独り身はつらいよ
四機のメカが僕に向かってくる。先頭は緑色の機体ではなく青色の機体が僕の目を引くように急接近してきた。武装が分からないので、少し様子を見る。初見で強さも分からないので、アクセルで対応する。
青色の右手の先から、レーザーブレードが構成されていく。左手には光が集まっていくがそれがどんな武装かまったく想像がつかない。
バギィィン! ギギッギギギギ!
レーザーブレードを受け、青い機体と対峙する。脳への負担を考えこまめにアクセルを解除しながら戦闘している。青い機体は僕がレーザーブレードを軽々と受けきったと見るや即座に体勢を入れ替えてきた。うまくブレードを引きながら、僕を赤い機体の目の前へと誘導してきたのだ!
バシュュウウウゥウゥウウウウ!
赤いビームが僕へと向かってくるのが見えたので、バックステップで回避する。が、なぜかビームが僕を追いかけてきた!慌てて床を蹴り上げ天井から更に斜め下へと回避する。さすがに長時間出力できないようで、それでようやくビームを振り切る事ができた。だけど、回避した所には青い機体がすでに僕を待ちうけていて、直前に気づいた僕はなんとか青い機体のブレードを受ける事ができた。
「こんにゃろぉっ!」
常に青い機体が僕に貼り付き、僕の動きを制限してくる。この短い時間で僕の動きを読めるようになったのか、移動の頭を抑えられるように攻撃を仕掛けてきて、本当にうっとうしい。ふと他の機体が気になって見ると、緑色が居なくなり変わりに青い機体がもう一機増えていた。え、いや緑色が青色にチェンジしたって事?!
「うっとうしいのが増えた!」
一機が僕の動きを制限し、もう一機が僕に手傷を負わせていく。かと思えば両方一気に僕に攻撃してきたり、赤い機体の砲撃を誘導したりしてきて、侮れないコンビネーションを見せる。青い機体の左手の光は射撃武器らしく時々こちらに向けて撃ってくる。
ここは分身攻撃を仕掛けるか。この相手に四体一は分が悪すぎる。
「はぁっ!」
一気に五人の僕を青い機体一機に差し向け、四肢を切り裂く。返す刀でもう一機倒そうとした時、もう一機青い機体が庇うように現れ、倒し損ねてしまった。赤い機体が居なくなってるという事は、こいつらは敵に合わせて色を変えて戦うようだ。そして、青い機体は両腕の武装をレーザーブレードに変更して、僕の分身攻撃をなんとか凌ぎ切っている。やっぱりこの青い機体は厄介だ。
分身二体で一機を押さえ、残りでもう一機を倒そうとした瞬間また一機増えて阻止された。白い奴が青に変わったか?! いや、白は依然として距離を取ってこちらを伺っているだけだ。ならこいつはどこから来た?
「むぉおおおお!? 三機もいると本当に嫌らしいなぁっ!」
分身だけど、結局の所僕は一人なんだよね。さすがにここまで長引くとこちらの体力がやばくなってくる。
「“穿光”」
「ギル」にこの技はあまり向いてないけど、一旦距離を取る為に青い機体に向かって無数の突きを放つ。さすがにこれは捌き切れなかったのか大きく後退して白い機体の周りに集結する青い機体たち。その隙に僕も分身を解いて体力の回復に努める。
ここまでで分かった事は、ちょっとこいつら厄介だという事。色を変えてこっちが嫌だと思う方法で攻めてくるとか、今までにないタイプだ。しかもあの白い奴は修理をしてるはず。でないと、さっき四肢を切り飛ばした奴が復活するのは有り得ない。という事はあの白い奴から先に倒さないと駄目なんだけど・・・
「様子を見るだけで全く近寄ってこないし、絶対距離を取るんだよなぁ・・・」
他の三機は僕が動く度に目まぐるしく色を変えて反応するんだけど、白い機体だけは色を変えたりせずに距離を取る事に専念していた。とりあえずこれはどうだ?
「バーストガン!」
ダララララララララッ!!!
抜き手を見せないクイックドローで、二丁拳銃を連射する。だけど、緑色にチェンジした機体が弾丸をすべて止めて見せた。ホワイトファングのエナジーフィストのように両手をさっと振って一瞬で防御膜を作り出して防御してみせたのだ。
そして防御膜が消えた瞬間、赤色にチェンジした二機がビームをより合せる様に、発射してきた。
キンッパギィイン!
ビーム攻撃を見ていたので、アタックオプションを出していた僕は、赤色のビームを白色に向かって弾いたんだけど、すかさず緑色は防御膜を作り出して防いで見せた。さすがにこれぐらいじゃ隙を見せないかぁ・・・厄介だ! ならばっ!
