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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ステップ!
165/293

師匠と手合わせ

第七演習場。


魔法教会の協力もあって、学園の演習場は中々凄い事になっている。空間魔法を利用しているので三十もある演習場が一つのフロアに収まっている。演習場内の広さもかなり広くなっていて、広域殲滅魔法とかをぶっぱなしても平気な程だ。なので最近はセリナが良く演習場を利用していると聞いている。空間魔法を維持する為の魔力は勿論魔法教会の人と学園の人間で担っている。当然、僕も定期的に魔力の充填をしている。


「ようし、今日は俺と仕合って貰おうか。勿論、コージも装備を付けろ」

「はい師匠」


魔格闘となると装備を変えないといけない。肘当てに篭手、すね当てに靴。あとは幅の広いベルトをしっかりと装着する。装備が無くてもできない事は無いんだけど、あったほうがやりやすい。現に師匠も専用の防具を装備している。防具にはそれぞれオーブが仕込んであり、装着している人間の言葉もしくは動作や意思などで魔法を放つようになっている。タイミングよく魔法を発動させる事によって、魔格闘は無茶な攻撃を実現できるのだ。


「よし、準備はいいな。始めるぞ」

「はいっ」


すっと力を抜いた体勢の師匠。ざりざりと足の裏の感触を確かめながら、気だるそうにこちらへと歩を進める。僕は師匠の動きを見逃さないように視線をぼんやりとして全体を見渡せるようにしている。


ガッ!


ふらりと身体が傾いたかと思うと、倒れこむ勢いを加速させ一気に間合いを詰めてまわし蹴りをはなってくる。僕も足を使って蹴りを受け止め、反対の足で反撃を試みる。だけど、師匠は蹴りを放った足で僕の足を踏み台にし、僕の反撃をかわすと同時に高く振り上げた足を打ち下ろしてくる。


“下上○!”


発動コマンドを念じ、打ち下ろしてくる足に対してサマーソルトを放ち迎撃する。だけど回転が中途半端だった僕の攻撃は弾き返されてしまい、必死に態勢を立て直す。ちなみに僕の魔格闘の発動はコントローラーで技を出すイメージにしている。ノリは格闘ゲームだ。


一度距離をとって仕切りなおしとなったので、今度は僕のほうから仕掛けてみようか。


“後ろ前△!”


コマンドを念じ、技を繰り出す。地面を滑りながら師匠に近づいていき、直前で地面を踏み込み肘を叩き込む。要はただの肘で攻撃するだけなのだが、その速さと威力は岩をも砕くものだ。


「甘い」


しっかりと僕の技に反応した師匠は、カウンター気味に膝を僕の背面から肩を痛撃してくる。肘の威力を上げる為に地面を踏み込んだ瞬間を狙われてしまい、回避できずに吹き飛ばされてしまう。と見せかけ、吹き飛ばされる身体に手を使って横回転を加え手で師匠の軸足を狙う。きっと、回避する為に飛ぶと思うのでその瞬間を狙ってさらに追撃をする予定だ。


「LS2」


ボソッと師匠はコマンドを唱えて僕の手刀を飛ぶことなく地面を滑って回避する。そして、僕の目の前には師匠の構えている足がある。


ボッ!


単純な前蹴りが飛んできたけど、髪の毛が何本か千切れて飛んでいく。あぶなっ。なんとか顔面直撃コースから逃れたけれど、まだ気を緩められない。


「LS1 L4」


師匠のコマンドで僕の真横を通り過ぎた足が、勢い良く迫ってくる。とっさに地面に身体を投げ出し回避したけど、これは悪手だ。また師匠がぼそぼそとコマンドを唱えてる、やばい!


ゴンッ!


とっさに横に転がった僕の横の地面が大きく抉れてる。勿論、師匠の足のせいだ。いつも思うんだけど師匠って僕を殺す勢いで技をだしてるよね? ね? いつまでも転がったままだと良い的なので、急いで起き上がり師匠に向き直る。最近、師匠はけり技に凝っていてなんか今も手をポケットに入れたままで戦っている。どこかに居そうなキャラにも見えない事もない。だけど、ちょっと舐められてる気がしてむかっとするのも事実だ。ようし、ポケットから手を出させるように頑張ってみましょうか。


蹴られた右肩をぐりぐりと回してほぐし、両手を構える。さぁ手数で押して足で捌ききれなくしてやるぞぉ!


