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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
機甲都市ロバス
32/293

王都へ向かえ

ロバスに来て三日目の朝。


何故か僕達は、王都グレイトエースへと向かって馬車に揺られていた。セリナに言われるがままに、魔法の力を見せた僕は結局、特殊任務とやらに同行する事となったのだ。


セリナに目の敵にされているトレイルさんは


「完敗だったけど、次に会う時は一泡吹かせるから君も精進しろ」


と、ふぁさぁ~とロン毛を靡かせて無駄に美しいポーズで、見送ってくれた。

事情を良く知らないミミやヒロコは、ぽーっとした顔をしてた。男の僕でもおーって思うぐらいだから、女の子だと効き目抜群だなぁ。ちょっとむっとしたけども。


でもそんな様子に気付かれて、むぎゅむぎゅのふにょふにょのぷにぷにな幸せな気分になったことは記しておく。女の子はいい香りだしや~らかいし良いよね。


で、特殊任務なんだけど同行者が二人いる。本当いうと僕たちのほうがオマケなんだけどね。茶色の髪で、メガネをかけた物静かで常に笑顔のお兄さん、ナイトルード=ファラスさんと、水色がかった銀色の髪を短めにまとめている控えめな感じのお姉さん、エミリア=エリツォーネさん。この人達が王都でする事があるので、僕達は護衛とサポートが主な仕事らしい。護衛はともかくサポートとかできるかなぁ?


「君達はほんとに賑やかだねぇ。もう少し静かにしてくれるかい?」


ヒロコ達と騒いでいると、ファラスさんに注意された。うるさくてごめんなさい。ガタゴトと揺れる車内は6人もいるとさすがに狭いので、他の人の迷惑にならないように気をつけないと駄目だね、反省。


「ふぅん・・・」


素直に謝って、大人しくしているとファラスさんが意味ありげな視線を向けてきた。なんだろう? と思ってたらエリツォーネさんが静かに尋ねてきた。


「みなさんは今回の任務についてどこまでご存知ですか?」

「僕は護衛とサポートとしか聞いてないですね」

「わたしはある程度の事は聞いてます。ただ、無理に動く必要は無いと言われています」


ミミとヒロコは何も知りません~と正直に言ってる。


「今回の任務は少々危険が伴います・・・が、何も知らないままだと危険ですので少し設定しましょうか」


ふむ、と少し考え込むエリツォーネさん。


「みなさんは王都に旅をしに来た旅行者という事にしてください。たまたまこの時期に観光する事になったという心積もりで居てください。で、私とファラスはロバスで雇った護衛という形でお願いします」


旅行者っていうのは良いんだけど、護衛を雇うほど王都への道ってのは危ないのかな?


「最近、王都の近辺に強盗が頻繁に出没するようです。あと、道中では魔石獣が出る可能性もありますし、魔物も結構な頻度で襲ってきます。その対策として護衛を雇うのはそう不自然なことではありませんから」


「で、今から何か出ても自分とエリツォーネで対処しますので、ご協力をお願いします」


ロバスを出てからどこで何が見ているか分からないから、今からなりきっておかないと、もし何かあった時に、ボロが出てしまうかもしれないですしね。と、今までもそういった慎重を要する任務をこなしてきたのであろうファラスさんが、話を締めくくった。


本当は僕たちが護衛なのに、その護衛する対象に守ってもらうっていうのも変な話だなぁ。何かあったら困るから、ちょっとアイテムこねこねしようかな。


「よし、そいでは一丁やってみますか!」


気合をいれて行きますか!


「コージ? もしかして、また何か創る気です?」


僕がやる気を出しているのを見てセリナがこそこそと耳打ちしてきた。


「あ。何かまずい?」

「うーん・・・」


そういえば、この二人は良く知らない人だから迂闊にマジックアイテムを創れる所を見せないほうが良いのか。と、なると何かあるたびに魔法で対処すれば大丈夫・・・かな?


