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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ステップ!
150/293

Bランクへの道のり

「地に住むわしらには到底考え付かんのぉ、これは」

「僕は逆に飛ばない方がおかしいと思いましたよ」


エレメンタルフレアでガドさんの村ベノアへと向かう。竜王のお膝元という場所なだけあって、山をいくつも越えた先にその村はあるらしい。


「しかし、空からじゃ少し分かりにくいな。だいたいの目印しかわからんぞ」

「少しぐらい迷ってもすぐに引き返せますから、迷ったと思ったらすぐに言って下さいね」

「おう、わかった。とりあえずこのまま真っ直ぐに頼む」


真っ直ぐと言われたので、レバーを操作し更に加速させる。ドンッと言う音とともに、シートにぐっと抑え込まれる。急な加速にパニモアが苦しそうに悲鳴をあげている。あああ、パニモアの事忘れてたよ。ごめんよ。


「この空飛ぶ奴もコージが作った奴なんじゃろ? こんな小さい翼でなんで飛ぶんじゃ?」

「翼は気持ち程度ですよ。少しは浮力がつくけど、ほとんどがジェットでゴリ押しで飛んでるみたいなもんです」

「てことは、魔力が無くなれば落っこちるって寸法か?」

「そんな感じです。だけど、僕はこれぐらいなら減るより回復する方が早いから落ちる事は有り得ないですよ」


なんというか、僕は魔力の回復速度が凄いからね。でも最初の頃と違って、普通の人でもそんな簡単に落ちてしまうような燃費の悪さじゃなくなっている。ハーベイさん、さまさまである。


「おう、見えた。あそこじゃ、あの山の裾にある所がわしらの村じゃ」


ガドさんが指差した先には、小さな村が見えた。山に沿うような形で家のほとんどが斜面に面して建てられていた。住居兼仕事場みたいな感じなのかな。


「川そばの空き地に下りてくれるか?」

「了解」


山をいくつも越えてきたので、ロバスから三十分って所でベノア村に着いた。ん? 遠くに翼竜がこちらを警戒しつつ飛んでいる。空飛ぶフレームは翼竜にとっては、あやしい縄張りを荒らす奴に見えるんだろう。何かある前にさっさと降りるとしますか。


「で、すぐに竜王に会いに行くんか?」

「いえ、今日はとりあえず村の場所を知りたかっただけですから、すぐに帰りますよ」

「そうか。あ、そうじゃリックの奴に次は五日後に行くと伝えてくれるか。すっかり言うのを忘れておったわ」

「あ、分かりました。それでは、また時間ある時に来ますね!」

「おう! 待っとるぞ!」


ガドさんとパニモア車をそっと降ろして、離れたのを確認してからエレメンタルフレアを離陸させる。まだ翼竜が警戒してうろうろしているので、さっさと帰りましょう。一気に最大戦速まで加速し、緊急加速も追加する。


ゴドンッ!!!


すごいGが僕を襲うけど、これがまた心地良い。こんなGの中で戦うのは結構辛いものがあるんだけど、実際に味わうとこれはこれでアリかなって思ってしまう。うろうろしていた翼竜もあっという間に、視界の外へと消えていった。


かなり速度をだしたおかげでロバスにはすぐに帰ってこれた。東ブロックへ着くと、今日は良く知っている門番さんだったので通行許可証を出さなくても通してくれた。フレーム毎でも入れてくれるぐらい、仲良くなってるからね。最初にロバスに来た時のあの書類の苦行が今では懐かしい。懐かしいだけで、またやりたいとは思わないけどね。


エレメンタルフレアを家に置いてすぐに、リックさんのお店へ行きガドさんの伝言を伝える。どうやらリックさんも次回の入荷を聞きそびれた事を後悔していたようで、僕の伝言をすごく喜んでいた。あっちこっちへ行ってると、ギルドに行く時間が迫ってきた。少し早いけど、待ちきれそうに無いのでギルドへと行く事にした。


冒険者ギルドは大通りに面した一等地に建っており、かなり目立つ。依頼をする人こなす人が行き交い、昼間もかなり混雑している。やっぱりロバスぐらい大きな町になるとギルドを利用する人がかなり多いのが分かる。


開けっ放しになっている正面玄関の入り口をくぐり、さっそく受け付けへと向かった。丁度僕を待っていてくれたのだろう。ミランダさんが僕に気づいてにっこり微笑んでくれた。


