さぁこれから!
判定はすぐに済んだ。
そもそもが僕の事を知ってる人に判定させるのは、間違いなんじゃないの???
「こっちは判定する人は能力で選んでるだけだもの。まさか全員あなたの事を知ってるとは思うわけないじゃないの。それに、私が見ても凄い事が分かるから問題ないわ」
「じゃあ僕はBランクって事で問題ないって事ですよね?」
「ええ、問題ないわね。戦闘に関しても学園に問い合わせたら、あなた成績は良いそうじゃない。本当いうと戦闘能力も確認させて貰う予定だったんだけど、それも免除よ」
え、何故に学園に問い合わせなんかしてるんです?!
「セリナが教えてくれたのよ。先に学園側に成績の問い合わせをして下さいってね。というわけで、はいこれランクアップおめでとう」
「やたっ! ありがとうございます!」
ようやくギルド証をゲットできたよぉ。なんというか、ここまでくるのに無駄に長かったよね。セリナさまさまだね! 普通に生活する分には別にギルド証なんて物は要らないんだけど、これがあれば金策するのに便利なんだよね。割の良い仕事や、討伐依頼なんてものは個人で探そうとしたらやっぱり時間かかるだろうしね。
「コージさん、このお茶菓子もっと無いの? おみやげに持って帰りたいんだけど」
「あ、僕もお願いします」
「できれば、私もお願いする」
作るのに手間がかかって面倒くさいけど、大好きなマカロン。お茶請けに出したんだけど大人気なようで嬉しい。まぁセリナ達も大好きだから当然の結果だよね。むふー。この世界じゃお砂糖って高級品だから余計あまいお菓子ってみんな喜ぶってのもあるけども。
「えぇ!? 駄目よ、みんなに上げたら私の分が無くなっちゃうじゃない?」
「まだたくさんあるでしょ? それにまた作れるから、母さんはできたて食べたらいいじゃん?」
「んー・・・じゃあクレープも作って。チョコバナナ」
「それぐらいなら作って上げるから、我慢ね」
「はぁい」
なんか最近、母さん見た目に引きずられてないか? 手間がかかるのに変わりは無いから別に良いんだけど、時々どっちが年上か分からなくなってしまう。父ちゃんが居るときは年相応というか母さんっぽいから、たぶん悪乗りしてると思うんだけど・・・
「コージ君、こんな若い子が母さんとか何の冗談だい? 継母なのかい?」
「そうよ、こんな若くて可愛い子が母さんとか、あだ名にしてもひどくない?」
「・・・・・・」 ←だまってマカロン食べてる。
これか。絶対これを皆に言わせたいが為に、幼いふりをしてるなこんにゃろ。
「若いだって、可愛いだって、うふふぅ~どう? コージどう? 母さんまだまだいけるわよ!」
スパコォーン!
「ちょっと!?」
勢いよく母さんにハリセンで突っ込んだ僕に非難の声をあげるティナさん。だけど、これはお約束なのですよ、お約束。
「まだまだ何処に行く気だよ! 皆をからかってないでマカロン包んで持ってきて。悪ノリ禁止!」
「はぁい。ちぇ・・・」
僕と母さんのやり取りに唖然としてるトレイルさんとティナさん。そして、してやったりとほくそ笑んでる母さん。何時まで経ってもちやほやされたいらしい。
「ねぇ、なんでお母さんあんなに若いの???」
「継母なんじゃないのか?」
「いや、正真正銘あの人は僕を産んでくれた母さんだよ。若いのは・・・そうなっちゃったとしか言いようが無いんだよねぇ」
最近は家に居る事が多いので、家事を覚えようとしてたみたいだけど仕事はともかく家事だけは相性が悪いようで、今では方向転換して魔法を使って家事をしよう! みたいな努力をしているみたい。わが母親ながら何を考えているかさっぱり分からない。
「ふぅん、まあ良いわ。またこのお菓子・・・マカロンだっけ? 貰いに来るからちゃんと作っておきなさいよ」
「ほどほどにしてよね。僕たちも良く食べてるし」
ミミが特に大好きなんで、無くなったら一大事だ。この世界で売ってないお菓子だしね。まぁトレイルさんにはちょくちょくお土産に持って行っても良いけども。いつもお世話になってるもんね。
「コージ君、よろしく頼むよ」
またもや無駄に格好良いポーズを決めながら、お願いしてくるトレイルさん。なんというか、毎日ポーズの研究でもしてないとここまで華麗に決められないよね???
「はいはーい、おみやげ持ってきたぴょん。早く帰りなさーいだぴょん」
「かっ、なっ?!」
母さんなんて事言うかなぁって言おうとしたけど、戻ってきた母さんの姿を見て絶句。なんでうさぎコスしてんだっ?!
