うっかり
スカイフレームことエレメンタルフレアを駆る事、三時間弱。休憩を挟んで居たら少し時間が掛かった。ロバス近辺まで戻ってきたので、後は着陸して陸からロバスに行く事にした。空とぶと目立つもんね。
「ねーファラスさん。ロバスの検問楽に通れる方法ないの?」
「そんなものはギルドに登録しとけば良かろう。登録してないのか?」
「いやそのぉ、ギルドに登録しようとすると、何か起こるんですよねぇ・・・ひょっとして、誰か呪ってる!?」
「いやいや、無いから。ふむ、今回はなんとかしてみよう」
「ありがとうございます!!!」
さすがファラスさん、言って見るもんだね。これであの面倒な書類を書かなくて済むよ。町から町へ行くたびに、あれ書くの嫌だから、ギルド登録したいんだけどなぁ。お、もう深夜っていい時間なのにロバスは明るいなぁ。今日は北側のブロックから中に入ろう。
ガイアフレーム専用のゲートに行き、ファラスさんに手続きをして貰う。顔の確認はされたけど、面倒な書類はパスできた。良かった。
「では、これで任務完了だセリナさん。また何かあればよろしくお願いします」
「ありがとうございました。機会があればまたお願いします」
と、ロバスに入るなりセリナに敬礼しファラスさん達は、任務の報告に行くみたいで早々にどこかへ行ってしまった。おつかれさまーとちょっとご飯一緒に食べたかったけどまぁ、いっか。とりあえず、ロバスに戻ってきたからメッセージの男を捜そう。
「あ」
「どうしたんですか、コージ?」
「一体どうやって見つければ良いんだ・・・?」
「ん・・・?」
ヒロコを通じてメッセージを残してきたのは良いけど、ロバスに行くとしか奴は言ってなかったから、どこに来いとか落ち合うとかそういう話は一切なかった。しかも、向こうはこっちを知ってるみたいだけど、こっちは向こうの事は何も知らない。知ってるのは声ぐらいだ。
「とりあえず、母さんらしい人が居ないか探して見るしかないかぁ」
「お母さんがロバスに居るんですか?」
「うん、どうもロバスに来てる・・・はずなんだけど、どこに居るかわからないんだよね」
「??? どゆことぉ?」
あー、そういえばなんでロバスに早く帰りたかったか言ってなかったっけ。なので、牢屋の中であった出来事を二人にも話した。あ、ヒロコも聞いてなかったから三人か。
「んと、コージ。聞いていいかなぁ?」
「うん、何?」
「ミミ、思ったんだけどね、お母さん、ロバスに来るのはだいぶ先じゃないかなぁ?」
「え、なんで? だってロバスに行くって言ってたし・・・」
「だってぇ、昨日のお昼にヒロコと一緒に捕まったでしょぉ?」
「うん、そうだねぇ。昨日というか今日というか微妙だけど」
「いいのっ! でねぇ、ヒロコに悪さした人はぁ、昨日の昼ぐらいに首都を出て行ったと思うんだぁ」
「あっ!」
そうだった! メッセージを残した奴はヒロコに何かしてから首都を出たはずで、首都からここまで馬車で2週間ぐらいかかるんだった! だったら、着いてなくて当然じゃないか・・・気が急いてると駄目だねぇ。自分の間抜けさ加減にちょっと悲しくなってくるよ・・・
「まぁまぁ、なんにせよ先に着いてる分には問題無いじゃないですか、コージ」
ね、と慰めてくれるセリナ。でも目がちょっと笑ってる。いいよ、自分でも馬鹿だなぁって思ってるんだし。ちぇっ。あーこの妙に空いた時間をどうしよう・・・こっちから探しに行こうにも相手の姿が分からないし。母さんは分かるけど隠されてたらさすがに分からないもんなぁ。
「トリプルセブンに行って、今日はもう寝ようか」
「そぉだね、ミミは明日ちょっと寝坊したいなぁ」
「うんうん」
なにせ強行軍だったもんね。僕も魔力の使いすぎで疲れた。宿でゆっくりしよう。
次の日の朝。ぐだぐだと昼間で寝て過ごす予定が習慣というのは恐ろしい物で、いつもの時間に目が覚めてしまった。なんか二度寝する気分じゃないし、せっかくだから起きておこう。あ、そうだ、武器が取られたままだから新しく作っておこう。で、せっかくだからちょっと色々改良してみよう。
今回、魔力が使えなくなったけどカートリッジのおかげで助かった。なので、カートリッジでできる道具を増やしていこうと思う。というか、カートリッジ方式だと静かに魔法を詠唱できるからセリナみたいな不意打ちができる・・・と思う。銃タイプじゃなくてカートリッジをメインとして考えよう。
くるっと回してポンッて感じで、簡単に魔法を発動させられるようにするにはどうしたら良いかなぁ~? 普段から持てる物で、マジックアイテムじゃなくて、武器にもまったく見えない物で・・・
あ、懐中電灯みたいな形はどうかな? スイッチを入れる事で魔力が流れて魔法が発動して、人差し指が当たる所らへんにもスイッチを作って押すと使う魔法を変更できるようにしてみようか。親指側のスイッチをAボタン、人差し指の方はBボタンにしよう。Aボタンを押し込む事で魔法を連射するようにし、Aボタンをスライドする事で、剣モードになるようにする。まぁ魔法によってはできないけども、できない魔法の場合は一発だけで終わるようになるかな。あと、今どの魔法を選択してるか分かるように、Aボタンの上側に窓をつけてそこに表示しよう。うーん、Bボタンの使い道が他にないかなぁ? あぁ、Bボタンを押しながらじゃないと魔法が発動しないようにすれば、懐中電灯として使えるようにしよう。
武器はこれで良いとして、アクセルやオーディスとかの補助魔法やマテクトとかの防御魔法、リフォーガみたいな治癒魔法などを静かに唱えるのはどうしよう。懐中電灯方式でもできるんだけど、それだとなんかつまんないしなぁ。
カード形式だと、アクセルやオーディスみたいな魔力を随時消費する魔法が使い勝手悪くなっちゃうし。うーん、魔法の数も多いから魔法を選ぶのも大変だしなぁ。たくさんの魔法を簡単に選べて、発動もすぐにできるとなると・・・携帯電話!
携帯だったら魔法に番号を割り振れば、僕が覚えきれるかどうかは別として魔法がどれだけ増えても登録できる。あ、だけど相手を特定するのにどうしようかなぁ? アンテナみたいな物を付けて、その方向に魔法が発動するようにすればいっかな。とりあえず、その方向で作って使い勝手が悪かったら、創り変えようっと。
懐中電灯型の道具を「ギル」携帯電話型を「千変万化」と名前をつけとこう。
母さん探して三千里。も移動していません。