表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
異世界
2/293

不思議なちから

 ほの暗い部屋。

魔方陣が床に描かれており、なんらかの魔法を行使した気配が漂う部屋で数名の男女が集まっていた。


「で、この少女は印を持っていないと言うんだな?」

くすみ一つない金髪を揺らしながら、眼光の鋭い壮年の男性が嘆息交じりに呟く。


「はい、残念ながらそのような印は見当たりません」

その言葉を受けて、目元をマスクで隠した女性らしき人物が応える。


「ユージン陛下にも勿論、印は無い。となると印はどこへ行ったんでしょうかね?」

ぐっと強い眼差しで、床に横たわる人物をにらみつける。


「はっ、前から言っているが俺はユージだ。いい加減に間違えるなよラディアス」

痛めつけられたのか弱々しく床に横たわっている人物は語気だけは荒々しく言い放つ。


「この国の貴族でも無い者の名前をいちいち覚える気は無いのでね。ユージン陛下」

「で、どうする気だ? 今ならまだ謝れば許してやるぞ?」

床に横たわっているにも拘らず強気のユージ。


「その少女ともども牢へ連れて行け、油断はするなよ」


 ユージの発言を戯言だと鼻にもかけずに、部下に指示を出すラディアス。

ラディアスの言を受け、部下はユージと少女を連れ牢へと連行して行った。


「さて、印が無いなら無いで作れば問題はない。この国の実権さえ握ればどうとでもなる」

「御意に。しかし、あの少女は本当に無関係なのでしょうか?」

「いや無関係ではあるまい。肉親もしくは血縁関係にあるものだと思う。有効に人質として使わせて貰うだけさ」

「では、次の段階へ進まれますか?」

「あぁ、万事ぬかりなく進めたまえ、エリス」

「はい、仰せのままに」


 返事とともに退室するエリス。


「さて、ここまではうまく行ったが次はどうなることやら・・・」


 不安そうな台詞とは裏腹にラディアスの目は暗く笑っていた。


 




 いま僕は異世界に来ている。

ヒロコと名づけた精霊と共に浮かびながら森の中を突き進む。


「ヒロコ、タタ村ってのはどんなとこなの?」


 抱えて貰っているので、気恥ずかしい事この上ない。

だから、ついついしゃべって誤魔化そうとか思ってしまう僕。


「小さい村だよ。そんなに村人も居なかったと思うし。森の恵みで生活してるって言えばどんな所か想像できる?」

僕の気恥ずかしさをよそに、ヒロコは耳元でささやくように答えてくれる。


「わ、分かるような分からないような・・・ とりあえず危なくなければなんでも良いんだけどね」

恥ずかしいせいで、あやふやな答えになる。男の子だから仕方ないよね?

だけど、しっかりと聞いておかないと駄目なことがある。


「ところで、僕にも魔法って使えるのかな?」

「ほえ?」

その質問は想定外って顔をするヒロコ。そんなに変な事聞いたわけじゃないでしょ?


「マスターって、おもしろい事聞くよね。魔法のこと知ってるのに使えない事ないでしょ?」

「いや、そもそも魔法なんて使ったことないから聞いてるんだけど?」

「あれ? ボクでも知らないような魔法の知識とかマスターの世界でもあったじゃない? あれだけ知識あるならこっちの世界でも使えるって思ってた」

いやいや魔法なんて教わる事なんてまったく無いし。ゲームや漫画だとそういうのは山ほどあったけども・・・まさかそれのこと?!


「アクセル!」


 好きな漫画に出てきた加速魔法を呟いてみる。

頭の後ろからきゅっと何かが溢れ出る感覚と共に、世界がコマ送り再生のように動きが遅くなった。うわ、なんかできてるっぽいぞ!?


「エンド!!!」

 

 あわてて魔法を解除する。


「あ、ほらやっぱり使えるんじゃない。びっくりしたよもう」


 僕がからかったと思ってヒロコはむくれる。


「ちょ、ちょっと待って」


 今、間違いなく漫画の魔法が発動した。

魔法なんて習ったことなんかない(当たり前)のに、それっぽい事が起きた。

でも、何かの思い違いかもしれないから、もっとこうビジュアル的に分かるのも試してみよう。


ヒロコに地面に降ろしてもらいさっそく試してみる。


「ボール・ライト」

 

 ちょっと魔力っぽいものを意識して違う魔法をつぶやくと、思ってたとおりの光の玉が目の前に浮かぶ。


「アローシュート!」


木を狙うように意識して、次の魔法を唱えると光の球から光の矢が飛ぶ。


ヒュゴッ!


軽い音を立てて光の矢は狙いたがわず木を貫き、そのまま突き進んでいった。


「うわやばい。魔法とかなんで使えるの僕・・・」

「どうしたのマスター? 魔法を使えるのがそんなにおかしいの?」


 茫然自失といった感じの僕をみてヒロコが心配そうに顔を覗き込んでくる。


「いや、魔法なんて見たことも無ければ使ったこともなかったし。これってそもそもゲームに出てた魔法だし・・・」

「ゲームの魔法だと何かおかしいの?」

「いや、ゲームって空想の産物っていうの? 本当は無いものだからさ・・・」


 ヒロコの認識は微妙にずれてる。ゲームだろうと漫画だろうとそういう設定があるのなら使えて当然とか思っている節がある。


「でも、こっちの世界だとそういうのも使えるんだよ? マスターは嬉しくない?」


 理論がどうとか、本当にあるとかそういう観点ではなく、ごくごくシンプルな点をついてくるヒロコ。


「そりゃあ嬉しいに決まってるけど、なんていうかその・・・」

すごく反則な気がするのは気のせいかな?


「嬉しいならそれで良いと思うなボクは。マスターが嬉しいとボクも嬉しい!」


 と本当に嬉しそうな表情をするヒロコ。


「そ、そうだね。難しく考える事もないかな。とりあえず魔法が使えるってことで良しとしよう」


 使えないより使えるほうが良いしね、うん。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