「トルネードキィイイイイイイイック!」
間合いを一気に詰めて、範囲攻撃技を繰り出す。だけど、緑色一機ではこの攻撃を防ぎ切れないと判断したのか、三機がすべて緑色にチェンジし僕のトルネードを防ぐ。一機だと押していた攻撃は、三機になると逆に僕が押されて弾かれてしまった。そして弾かれて体勢を崩した僕へ即座に青色にチェンジした二機が襲い掛かってくる。
レーザーブレードを二刀流にして、まずは僕を弱らせるつもりなのか足や手を狙って攻撃の手を休めない。メカなだけあって、大振りな攻撃を続けても疲れないし斬り込んでくる速さは鋭さを増すばかりだった。防戦一方に追い込まれた僕は、少しずつだけど手傷を負っていく。ブレードは必死に回避してるんだけど、蹴りや体当たりを混ぜてくるのでどうしても食らってしまうのだ。だけど、ここは我慢だ。ある程度距離を取るまでは・・・
「ソニックナックル!」
距離が離れた所で、白い機体目掛けて殴りかかる技を仕掛ける。青い機体は置き去りにできたが、緑色の機体が白い機体を守るために目の前に飛び込んできた。
ガキィィン!
「トルネードキィイイイイイイイック!」
ソニックナックルは受け止められたけど、トルネードキックは一機じゃ手に余るはず。タイムラグなく攻撃する事で、青い機体が緑にチェンジして防御する暇を与えずに白い機体を畳み込めば、勝機はあるはずだ!
そう思って気合を込めてトルネードキックを続ける僕の目の前には二機の緑色の機体。その二機が僕の攻撃を防御し、追いついてきた青い機体が一気に天井へ飛び真上から蹴りを放ってきた。
「くっ、なんでっ?!」
蹴りを避け切れずに少し食らって吹き飛ばされながら、もう一度状況を確認する。目の前に緑色が二機に青色が一機、そしてその奥にいつの間にか白い機体がじっとこちらを見ている。白い機体は、常に離れた所から見ていて一度も変わってなかったから指示をする機体で色を変えられないと思ってたんだけど、そんな事は無かったようだ。となるとどれを狙えば良いんだ???
そうこうしてる間に、緑色の二機が青色へと変色していく。緑色は一機残しておくようだ。
深呼吸をして精神を統一し、心を落ち着ける。視線は動かさず一点だけを見ないようにして青い機体の動きを見逃さないようにする。そして、カウンター技を発動させる。
「八手撃」
全く同じタイミングで四本のレーザーブレードが僕に迫る。だけど僕は左側へゆるりと動くと一本のレーザーブレードをこちらのレーザーブレードで違う方向へ誘導する。ちょんと軽く流したように見えるが、すごい勢いで隣りの機体へと斬りかかる格好になる。勿論僕は誘導してすぐにもう一機へレーザーブレードを向けており、いきなり同士討ちとなってしまった青い機体はどちらへ対処しようかと一瞬動きを止めてしまい、そこを僕ともう一機に斬られてしまう。
ここで追撃すれば一機ご退場願えるのだが、八手撃のつらい所は攻撃されない限り攻撃しない事なのだ。それに確認が必要な事もあるので、このまま転がっている青い機体は放っておき、健在なほうへと向き直る。
向こうから手を出すように、すいっと無謀にも青い機体の攻撃範囲に入り込む。しかし、あまりにも自然な動作だった為か、青い機体は反応できずお互いのブレードがキンッと合わさってしまう。
向こうを見ると緑色の機体が青く変色していっている。一機が大破しているので慌てて機種変更してきてるのだろう。こんな状態であっても白い機体は距離を取ったままで動こうとはしない。大破している機体を背後に背負い、僕は相手の出方を伺う。
ズザッ!
ようやく今の位置関係に気づいた青い機体は、思い出したかのように間合いを取る。そして、変色を終えたもう一機と並んでこちらへ向き直る。一機が僕の前に出てきて時計回りに少しずつ位置を変えて僕の反応を見ている。だけど僕は微動だにせずまっすぐ前をみて背後に大破した機体を背負ったままである。そうすると今度はもう一機が反時計回りに移動を開始した。挟み込んで攻撃してきたら余計にカウンターの餌食なんだけどね。
時計回りに動いていた機体が僕の斜め後方に来て様子を伺っている。もう一機も同じように僕の死角へと回りこんでくる。今の僕の視界には白い機体だけしか映っていない。あーあいつが攻撃してきてくれたら楽なんだけどな。などと考えていたら白い気体が青く変わっていく。一瞬心を動かされかけたが、平常心を保つ。となると、白い機体はどこへ行った?
キンッ!ダラララララ!
いつの間に復活したのか転がっていた青い機体が起き上がり、背後から攻撃を仕掛けてきた。だけど背面も僕のカウンターの範囲なので、即座にバーストガンを持つ手でレーザーブレードを受け流し、バーストガンをしこたまお見舞いしてあげた。
弾丸はいくつかめり込みはしたけども、致命傷とはならずそのまままた距離を取る。背後を振り返ったおかげで分かったんだけど、白い機体はこちらへと移動していた。移動というかチェンジか。だけど、それも目の前で青色に変わりつつある所を見ると、また向こうへと変わっていってるようだ。
これは長引く戦闘になりそうだ。