」
「それはそうだけど、友達に指輪とか渡したりしたから滅茶苦茶びっくりされたよ」
幼馴染の弘子には何か凄い勘違いされたしねぇ。
「本当は指輪で無くても良かったんだけどな。これを機に光司が何か告白じみた事をしてくれないかなぁと考えた、父ちゃんの親心って奴なのよ」
「余計なお世話だよっ!」
「はっはっはぁ。そいつは悪かったな光司」
ちっとも悪く思ってなさそうな顔をしてる父さん。
「隣の弘子ちゃんに指輪を渡してるのを見ましたよ、勇司さん」
「ほほぉ、やっぱりな」
「ちょっ母さん!」
くふふって感じで笑いながら父さんに報告する母さん。くそぉあの時は油断してたしなぁ。
「本当は平和な俺の国で、家族みんなで暮らそうと思って召還したんだけど、悪かったな。ちょっくら取り戻す為に動かないと駄目になっちまった」
真剣な表情で僕らを見つめる父さん。そんな真面目な顔をしなくても大丈夫。
「勿論、僕も手伝うよ。だって父さんが王様って事は僕、王子さま? だよね?」
「母さんは勿論お姫さまよね~」
「いや、母さんお姫さまは違うでしょ。王妃じゃないの?」
「なんか王妃って響きだと、嫁をいびりたおす姑って感じがするからヤなのよ」
「あーそうですかー」
「あれ? そっかコージって王子様になるんだ。うわぁどうしよう敬語で話しかけないと駄目だよねぇ・・・?」
「え、敬語ってなにぃ? いままでどおりじゃ駄目なのぉ?」
「えー? べつにいいんじゃないかなぁ? ボクは変えないよ?」
「だって王族に敬意を払わないと、牢屋に入れられたりするんじゃない?」
「「うー」」
なんか部屋の隅っこでセリナ達が固まってなんか話し合ってる。どしたの?
「いえそのぉコージ様が王子様って分かったのでどう話しかければ宜しいかな、と相談しておりました」
「いやいやいや。いまさら僕が王子様とか言われても、礼儀とかそんなちゃんとできる訳でもないし、今まで一緒に旅をしてきた仲間なんだから、今まで通り話しかけて欲しいなぁ? だめ?」
だって今までただの高校生だったからねぇ。王族とか勘弁して欲しい。
「えっと、いいの?」
おずおずと首を傾げながら上目遣いで尋ねてくるセリナ。少し不安そうだけど口調は砕けて元に戻ってる。その不安げな様子がまためちゃ可愛い!
「うんうん、お願い、ねっ。セリナ、ミミ、ヒロコ」
「そこはボクの名前を一番最初に呼ぶべきじゃないかなぁ?」
「わかったよぉコージッ」
「改めてよろしくですコージ」
改めてよろしくね、みんな。
「ほぉほぉ、どれが本命だ?」
「ミミちゃんはわたしのですからね。セリナちゃん辺りが本命じゃないですか?」
「あーでかいしなぁ」
「あ・な・た?」
「いや、俺は客観的事実をだな? アダダダダダダ」
向こうはなんか犬も食わないなんとやらをしている。やっぱり仲が良いよねうちの両親は。
「よーし、セリナ達もよろしくお願いするね。あんまり危ない事はさせないようにはするから」
「ううん、ミミは大丈夫だよ。コージも知ってるでしょぉ?」
「当然、わたしもです。魔法といえば私に任せてくださいな」
「ボクは応援担当だよ~、空気じゃないよ~」
「あーそうだ。セリナちゃんてあのクリムゾンって二つ名のセリナちゃんか?」
そこで、ふと父さんがセリナにそう尋ねた。クリムゾンって名前は嫌いらしいよ、父さん。
「うー、できればその名前は止めて欲しいのですが、確かに私がそのセリナです~」
「本当に? あーそっかそっか、そう言えば発表会だと別人って言ってたなぁ。なるほどなるほど。本当はこんな可愛らしいお嬢さんだったわけだ」
噂は色々聞いている。戦力として期待しているとセリナと握手していた。やっぱりセリナって凄いんだなぁ。
「ところで光司。印はどんだけ大きくなってる?」
「え? 印なんて無いんだけど」
「ほぉ。という事はほとんど印の力を使ってない訳か。やるなぁ光司。印は胸の所に必ずある。今はかなり小さくて分かりにくいだろうけどな」
「えー・・・?」
服をめくって、胸元を覗き込んでみる。みえないよ! あー鏡かがみ。んー・・・このほくろみたいに見える奴かな? じーっくり見たら何か細かく描かれてる気がする。
「力を使っていけば、嫌でも大きくなってくるさ、大丈夫」
「今のままでも充分だから、別に印の力なんて要らないんだけどなぁ」
「そう言うなって。便利なんだから受け入れてやってくれ、光司」
「う、うん。分かった」
あ、ハーベイさんの事すっかり忘れてたよ。向こうに戻ってエレメンタルフレアも取ってこないと駄目だし。まぁ最悪置いてきても問題ないんだけどね。でも、ハーベイさんが心配してるかもしれないから、一度戻って説明しに行こう。
サブタイトルを考えるの苦手です。
アクセス解析を見てによによしてます。
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