「ミランダさん、今日は。来ちゃいました」

「今日はコージ君。もう少し待ってね、そろそろ来る頃だと思うわ」


今日は何時判定が行われるかが分かるという事なので、僕としては判定してくれる人の所に出向いてでも良いからなるべく早く済ませたいと、ミランダさんに伝えた。


「本当にせっかちね。慌てる人は損するって言わない? まぁ、そんなに慌てなくても大丈夫よ。すぐにでも判定してくれそうだし」

「え、本当ですか?」

「ええ。今回頼んだ方たちにあなたの名前を出したら、どうもあなたの事を知っているようで、二人はすぐにでも太鼓判を押しそうな勢いだったわよ?」


え? そんな凄い人と知り合う機会なんてあったっけ・・・? フレームはハーベイさんやリックさん、魔法で言えばトレイルさん。マジックアイテムに関して言えば知り合った覚えは無い。


「ほら、来たわよ。奥の地図の横にある扉からこっちに来てる四人組みよ」

「えーっとぉ・・・」


あ、無駄に歩くだけでも格好良い姿はトレイルさんだ。他は・・・あれっ? あの子はリュートと一緒にいた女の子だ。あの子も判定してくれる人なの??? 他は知らない人しか居ないし、どうゆう事だろ? トレイルさんが魔法の判定してくれるのは分かるんだけども・・・


「やぁコージ。ランクスキップしたいそうじゃないか。というか君がギルドで活躍していない方が驚きなのだが」

「今まで何故かギルドに入ろうとすると、横槍が入ってばかりで最近になってようやくギルドに登録できたんですよ」


なんか誰かが呪いでもかけてるんじゃないかってぐらいギルドに辿りつけなかったもんね。


「はい、お久しぶり。覚えてる?」


僕とトレイルさんが仲良く話している中、ぶったぎって挨拶をしてくる女の子。ええっと・・・


「ティナさんだっけ???」

「そうよ。ティナで合ってるわよ、へたれのコージさん」


ぐはっ、何気に毒舌だよこの子。まぁ知る限りリュート以外にはツンツンしている人だったし。リュートは最近どうしてるんだろ?


「大丈夫よ。ちゃんと勇者をやってるわ。なんというか、本来のリュートらしい性格に戻ってて、毎日楽しそうよ」

「そっかぁ。グッドラックはうまくやってくれたんだねぇ」


まぁお咎めなしとはいかなかったみたいだけど、リュートは限られた中でうまく勇者をやってるようだ。


「で、私はアイテム士なわけ。自分で言うのもなんだけど新進気鋭の大人気アイテム士って事で、アイテムを見る目を買われて今ここに居るわけ。理解できた?」

「へぇ。知らなかった」


だから、すぐに「ギル」の便利さに目を付けてリュートに上げたって訳なのか。それにしてはグッドラックは見逃してたみたいだけど・・・


「まぁ、私も精進しなきゃ駄目って良く分かった訳よ。あんな大事なアイテムを見逃すなんて大失態だったわよ」

「そのせいで僕の「ギル」に目を付けられちゃったしね」

「男がいつまでもネチネチうるさいわねぇ。で、今日は何を見せてくれるわけ?」


なんというかマイペースな女の子だよね、この子って。


「いやいや、待ってください。私がまだ自己紹介してないですよ。どうも、初めましてハーベイさんからお噂はかねがね伺っております。オーロ=ペリカンです」

「あ、ハーベイさんのお知り合いの方ですか。初めまして、コージ=H=アースです」


あれ? ペリカンって何か聞いたというか見た覚えがある・・・?


「ペリカン商会の若?!」


ティナがなんか驚いてる。あぁ、そこかしこの商売を手広くやってる商会の名前が確かにそんな名前だったよね。その名前を見て配達業がこっちにもあるのかと勘違いしたから、覚えてるんだよね。


「まぁそんな風に呼ばれる事もありますね。だけど、フレームに関してもこれでも結構うるさいんですよ?」

「そうですよね。意外と知られてないんですが、建設の為のフレームやロバス内を走るバスとかも若の発案だと伺ってます」


そこでミランダさんが補足説明してくれる。へぇ、この人がそんな事してたんだぁ。すごいなぁ。ていうかこの人がフレームの判定をしてくれるんだ。


「まぁハーベイさんから飛行ユニットについて聞いてますからね。あんな凄い物を造れるっていうんですから、それは腕の方はもう間違いないですよ、はい」

「どうもありがとうございます」


飛行ユニットに目をつけたという事は、やっぱり町から町へ配達する事を考えてるのかな? 空をぱぱっと飛べば、あっという間に移動できるし操作さえ覚えれば魔力が普通な人でも使えるしね。転移陣を使える人って少ないからねぇ。


「えっと、ここではなんですので僕の家に来て貰って構いませんか?」

「私は構わないぞコージ君」

「お茶ぐらい出るんでしょうね?」

「はいはい、行かせて頂きますとも」


それぞれの思惑はどうあれ家に来てもらうのは大丈夫なようだった。


「私も見届け人として同行するわね、コージ君」


ついでにミランダさんも来てくれるようだった。


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