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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
機甲都市ロバス
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ミミの事 その2

 エレンとミシェルはどうも攫われたみたいなんだけど、ミミは違う。屋敷の人に奴隷として売られちゃったのって二人に言ったら凄く驚いて、すぐにミミをよしよしってしてくれた。なんだか凄く得をした気分だった。


奴隷として売られ、馬車で運ばれて数日が経った。どうもどこかの貴族の屋敷に向かっているらしい。ミミは頑丈だから、また殴られたりするのかなぁ・・・? せっかくの綺麗な服がぼろぼろになったらやだなぁ・・・


奴隷というものが今ひとつピンと来ず、そんな事を考えていた。


でも、エレンとミシェルというお友達が出来た今は、奴隷になったという事は凄く些細な事に感じられた。だって、二人はちゃんと顔を見てお話してくれるし、嫌な笑い方じゃなく暖かい笑顔をむけてくれるし、なにより、傍に居てくれるもの。ミミはきっと凄く笑顔になっていたと思う。今までの屋敷の生活に比べれば、ここは天国だ。嬉しくて嬉しくて仕様が無い。


最初の2,3日は、ずっとにこにこしているミミを見て、二人は不思議そうな顔をしてたけど、エレンとミシェルが居てくれるから嬉しいと言うと、二人とも嬉しそうにもじもじしていた。そんな仕草を見ると余計に嬉しくなっちゃう。


屋敷、と聞くと嫌な思い出しか無いけれど、これから行く屋敷は二人も一緒に行く。お友達が居るから、今から非常に楽しみだ。それでも、もし二人が痛い目に合いそうになったら絶対助けるんだ。ミミだったら、頑丈だし避けちゃえるし絶対平気だもん。


「もう、エレンってばそんなにミミを見つめないで下さいよぉ」


二人を絶対に守る! と意気込んでいたらエレンに見られてた。ちょっと恥ずかしい。


「ごめんごめん、ゆるしてミミちゃん、ギュー!」

「きゃー」

「ミシェルも~」

「ミシェルだいすきぃ~」


ぎゅうぎゅうみんなくっつく。たぁーのしぃ~! こうしてると、屋敷で起きた事なんかぜぇーんぶ忘れちゃう。ううん、本当は覚えてるけど、嬉しくてどうでも良く思えちゃうから不思議! むしろ、奴隷にしてくれてありがとう!って感じなの。


そしてご飯! 腐ってないのは勿論だけど、エレンとミシェルと一緒に食べるとおいしいの! 屋敷に居た時は、ほとんどご飯を食べなかったけど全然平気だった。むしろ腐ったものを食べさせられる事が多かったので苦痛だった。


なんだろう。何をしてもわくわくするし嬉しくなるし、楽しくなっちゃう。大好き・・・そう大好きな二人がいると、ミミは幸せなの。



そして運命のあの日。


ミミはコージと出会った。


屋敷に着いた途端に響き渡る轟音。怒号や何かが倒れる音、けたたましく行き交う人達。二人を怯えさせるのに充分なものだった。ミミは平気だったけど。


しばらくすると、静かになり馬車の外から彼の声が掛けられた。


「扉開けますよ?」


あとは知ってのとおり。


コージの素顔を見て、ミミは顔が赤くなるのを感じた。何故か頭の中に“この人だ!”って言葉が浮かんだ。違う馬車に乗っていた女の子が魔法を使ってて、助けにきましたよって言われているのを聞いて、魔法が使えないのに使えるって嘘を言っちゃった。何度も使ってって言うから、意固地になっちゃったけど、嫌われなかったかなぁ? そして、ちゃんとミミを見て欲しくて、子ども扱いしないでとも言った。


ミミには帰る家なんか無いから、戻れない。エレンとミシェルは優しい家族が待つ家がある。だったら帰るほうが絶対に良い。でも、ミミは帰れない。帰りたくない。


ただ、コージにずっと着いて行きたい!


エレンとミシェルはコージが送ってくれた。優しい家族が待っているお家に。エレンは一緒に住もうと言ってくれたけど、どう考えてもミミは邪魔だと思う。でも、そんな事を言って貰えただけでミミは凄く嬉しかった。純粋に心配してくれたエレンにミシェル。二人はずっとミミの友達なの。


そして、セリナとヒロコ。いい匂いがして柔らかくて、綺麗な二人。ミミを見て凄く優しくしてくれるの。エレンやミシェルがしてくれたみたいに、ぎゅーっとしてくれるし、ヒロコはなんでか、ずっと手を繋いでくれるし。


「お友達想いでミミは優しいねぇ」


って、ヒロコに言われた。優しいのかな? 良く分かんないや。そんな風に首をひねっていると、セリナに抱きしめられた。そうやって抱きしめて貰ってると、エレンとミシェルとお別れして悲しくなってた気持ちがすぅっと落ち着いてきた。えへへ。こんなに幸せで良いのかなぁ~? 


そしてコージは、そんなミミ達を優しく見守ってくれてました。




コージ。

すっごく謎の人なのです。奴隷じゃなくなって、コージの妹になってはや三日。ロバスという町を目指しています。その道中ですっごく運が良かったのです。


違います、全部コージの仕業です。食料が少なくなってきたら、ちょうどピピールとかいうおいしい獲物が現れて、ミミ達の食料になったり、寝る前まで無かったはずの岩塩が朝起きると生えてたり、たまたま見つけた洞窟にはいったら、何故か部屋になりそうな横穴が2つあったり・・・ 最初は分かんなかったんだけど、ミミの目に見えるようになってきました。コージが時々光るのが。いつもの赤い光じゃなくて、優しい金色の光がコージから溢れるんです。なにか都合の良い事が起きる時は、必ずコージが金色の光を出すのです。


ミミも不思議な力を持ってるんだけど、コージもなんだか不思議な力を持ってるのです。えへへ。ミミみたいに不思議な力を持ってるなんて一緒で嬉しいのです。ますます大好きになっちゃうのです。



ミミの話はとりあえずおしまい。

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