「・・・えっとお邪魔しました」
皆が呆気に取られる中、唯一そう言ってのけたのはティナ。だけど、その視線は母さんに釘付けだ。なんかプルプルしているのは、笑いをこらえているんだろうか? 皆はしっかり母さんからお土産を受け取って、静かに帰っていった。
「これで邪魔者は消えたぴょん! さぁ、クレープ作るだぴょん!」
「あんたはそれでも母親かぁあああああああ!!!」
「きゃー」
あんな母さんが居ると確実に、僕の評判も急降下しちゃう。はぁ、と一つため息を漏らしてしまう。まったく母さんには参るよ。
コージの部屋には色々な物が置いてある。レアメタルことドゥエーリンで作られたフレームの模型や、今までに狩って来た魔物の素材、ノーミスや月光などの武器の予備。そしてお蔵入りになっているアバターシステムなどの今まで造ってきた物や、造りかけの物までところ狭しと部屋に置いてある。意外とこまめな性格なのか、きちんと棚に分類して整頓されており、物は多いが清潔な印象だ。
その部屋に一人侵入者が音も無く入って来た。
きょろきょろと部屋を見渡すと、ある一点に目を止めそちらへと移動する。その先にはコージの記憶を保存するオーブがあった。それに手をかざした侵入者はにやりとほくそ笑んだ。
「ホワイトファング、調子のおかしい所はない? 大丈夫とは思うけど」
「うむ、いい調子じゃぞ主よ。長い間動いてなかったせいで、感覚もぼけておったようじゃな。整備される前と後では、まったくもって調子が違うぞ」
そう言って、自分の動きを確認するかのように手や指を動かすホワイトファング。そういえば自律機能あるんだよね。ゴーレムに毛が生えたようなフレームだと単純な動きを指示する事はできるけど、フレームに関して言えば自律機能を持った奴を見た事は無い。「777」のルーツでさえ、そういった事はできないようだった。
「ホワイトファングってかなり特殊なフレームだよね」
「ん? いまさらどうした?」
「しゃべるし、人型にかわるし、勝手に動くし。フレームの規格からかなりずれてるんじゃないの?」
「フレームを殲滅する為のフレームじゃしな。それに成長機能もついてるのもわしぐらいじゃないかのぉ。ただ、会話するフレームは結構居るはずじゃぞ」
フレームを殲滅する為って、普通フレームはフレーム同士で戦うもんじゃないの?
「ふむ、そういえばそうじゃな。じゃがわしのコアにはフレームを殲滅するという目的が刻まれておるだけで詳しい事はわからんのじゃ。おかしなもんじゃなぁ」
「なにか他に情報はないの? 例えば、どんな国があってどこと争っていたとか」
「そういうのは無い・・・な。そもそも国が分かれておった覚えは無いしの。主が現れるまではスリープモードで待機せよという命令は覚えておるが、肝心な事はブロックされとるようで、まるで思いだせんな」
フレームが作られた時代の歴史とか聞けるかとも思ったけど、無理かぁ。ホワイトファングを造った人はどうやら余計な情報を与えなかったらしい。与える時間が無かったのかもしれないけど。
「まぁ、なんにせよ調子は良くなったんだね?」
「うむ、感謝するぞ」
そして、ばしゅっと光ったかと思うと白夜に戻っていた。
「ん~~~~っ! たった一日この姿になってないだけで、懐かしさを感じるのはおかしなもんじゃなぁ」
「最近、白夜で居る方が多かったしそっちの方が可愛いから、良いじゃんない?」
「っば!? か、かかか可愛いとか当たり前じゃ! 不意打ちでそんな事いうなぁ・・・」
顔を真っ赤にして怒る白夜。前に自分で言ってたのに、言われるのは慣れてないんだね。なんか、もじもじする白夜や弱気な白夜が凄く可愛く感じてしまうんだけど、僕ってサドだったんだろうか・・・
違うよね! きっとギャップ萌えしてるだけだよね! そうだよね?!
「ん? 何を葛藤しとるのじゃ主よ?」
「いやいや大丈夫だよ、僕は普通だよ?」
「? まぁいいわ、では早速じゃが今日はどうするのじゃ?」
「ホワイトファングの武装の研究をもう少し突き詰めたいんだよね。金策君がお金を稼がないと、フレーム製作が進まないから少しでも知識を深めておきたいんだ」
今はフレーム製作の事だけを考えてられるので、時間はたっぷりある。時間は有限だし有効に使っていかないとね。金策君がBランクを取れてるなら、遺跡に行って金策のお手伝いしに行くのもありだけど、それは根っこがするだろうしね。
「グラビティ機関を出しとけばいいのか?」
「うん、お願い。重力を操れるようになれば攻撃も防御も自由自在だからね」
理屈はわからなくても、どの部品がどういった役割を持っているかをしっかり把握しよう。