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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ステップ!
158/293

仲良し二人組み

今日はコージが学園を休むという事でしたので、ミミを連れて魔法教会へ顔を出す事にしました。学園に行っても良かったのですが、せっかくなのでフレームと生身で戦う講座を受けに行くつもりです。私とミミはどうもフレームに乗るのが苦手なので、せめてフレーム同士の戦いの際に足手まといにならないように、学ぶ必要があるのです。


「ミミ、コージと一緒に居たかったなぁ」


まぁ当然のようにミミは、不満げな様子です。だけど、ミミを置いて私だけ講座を受けるのは不安なのです。きっと、コージに色仕掛けをするでしょうしね!


「コージも忙しいんですから、帰ってからお話すれば良いじゃないですか」

「だって、それだと独り占めできないからつまんないんだもん」


やはり油断できませんね。今日は白夜はホワイトファングのままという事ですし、ヒロコは寝たままで起きてきませんし、ミミを残したらとんでもない事になる所でした。ふと大人しくなったミミを見ると、家から持ってきたマカロンをもきゅもきゅ食べてます。本当に好きですねぇ。私はどちらかというと、せんべーなるものの方が好みですが。塩気のあるお菓子は意外とおいしいのです。


「ミミは別にフレームと戦えなくても良いんだけどなぁ」

「じゃあ、フレームに乗って戦うんですか?」

「うぅん・・・乗ってるだけじゃ駄目かなぁ。で、コージに守って貰うの。セリナもそうしようよ?」


くりくりとした目をこちらに向け可愛らしい顔でそう提案してくる。コージに守って貰うのは嬉しいんですけど、それだと余計に危ない気がしないでもないです。コージが。


「だめかなぁ?」

「別にコージは怒らないと思いますよ? でも、コージに何かあったらどうします?」

「うーん・・・」


ファウンデルス卿と戦ってから、コージは貴族をどうにかしたいと考えてます。おかしな力を持つ貴族と戦う為に私も力を付けておきたいのです。ミミもそうかなぁって思ったんですけど違ったんですかね?


「やっぱりセリナもコージを手伝うつもりなんだ」

「ええ、当然ですよ」

「でも、相手はあいつらだよ。危ないんだよ?」


言葉を濁しつつ心配そうにそう問うてくる。魔法教会といえど、どこで貴族の密偵がいるか分かりませんもんね。それにミミは貴族から虐待を受けていたから余計に怖いんでしょう。


「だからこそ余計に微力ながらお手伝いしたいんです」

「セリナってほんとコージが大好きだよねぇ」

「あら、ミミは違うの?」

「ううん、一緒~」


ミミはなんだか私の事を心配してくれてたようですね。確かに遺跡では実力をお見せする事はできませんでしたが、そのせいでミミは見誤っているようです。でも、私もミミが勉強が嫌でわがままを言ってると勘違いしてましたから、おあいこですよね。


「では、行きましょうか」

「うん、ミミもコージの為に頑張る」


本当は今日の夜に受ける予定の講座でしたけど、昼間の講座に空きが合って良かったです。空いてなくてもトレイルに言って空けさせましたけどね。昼に行っておけば夜は自由にできるのでコージとゆっくりするつもりです。でも、ミミはもう少しマカロンを食べるのを控えた方が良いと思いますよ?






今日はセリナに連れられて魔法教会で勉強してきた。魔法の理屈は良く分からないけどフレームと戦う時に気をつける事を分かりやすく教えてくれた。それに話を聞いていて思ったんだけど、ミミの場合は攻撃してくるタイミングが分かるから、相手が大きくなっただけでやる事はあまり変わらないかなって事だった。魔石獣と違って中に人が乗ってるから簡単には行かないけど、フレームは関節という共通した弱点があるからどこを狙うか悩む必要がない部分は楽だと思う。


勉強してる間、ミミやセリナみたいな女の子がこういう魔法の勉強をしているのが珍しいのか、やたらと顔立ちの整った魔術師が声をかけてきたけど、セリナがきっぱりと遠慮しますと断るとすごすごと立ち去っていった。中には手を出そうとしてくる人も居たけど、そういう人はミミがちゃんとお仕置きしておいた。やっぱりコージが居ないとちょっかい掛けてくる暇な人って居るんだねぇ。今日はコージに言われたから大人しい服を着てきたのにわざわざこんな事をしてくるんだもん。なんかセリナにはそれで大人しいのですか? って眉を寄せて聞かれてしまったけども。チラリもヒラリも無いから大人しいと思うんだけどなぁ。


