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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
すれ違う王
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二人でおでかけ

「コージとヒロコだけで行かせて良かったのぉ?」

「たまには二人で居させて上げても良いと思いまして。そもそも二人で旅をしてたみたいですから、二人で話し合うこともあるかなと」


「そうなの? セリ・・・とずっと一緒なんだと思ってたなぁ」

「ふふ、コージと知り合ってまだ一ヶ月ぐらいなんですよ、これでも」

「ほぇ、そうなんだ!」


「二人とも謎なところが多いんですが、何故か安心できるんですよね」

「うん、ミ、ミ、ミーシャも一緒。コージ大好きぃ」

「うふふ負けませんよ。少なくともここは」たゆん


「・・・ぅ、成長するもん、大丈夫だもんっ」

「まぁまぁ、二人が戻ってくるまで大人しく荷物をまとめておきましょう。ね?」

「すぐ帰ってくるかな? ギルドって近くにあるんだよね?」

「そうだと聞いてますけど、早くかえってくるかどうかは・・・」


「コージって何かと巻き込まれ易いもんねっ」

「ですね。きっと今日も何か巻き込まれてますよ。ふふっ」


なんて話を、宿の一室でセリナとミミが話してるとは夢にも思ってもいなくて。

きっちり僕は厄介ごとに巻き込まれることになるのだった。


ひさしぶりにヒロコと二人で出掛ける。最初にこの世界に来て以来だから大体一ヶ月ぐらいぶりだ。だけど、ヒロコは僕の傍にいつもいるから、二人きりだからと言って特に話す事とかは無いんだよねぇ。


「今日こそギルド登録するよ、ヒロコ」

「ほいほい。なんかいっつもできないもんねぇ」


にひひ。と意地悪そうに笑うヒロコ。くそぉ、何が言いたい。


「きっと今日も登録できないよ、マスター」

「不吉な事を言うんじゃありません! めっ!」

「あ、なんだろあれ?」



ヒロコが何かを見つけたようで、大きな声を上げた。もう、すぐに気が逸れるんだから。


「あ、ここって印持ちの人の協会だ」


首都って事で人が多く集まるから、それだけ印を持つ人も自然と集まるから協会があるって言ってたっけ。そういえば、僕も印を持ってるかもしれないんだよね?ちょっと調べて貰おっかなぁ。


「マスターって何か印があるかもしれないんだよね? 調べてかない?」

「奇遇だね、僕もそう思ってたんだ。よし、寄って行こう!」


えっと、シールアソシエーションって言うんだ。ギルド協会の建物と同じぐらい立派な造りで、それなりに認められてる組織なんだなぁって伺わせる。協会の扉は開け放してあって、誰でも出入りしやすいようになっている。僕とヒロコも初めて入るんだけど、開けっ放しの扉のおかげで、すんなり入れた。ほら、初めて入るところって結構気後れしたりすよね? 僕だけ・・・?


「こんにちは、シールにようこそ! 今日はどのような御用でしょうか?」


受付のお姉さんと目が合った瞬間に元気な声で挨拶されてしまった。


「あの、印があるかどうかって調べられるって聞いたんですけどできますか?」

「あ、はい印の検査ですね。今回初めてですか?」

「はい、今日初めてです」

「では、検査費用として10シルバー頂きます」


高くも安くも無い値段で、結構気軽に支払える。なんだかんだで、印を持ってると便利なわけで、調べに来る人も多いんだろうなぁ。


「はい、では20シルバー丁度です。ではあちらの赤い板が掛かっている部屋へこの札を持っていってください。そちらで検査をしますので」


僕とヒロコの分を支払って、なんかぺらぺらの札を持って赤い板がかかっている部屋に入る。そこには、すでに何人かが検査に来ていて大人しく並んでいた。並んでいる人をそっと見てみると、僕ぐらいの年の子から、けっこう年配の人まで男性も女性も関係なく並んでいた。昔は印を持ってる人って迫害されていたって聞いていたけど、今じゃそんな感じではないようだ。これだけの人が普通に検査に来てるって事は、印の力が世の中に認められている証拠だと思う。


「はい、次の方」

「あ、はい」


どうやら僕の番が来た見たいだ。


「あー初めての方ですね。では、少しだけ説明させて貰います」

「あ、お願いします」

「印を持つ方は、この機械を使って簡単に調べることができます。」


と言って、手元にある懐中電灯のような物を持ち上げる。


「どうなるかは今は言いませんが、これで調べて印があると分かった方は、次に印がどういう力を持つものなのかを向こうの黄色の板の部屋で調べます」

「あの印って生まれつき持ってるって聞いたんですけど分からないもんなんですか?」


そういえばエドが印は生まれつき持ってる言ってたよね。


「ええ皆さん生まれつき印を持っているんですが、力が出てない印の場合もございましてそういった印はいくら検査しても分からないものなんです」


あれ? ということは誰でもみんな印を持ってるって事なのかな?


「まぁ、印持ちを毛嫌いしている方は、誰もが生まれつき印を持っているという説は真っ向から否定されていますけどね。とりあえず、時期によって印が出てくる可能性があると覚えて頂ければ良いと思います」


「で、どんな力の印かを調べた後、シールにて個人登録を行います。うちも人材の貸し出しを行っているので、誰がどんな印を持っているかを把握している必要があるのです」

「え、それって強制なんですか?」

「いえ、強制という訳ではありません。ただ、うちに所属している方が便利なので、調べた方はだいたい入会して頂いてますけどね」


ふーん、とりあえず印があるかどうか調べればいっか。


「では、そろそろ検査を始めましょうか」

「はい、お願いします」

「では、こちらを向いてください」


と、先程の懐中電灯をこちらに向ける。なんだかぼんやり光ってるかな? よくわかんないや・・・


「はい、結構です。お疲れ様でした」


怪訝そうな表情をしてる間に検査は終わったようだ。ってこれで終わり?


「どうやらコージさんは印は無いようですね。また折を見て検査に来て見てください」

「あ、そうですか。ありがとうございました」


ちぇっ、印ないのかぁ。残念。ヒロコはというと、凄い笑顔で


「ない!」


とだけ教えてくれた。あっても無くてもヒロコはヒロコだもんね。さぁ、次こそギルドに行くかー!


ギルドにいけません。何かの力が働いてるとしか・・・


きっと妖怪、ヨコミチソレコサンの力だと思います。

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