謎
みんなの協力でロボットを倒したが、あのロボットがここに来るまでに誰かが襲われていたかもしれない! ヒロコが気配を感じなくなったって言ってたから、酷い事になってる可能性が高い。だけど今から行けば間に合うかもしれない。
とりあえず、ロボットの残骸は全て指輪に入りそうなので全部収納して、ロボットが通ってきた通路を逆に辿っていった。通路にはオークや、キャタピラーみたいな芋虫系のモンスターやオーガのような大物などもごろごろと転がっていた。
不思議な事にどれもこれも、虫の息ながら生きているのだ。それは僕たちの目の前でひねり潰されたオークも例外じゃなかった。オークって凄い生命力だ。
なんで生きてるのかは疑問だが、とりあえずまとめて倒してアイテム化して駆け抜けて行く。なんとなくだけど、倒れてる人が居ても助けられる気がする。と、思っていると僕の勘を証明するように、虫の息で倒れている人達を発見した。
「満ちるマナよ、彼の人達を癒せ! リフォーガ!」
急いで倒れている人達に回復呪文を唱える。ちゃんと五体満足だったので怪我を治す魔法だけで大丈夫だ。魔法を使える人は、起き出すとこちらにお礼を言ってから仲間達を呪文で回復させていった。セリナとミミは、もしもう一度さっきのやつが出てきたら駄目なのであたりを警戒している。
他にも倒れてる人が居るかもしれないので、とりあえず回復した人達を置いて、僕達はさらに奥へと向かっていった。
結局、15階のゲート付近まで倒れてる人が合計50人ぐらい居た。あのロボットがどこから出てきたかは不明だけど、ゲート付近から出てきたのは間違いないようだ。怪我をした人たちが落ち着いた所で話を聞いたんだけど、あんなロボットはこれまで見たことがなく、似たようなロボットすら見かけた事も無かったらしい。もっと深い階層にならロボットも出てくるらしいんだけど、それともまた形が全く違うらしい。まぁ同じ奴なら恐ろしく強いはずなので、ここら辺一体どえらい事になってるだろうけども。
15階層でそこそこ古代遺跡になれた人間を狙うかのように、場違いな強さのロボットが出てきた。なんでだろうって悩んでると、ロボットに詳しい人が教えてくれたんだけど、どうやらさっきの奴は50階層とかに潜ってると極稀に出てくる代物らしい。一体どうやってここまで来たのか不明だ。
遺跡に不慣れな僕が色々考えてもよく分からないので、今日は町に帰る事にした。だって、ロボットを倒したのもそうだけど、駆けずり回って怪我してる人を治療していったから結構疲れたよ、僕。あ、今まですっかり忘れてたけど今日の戦利品をじっくり見てみよう。
「小型魔石エンジン星8型・・・?」
ガイアフレームなどに使われる魔石エンジン。それの小型版らしい。しかもかなり効率の良いエンジンみたいで、ガイアフレームであれば人間の魔力を使用して動くのだけどこのロボットは、人間の替わりにほんの少量の鶏の卵大ぐらいの魔力石で稼動していたようだ。そして、この大きさは、ガイアフレームにとってかなり有利になる。
エンジンスペースが小さいと、それだけ余分に武器を積んだり、積まない場合でも機体を軽くし、アンプリファーを余分に搭載する事で機動性を上げることができるからだ。
僕が抱えて持てるぐらいだから、かなり小さいと思う。ガイアフレームの全高が8メートル弱ぐらいだしね。逆に小さすぎるんじゃね? って思う。とりあえず、こんな時は目立たないように指輪に収納する。これってハーベイさんに借金のかたに持っていけばだいぶ借金を減らしてくれるんじゃないだろうか?
「なんにせよラッキーだったなぁ。借金が見る見る減っていく感じだよ~」
なにせ今日だけで1万ゴールド近い稼ぎになってるはず。レア素材がかなり出たので物凄いのだ。だれかめっちゃ運が良い子が紛れてるね。ミミかなぁ?
「そういえば借金があったんですね。全然そんなの忘れてました」
「特にお金使うことも無かったもんねぇ。ミミは欲しいもの・・・無いもんなぁ」
「ここはボクが頑張って無駄遣いするべき!?」
「すんなヒロコ!」
「あはははは」
まぁ今日は特別運が良かっただけだろうけど、この勢いで稼げるなら早めに借金が返せるから肩の荷が下りる。みんなで学校にも行きたいし、ガイアフレームも好みの奴を作りたいからお金はたくさんいるし。
・・・まぁお母さんを探すにもお金はいるしね。うん。
今日は運よく色々と稼げたので、おいしいと噂の食堂でご飯を食べる事にした。
「レアリア」という名前の食堂は、ほどほどの値段で美味しいものを食べさせてくれると評判のお店らしく、夕暮れ時に来たら既に行列が出来ていたので僕たちも並ぶ事にした。まだ並んだ時間が早かったおかげか前に八人ぐらい並んでいるだけだった。
「何たべよっかなぁ、お肉がっつり食べようかなぁ」
「コージはお肉ですか? 私は定食が評判だと聞いてるのでそれにしようと思います」
「ミミは、コージと同じのにしようっと」
「ボクはサラダがおいしければなんでもいいや」
メニューを先に渡してくれたので、僕達はメニューを見ながらあれやこれや言いながら楽しみながら順番を待っていた。
「あれ、コージ。奇遇だね」
「ん?」
綺麗な澄んだ声で呼ばれた方を見るとリュートとその仲間達がいた。う、嫌な予感。
「あらコージじゃない丁度いいわ、私たちの替わりに並んでくれたのね」
「え、ちょっと」
普段からそういう事をするのに慣れているとしか思えない手並みで、列に並んでいた僕たちを引っこ抜き、ちゃっかり自分達が今まで並んでましたって顔で列に加わった。人数がまったく同じだから、まったく違和感なく納まってしまった。
「次の方、どうぞぉ~!」
そして、僕達が入れ替わった事に気付かなかった店員さんは、リュート達を呼んで店の中へと案内していった。
「・・・なんだろうデジャブというか、なんというか・・・」
「ほんと、なんなんでしょうねぇあの人達は・・・」
「コージィ、今度はどんな良い事あるかなぁ?」
「はりゃー」
僕達はあの手の人達に翻弄される運命にあるのかなぁ? いやそんな運命すっごく嫌だけども、このまさかの状況にそんな事を信じてしまいそうになっちゃう。そして今更行列に並んでご飯を食べようとは思わないので、お店を離れることをした。僕たちの後ろに並んでた人達がひどく同情的な視線を投げかけてきてくれたのが、せめてもの救いだった。
毎日考えながら書いてるから、矛盾が無いかどきどき。こっそり修正しているかもしれません。うひひ。