でもセリナもやっぱりコージの役に立ちたいんだね。本当はミミもフレームに乗れたら良かったんだけど、ボタンをポチポチと押して操作するのはどうしても覚えられない。もっと簡単な方法で操縦できればコージの役に立つんだけどなぁ。剣を使った訓練だとコージの役に立ってるんだけど、できればもっと役に立ちたいし一緒に居たい。今まで貴族に言いように扱われてきたせいで、知らない事が多いから学園に通うのは楽しい。少ないけどお友達もできたし。


「セリナはコージと結婚したいんだよねぇ?」

「え、えぇ? き、急にどうしたんですっ?!」


ふと今まで気になってた事をセリナに聞いてみる。セリナは気付いてないかもしれないけど結構、結婚、結婚って呟いているのを聞くんだよねぇ。見ると顔を真っ赤にして動揺しているセリナ。耳まで真っ赤ですごく可愛いなぁ。


「違うの?」

「ち、違いませんけどそうやって改めて聞かれるとちょっと恥ずかしいと言いますか・・・」


とか言いながら何か想像してるみたいで、にへらって顔が崩れてきた。好きな事を想像すると顔が崩れるのはコージと一緒だよね。コージは気持ち悪くなるみたいだけど。


「ミミはそういうのできないから、セリナに任せるね」

「なんでです?」

「ミミはほら、なんだかんだ言っても家がね駄目な所じゃない?」


テスタロッサ家が万が一ミミの事に気づいてしまえば、どんな無理難題を言ってくるか分からないもん。昔と違って色々成長してきたから、すぐには分からないとは思うけどやっぱりミミはミミだから、じっくり調べられたらばれちゃいそう。


「・・・なら、コージと一緒に頑張ればそんな事を気にする必要はなくなりますね」


にっこりそう微笑むセリナ。それはそうだけど、貴族を倒すとか簡単に終わる事じゃないと思う。倒す前に婚期がどんどん過ぎちゃうし、ミミももうすぐ二十歳になっちゃう。


「う・・・だ、だいじょうぶです。コージの世界ではミミも私もまだまだ結婚には早い年齢だって聞いてます。きっとコージはそんなの気にしません!」

「んふふぅ、ちゃぁんとそういう事は聞いてるんだねぇ。結婚する気満々だねっ」

「そ、それは今は良いんです。とにかくミミが諦める必要は無いって言いたかったんです」


セリナはさっきからずっと顔が赤いままだ。そういう事を日ごろから考えていてもこうやって話題に出るだけで恥ずかしがってたら、コージと夜のイチャイチャタイムとか大丈夫なのかなぁ? 結婚したらそういう事をするんだよね。


「ミ、ミミは話が飛びすぎです! ほらっ早く帰りますよ、コージがきっと待ってます」

「はぁい。別に恥ずかしがらなくても良いと思うんだけどなぁ」


そういうと余計に顔が赤くなるセリナ。今までも真っ赤だったのにまだ赤くなれるんだぁ。セリナって結構コージにくっついたりちゅっちゅっしたりするくせに、人に言われるのに弱いんだねぇ。にひひ、これは良い事知っちゃった。


「もぉっ。とにかく変な気を利かせる必要はありませんからね。わかりました?」

「うんうん。コージに一番可愛がって貰うように頑張る」

「うふふ、負けませんよ。私もコージから色々して貰ってますもん。頑張ってるのはミミだけじゃ無いんです」


あ、得意げなセリナって初めて見るかも。いつも隙だらけな攻めだから油断してたんだけど・・・ん? ひょっとして最近よく頭につけてるカチューシャって・・・


「ん、そうですよ。コージから貰ったんです。良いでしょう」


ミミの視線に気付いたセリナが上機嫌で教えてくれた。ずるいっ! でもミミだって負けてないもん、う、うらやましくなんかないもんね!


「そ、そんな事ないもん、コージは指輪くれたもん!」

「えぇ!?」


そう言って薬指につけた指輪をセリナに見せ付ける。確か薬指に指輪を貰うと勝ち組になるんだよね。母さんがそう言ってた。


「なんで右手? あぁ・・・そういう事ですか。ミミさんは良いですねぇ」

「むぅ」


なんか小馬鹿にされた気がする。でも、コージからプレゼントをお互い貰ってるので勝負は引き分けって事かな。そんな話をしながら歩いているとすぐに家に着いてしまった。


「あらっ、トレイルですかね? うちに何か用があったんでしょうか?」


ふと屋敷の向こうに見える人影を見ながらセリナがそう呟く。


「あの無駄に格好良いポーズする人?」

「あれでも一流の魔術師なんですよ。まぁコージ絡みで何かあったのかもしれませんね」


苦笑しながらトレイルさんの説明をして、挨拶をして家に入るセリナ。ミミも同じようにただいまって言いながら家に入る。行ってきますとただいまって挨拶はいいよね。


「おかえり~」


ミミ達のただいまに奥からコージが返事をしてくれた。にゃはっ突撃だよぉ~!



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