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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
出会い
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対峙


「なんなんだ、あれはっ! 誰か説明しろ!」


急に襲撃してきた白いガイアフレーム。貴族の屋敷に攻撃をしてくるなぞ、いかれてるに違いない。神をも恐れぬ所業だ。


「ヒューイ様、こちらへ。万が一があっては旦那様に申し開きできません」

「うるさい! そんな事よりさっさとあいつをなんとかしろ!」

「えぇ、ヒューイ様が避難して頂いてから、手早く処理させて頂きますので」


くっ。こいつは親父付きの執事だけあって、すぐにああいえばこう言う。しかし、ここから逃げなければ、あの白いのに襲われるかもしれない。


「よし、早く安全な所に連れて行け」

「はっ、かしこまりました。ノイ、サラン!」


二人の護衛を呼びつけ、屋敷の中

を移動していく。その間にも白い奴は暴れているようで時々、フレーム同士がぶつかり合うような音がここまで響いてきていた。


ちっ、イライラする。いったいどこのどいつだ。全く。せっかくのお楽しみが台無しだ。

はー・・・まぁいい。落ち着いたらまたかっさらってくれば良いだけの話だ。


ズガァァアアン! ズズゥウゥウン・・・


音がだいぶ近くなってきやがった。大丈夫なのか、おい。


「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」

「はい、大丈夫です。ですが、急ぎましょう」


いざという時の脱出口へと急ぐ。だが、あと少しというところでガイアフレームの手が行く手を阻んだ。壁を壊し通路もぼろぼろにし、こちらを静かに見下ろしている。


「失礼します」


文句を言おうとした刹那、口うるさい執事が俺を掴み脱出口へと押し込んだ。あとは1人でここを出て行くだけだ。

「よぉ、がんばったな。おまえの事は親父に言っといてやるよ!達者でな」


とサービスで声をかけてやり、すばやく屋敷から脱出した。これであの口うるさい執事は死んだな。結構けっこう。ついてないと思ったが、あいつが居なくなるなら万々歳だ。





人に当たらないように気をつけながら、屋敷を壊してやっとあの貴族を見つけた。

せっかく追い詰めたと思ったのに、あいつは一緒に居た人達を見捨てて自分だけ、さっさと逃げてしまったのだ。二度と悪さできないように、お仕置きしようと思ったのに・・・


その後、セリナを連れて屋敷を出ようとしたんだけど、貴族の屋敷というだけあって、屋敷を護るかなりの人間が向かってきたのだ。ガイアフレームだけではなく、魔術師も数名抱えていた。ガイアフレームに対しては反転弾|(操作不能にする弾の事)を撃ち込んで、四肢を破壊する事で無力化できたんだけど、人の身でガイアフレームに挑んでくる魔術師達に苦戦した。まさか、魔術師がガイアフレームに挑んでくるとは思わなかったので、まったく対抗策が無かったのだ。


結局、ホワイトファングから降りて魔術師を倒すしかなかった。


抵抗する人達が大人しくなった所で、馬車に乗ってる人を解放する。2台も馬車があるということは、セリナのほかにも攫われた人が居るんだろう。念のため、スーツは着たままで馬車の中を改める。


「扉開けますよ?」


声をかけて馬車の扉を開ける。中には、セリナと同じ年頃の女の子が3人呆然として座っていた。僕の姿をみると少しおびえたように馬車の隅っこにうずくまった。


「何もしないから大丈夫。貴族に攫われた人を助けたいだけだから、安心して?」

「は、はい」


ツインテールの女の子が、泣きそうになりながら返事をしてくれた。


「とりあえず、もう一台の馬車も見てくるから少し待っててね」

「はい、分かりました」


ツインテールの子の返事を聞き、もう1つの馬車に向かう。こっちにセリナが居ないって事は、向こうに居るんだろう。さっと行ってセリナを助けよう。気が焦っていたせいか、馬車に声を掛けることなく、扉を開けた。


瞬間、中から僕の胸に手が伸びてきた。


「“炎よ! 我が手より出でよ! フレイム!”」


伸びてきた手は、トンと僕の胸を叩き、手の平から炎の奔流が迸る!


「っくぅわっ!?」


いきなりの事で何も反応できずに吹き飛ばされる僕。くそ! まだ魔術師が居たのか!

って、セリナじゃないか!!!


「ちょっ、まっ・・・」


敵意が無いのを示す為に両手を挙げる!

それを何か勘違いしたのか、戦闘態勢を解かずに更にこちらに魔法を放とうとするセリナ。


「“其は戒め、我が敵を留めたらん! ラシャラ!”」


これは拘束魔法だっけか? 紐を避けないとこれはまずい!


「アクセル!」


加速魔法を唱え、紐を避ける。避けたは良いけどこの状況を打破するにはどうすれば・・・

スーツを脱がずにセリナに僕って分かって貰うにはどうすれば良いだろう? あ、そっか!


「エンド! ボールライト!」


「!?」


球魔法を出した途端、セリナが目に見えて驚いていた。


「えっと、助けにきましたよ?」


ちょっと間抜けな感じがするけど、贅沢言ってられないよね。ていうか、セリナには後でお説教しなきゃ駄目だね。1人で犠牲になろうとして、みんなに心配かけたし。


「・・・はい」


事情を察してくれたのか、僕の名前を呼ばずに返事をしてくれたセリナ。少し顔が赤い

セリナを助けるという目的は果たしたから、さっさとこの嫌な屋敷からは出て行くとしよう。



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