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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
すれ違う王
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脱獄するよ!

 さて、ここを出ると決めたからにはささっと出て行きたい所だけど・・・


「魔法が使えないんだよねぇ、まじで」


そう、この部屋は魔法がほんとに使えない。球魔法も、この世界で学んだ炎系の魔法もまったくもって発動しない。術式はちゃんと思い浮かべてるんだけど、そこに魔力を流し込めない。どうやっても僕の中から魔力が出て行かないんだよねぇ。


「武器は取り上げられちゃったしなぁ・・・何か良い物ないかなぁ」


幸いにも指輪は取り上げられなかったので、中に入っているものを漁る。光浮き輪君にライター、カートリッジが山盛りに、サインペン、メモ帳、買ったけど結局使ってないマント。


「ヒロコも魔法使えない?」

「ボクも無理だよマスター」


精霊のヒロコでも無理なのか。どういう仕組みなんだろ? こんな魔法を完璧に封じるなんて凄い効果があるなんて・・・


「うーん・・・何かないかなぁ・・・」


ああでもないこうでもないと悩みながら、手持ち無沙汰な僕はカートリッジを放り投げては受け止めて遊んでいた。


「あっ」


カンッキンッカランカラン・・・


遊んでたカートリッジが、手から離れて床に落ちちゃったんだけど、落ちた瞬間カートリッジから魔力が流れた気配があった。カートリッジの構造上、先端を押すと魔力が流れるようになってるんだけど・・・試しに先っちょを押して見る。


魔力が流れてる。


てことは、術式を書いてカートリッジの魔力を流し込めば魔法が発動できるかも!

「ノーミス」を造る時に書いてた術式で役に立ちそうな魔法は・・・氷と炎かな?

メモ帳にサインペンで術式を書き込み準備を整える。最初は床に術式を書こうと思ったんだけど、床に書いたら魔法がどこに向かうか良く分からないんだよね。


「よし「氷」魔法!」


リリリリリリリリリリリリンッ!


カートリッジの魔力をメモ帳に流し込むように押し付けるとしっかり魔法が発動した。よし、成功だ!氷と炎の魔法を交互に鉄格子に浴びせ、最後に氷魔法をありったけぶち込んで、鉄格子を蹴破った。あれ? なんだか外が騒がしい。もしかして気付かれたのかも。


「ヒロコ、気付かれちゃったかも! 急いで逃げるよ」

「わかったよ、マスター」


連れてこられた道を辿り、出口へと向かう。とりあえず、魔法が使えるようにはなったので防御魔法を唱えておく。何があるかわかんないからね。あとはトレイルさんが使ってた魔法をちょっと変えて拝借。


「“我が身の魔力よ、我が身を巡り我に無敵の力を与えたまえ! オーディス!”」


呪文をうまく変えると、同じ魔法でも効果がかなり違う事を教えて貰ったので改変版の身体魔法を唱える。この呪文を探す為にいくつか試したんだけど、身体強化はされたけど後の反動が物凄くて使えない呪文になったり、足の力だけが何故か強くなったりと色々あった。で、今のところ使い勝手がいいのがこの呪文ってわけ。


「ヒロコ、しっかり着いて来てね。・・・アクセル!」


オーディスとアクセルの重ねがけは魔力が凄い勢いで減っていくけど、急いで脱出しなきゃ駄目なので無理でも押し通す! って、さっそく曲がり角に誰かが来てる! 足元を狙うために体勢を低くして、一気に角から躍り出て不意打ちをしよう。


ダッ!


身体強化の効果は凄まじく、アクセルの効果中なのに凄い勢いで景色が流れる。あっという間に曲がり角に躍り出た。衛兵が二人だ。よし、まだ気付いてない!

しまった「ノーミス」が無いから、近づかないと駄目なんだ!

とりあえず、体当たりをして二人をふっ飛ばしました。偶然、つぼにはいったのか二人とも気絶してくれたので良かったんだけど、この行き当たりばったりじゃ駄目だ!


とりあえず、次からは相手を転がして紐で縛ってしまおう。よし、腰に何本か紐をぶら下げてっと。なんで紐なんてあるかって? 盗賊出たら縛る為にたくさんあるのだ!

次に敵が出てきたときの方針が決まったところで、勢い良く通路を駆ける。ヒロコもちゃんと着いて来てるようだ。


ん? 向こうから人が来てる。1,2,3,4人いる。顔を隠すほど深くフードを被っている怪しい4人組。ひょっとしてさっきから騒がしいのはこの怪しい奴らが入ってきたせい?


「先手必勝!」


とりあえず、先頭にいる小柄な人影の足を狙って手を伸ばす!


「えっ?」


足を払って転倒させようとしたのに、すこし掠めただけで避けられてしまった。オーディスでかなり早くなってるのに、なんで避けられる?! だけど、掠めたから当たらないというわけじゃない!


敵は4人いるので、手早く倒さないと衛兵達が嗅ぎ付けてきてしまう。


って、なんかびっくりした様子の小柄な影。かと思ったら、凄い勢いで飛びついてきた!

後ろにいるヒロコに向かわれるとまずい! と思って、相手を地面に叩きつけようとよく見るとフードが徐々にめくれてきて、そこにミミの顔が出てきた。あれ?


「エンド!」


「コージィイイイイ!」


ごすっ。


「ぉぉおおおおおおおおぉ・・・・・ぅ」


だめ。みぞおち直行コースは駄目だよミミ・・・



うたた寝したら、朝の五時。驚きの朝。

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