「なにをするんだい?」

「いえ、王都まで行くのに気合いを入れてただけなんです。ね、コージ」

「は、はい、そうなんです。あははは」


ファラスさんに聞かれてどきっとしたけど、咄嗟にセリナが言い訳を考えてくれたのでそれにのっかった。セリナナイス! 危ない危ない。しかし、馬車の中を見渡すとこの面子って不思議な取り合わせに見えるなぁ・・・セリナは町娘だし、ヒロコだってそう。ミミは小さい女の子にしか見えなくて、なんで旅に出てきたのか不思議な感じだし。僕の格好はこの世界では変なので怪しく見えちゃうし。まともな格好なのは護衛役のファラスさんとエリツォーネさんだけ。


あ、そうだ。


「そういえば、セリナってさ」

「はい、なんでしょう?」

「魔術師としてやっぱり有名なの・・・かな?」


僕がそう聞くと、横で話を聞いていたファラスさんとエリツォーネさんがびしりと固まる。


「炎の申し子とか、改革者とか色々な二つ名がありますが、クリムゾンが有名ですね」

「魔法研究所でも、術式や詠唱を次々と新しい形に変えていきましたしね。魔法に携わるものは、一度はセリナさんの名前を聞いたことがあると思います」


なんか、二人ともなんで知らないの? って顔で教えてくれた。セリナの事が好きなのね。


ていうか・・・そんなに有名ならなんでタタ村に住んでたんだろ? あそこはどっちかというと魔法の研究をするには不便なところじゃないのかな?


「魔法を研究して効率の良い物に変えていったり、新しく魔法を考えたりするのは大好きなんですけど、目立ちたくないんです。人ごみも苦手ですし」


なので、自然が豊かなタタ村で静かに暮らしていたんです。とセリナ。本当にそれだけなんだろうか? まぁ、深くは追求しないでおこう。有名っていうのは分かった。となるとすこし問題があるんじゃないかな?


「そんな有名なセリナが馬車に乗ってると、あやしいって思われるんじゃないかなぁ?」

「あ、そこは大丈夫です。わたしって発表会とかだと別人になりますから、この姿を知ってる方はあんまり居ないんですよ」

「あぁ、すまない。先程から少し疑問があるんだが、いいかい?」


僕たちの会話を割って、笑顔は崩さずファラスさんが尋ねてきた。


「はい、なんでしょうか?」

「今まで、話題として“セリナ=クリムゾン”が出てきていたと思っていたのだが・・・ひょっとして・・・?」

「クリムゾンは嫌いなんで止めてください。タタ村のセリナはわたしですけども」

「「!?」」


すっごいブスッとした顔で応えるセリナ。


先程の固まり様とは比べ物にならない程、動かなくなる二人。あのセリナにタメグチというか上から目線で説教してしまった・・・とか、あのセリナさんと一緒の任務だなんて聞いてなかったんですけども・・・など絶望やら歓喜やらなにやら良く分からない雰囲気の二人。そういえば、みんな自己紹介なんてしてなかったもんね。


「まぁ、とりあえずそのままで問題無いって事・・・だね?」

「はい、そうですコージ。心配してくださってありがとうございまっす」


最後の言葉に力が篭っていたのは、何時の間にか僕のひざの上にちょこなんと座っていたミミを突き落としたから、言葉にでちゃったんだろう。セリナ・・・大人げないよ・・・

僕のじとっとした視線を感じたのか、顔を真っ赤にしてうつむくセリナ。うむ、少し反省してください。


「なぁ、あの二人は一体どういう関係なんだ? あのセリナが普通の娘みたいになっているんだが・・・?」

「そんなのわたしが聞きたいですよっ」

「何か言いました?」


「「いえ、なんでもありません!」」


すごい背筋をまっすぐにして答えられた。


お邪魔虫がくっついてくる護衛ってどうなの? でも、駄目って言われたら

きっとセリナ暴れる・・・

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