“前前○!”


コマンドを念じてパンチを出す。うん、ただのパンチなんだ。だけど、このパンチは戻りが凄く早いので、凄い勢いのジャブだと思って頂ければ良い。さすがにこの速さのパンチを足で捌こうとはせず、うまく身体を動かしてかわしていく。かわしきれない物は肩や膝でブロックするなどして、決して手を出そうとはしない。師匠は師匠で絶対に手を出さないという縛りをつけているようだ。ぐんぐん前進し、回り込んだりして両手を使って攻撃していくが決定打にはならず隙を作る事もできない。


普通の技じゃ駄目だね。もっとぶっ飛んだ技でもしないと手を出させるのは難しいか。


“斜め前△”


コンボ始動技を師匠めがけて繰り出す。ただの手刀なんだけど、これは回避させる事が前提なので当たっちゃうと意味がない。さすがにそんな回避前提の攻撃とかは分からないので、さくっと回避してくれる師匠。ようし! コンボ開始だ!


手刀を振り下ろした手を軸に身体を前転させる足が水平になった所で、まずはドロップキックへ移行する。当然、加速しているので威力は抜群だ! 


単純に僕の手刀をステップバックで回避しようとした師匠は、急に飛んできたドロップキックに蹴りを合わせてくる。ようし、掛かった! 合わせて来た蹴り足を挟むように足を広げ、両足で足をロックする。


「!」

「でりゃぁ!」


気合と共に身体を横に回転させ、師匠の体勢を崩す。膝を固めているので下手に抵抗すると膝がめちゃくちゃ痛くなるので、倒れざるを得ない。そして、そのまま足の関節を極めてしまう。そしてすかさずもう一本の足も極めてしまおうと手を伸ばすが、それより先に僕の首に向けて足が伸びてくる。


「ふっ!」


僕は足を固めたまま横に転がる事で、その攻撃を回避する。もちろん、固めた足に捻りを加えて痛めつける事を忘れない。


「ぐっ!?」


関節技ってすっごく痛いからねぇ。さすがの師匠も苦痛で顔が歪む。でも師匠の殺人キックに比べたら可愛い技だよね? と思ったら、フリーの足が大きく上がり勢い良く振り下ろされる。


ゴッ!


なんとも強引な方法で、師匠は僕の身体も地面への蹴り一発で浮かび上がらせる。そして、浮かび上がった瞬間に身をひねり、魔法も使ってうまく脱出する。そして、とんとんと足を確認するように小さく跳ねてこちらを警戒している。一瞬かっちり極まったはずなのに関節柔らかいっすね。


「関節技はいやらしいな」

「殺人キックよりましですよ」

「違いない。次はこっちから行くぞ!」


さっきのコンボは派生コンボなので、違うパターンをお見舞いしようとしてたのに先手を取られてしまった。地面を抉るほど強い勢いで踏み込み、こちらへすっ飛んでくる師匠。しかもなぜかスケート選手みたいに横回転しながら飛んできている!


シャシャシャシャシャシャッ!


そして回転しながら蹴りを放ってくる師匠。蹴りを放ちながらも回転の勢いは衰える事なく続き、その回転のあまりの速さの為に蹴りのタイミングが読み辛い。なんて厄介な蹴り技だこれ?! なんか、足が何本もあるように見えるんですけどもっ?!


「あつっ!?」


試しに蹴りを合わせてみたんだけど、あえなく弾かれメッチャ痛い。こっちも加速をプラスして重い蹴りな筈なのに、回転力も付加されているせいか軽くあしらわれてしまう。これが師匠の切り札だな!


ならば、真似てやる!


“左右左右□□□□□・・・”


□を連打し続けて回転と蹴りを持続し続ける。僕のほうが少し回転が遅いけど、威力に関してはそう大差ない。


「ぬっ!」

「でりゃぁ!」


お互いの蹴り足が絡み合い回転が止まる。回転が止まった所で急接近し蹴りでは対応出来ないほど近づく。そして両手で腕を抑え動けないようにする。そもそもポケットに手を突っ込んでるから手は動かさないんだろうけどね。


「どりゃぁ!」

「がっ!」


そして勢い良く頭突きを食らわせる。うん、僕も結構痛い。だけど足技を封印しつつ攻撃するにはこれがベターだ! さぁどんどん行くよぉ!


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