めざせ複数同時攻略!
五人の僕達を見て、失神しちゃったセリナが起きるまでに魔法で増えた僕に変装させる。じゃないとまたセリナが失神しちゃいそうだしね。で、ついでに他の皆も部屋に呼んでまとめて説明する事にした。
「分身魔法、ですか・・・」
「そう分身魔法。やりたい事一杯だから、一人じゃ身体が足りなくて。ついやっちゃった」
学校に行く僕がメインなので、僕の姿はそのままにしてある。他のメンバーは事前に変装させておいたので、セリナ以外は不審そうな目で見ている。ていうか、アニメのキャラまんまに変身するとか、僕って意外とお茶目だったんだなぁ・・・
「で、こちらのコージと似ても似つかない人達もコージという訳ですかぁ・・・」
「魔法使ってるのかな? 全然コージって分からないねぇ」
見た目は全然違うから戸惑うのも無理はない。セリナは一度五人の僕達を見ているので信じて貰えるとは思うんだけど。
「ねぇねぇコージィ、分身なんてできるって事はぁミミもセリナもコージを独り占めできるって事?」
「!?」
ミミの台詞にびくぅ! と背筋を伸ばすセリナ。そして、肉食獣の目で僕を見る。うおぅ。
「できるけど、それは止めておくよ。あっちこっちで僕が居るってなったら、騒ぎになりそうだしね。セリナとミミと同時デートとかしたら、絶対に目立つし」
「でもでも、家の中なら平気でしょ? ね? ね?」
「そりゃ平気だけど、これ以上増やす気はないよ? あまり増やしすぎると訳がわかんなくなりそうだしね」
流石にこれ以上の分身は、魔法に慣れるまでは難しそうだ。やってやれない事はないだろうけど、制限つけとかないとミミが暴走しそうでやばい。
「ちぇ・・・でも、増えてるならいっか」
ミミは本当にポジティブだなぁ。
「というわけで、今僕は五人いるのでよろしくね。家には常にこの二人が居るからね。でも貴族の監視しているから遊びに誘ったりしないようにね」
「そうそう。交代で寝てるからなるべくそっとしておいてくれたら助かる」
監視の一号と二号がしゅたっと同時に手を挙げ、さっそくコンビらしい動きをしている。自分と意思疎通できるように、リンク魔法を繋げているのでこれぐらいお茶の子さいさいなのだ。魔法で繋げていれば遠く離れていても融合ができるし、何かあっても全員あつまって対処できるから発動させない訳には行かないのだ。
「で、一人はギルド証を取りに行くからセリナにランクの簡単な上げ方を教えて欲しいんだ。さくさくっとBランクまで上げて昼間も遺跡で稼いでおきたいんだ」
「そうゆう事でしたら、任せてください。コージさんなら三日もあればBまで行きますよ」
「助かるよセリナ、ありがと。で、フレームを製作する僕なんだけど資金が集まらない事には動きようが無いから、最初の内はハーベイさんにフレームについて教えて貰ったりエンジンの水晶みたいな奴の作成をお願いするね」
小型8型エンジンを三個積みたいからね。予備のエンジンもあったほうが良いからじっくり時間をかけて作っておいて貰おう。くそぉ、フレームを作る僕が一番楽しそうだ・・・
とか考えていると、他の僕も同じようにフレーム担当の僕をじっと見つめていた。
「うむ良くわかった。全員間違いなく主じゃな」
僕達の視線が何を意味するか分かったのか白夜がそう宣言する。今まで疑ってたの???
「まぁ主のパターンと情報はすべて一致しとるから間違いないのは分かっておるのじゃが、それはそれこれはこれじゃ。ここまでフレーム好きなのは主に間違いない」
「そんな所で僕って認識されるのもなんだかなぁ・・・」
でも、フレームの事を考え出すと気持ち悪い感じになるそうだし。ロボットに憧れが強い分どうしてもそうなっちゃうんだよねぇ。
「えっと、これからもコージだけ相手していたら良いって事でいいのかな?」
「その相手っていうのが変装していない僕って事なら、その通りだよミミ。ほかの僕は同居人が増えたってぐらいに考えてくれたらオッケ」
「お食事とかはどうされるんです?」
「適当に自分たちで調達するよ。それぐらいはできるし。ただ、台所を使ったりはするかもしれないから、そこは勘弁してね」
「いえいえ、良ければお作りしようと思っていたんですが、それは良いんですね?」
「うん、大丈夫だから心配しないでね」
基本的にフレーム担当が食事の手配をすべて面倒みるだろう。一番好きな事をしてるんだし、当然だよね!
「うひひ、夢中になって忘れたらごめんね☆」
「「「「ゆるさん!」」」」
「ちぇっ」
でもまぁ、僕の事だからフレームに夢中になって忘れる事もあるだろうなぁ。でも、なんとかなるでしょ。
「というわけで、よろしくね!」
こまめに融合しておかないと記憶の共有ができないから、気をつけよう。でも、融合無しで共有できるように考えておく事にしよう。
師匠との朝練の前に、剣技の確認の為に分身を作り練習をしておく。技を知っていても身体に馴染ませておかないと、いざって時に使えないし思いつかないんだよね。つくづく僕は習うより慣れろなタイプなんだなって思う。
「うーん、まさか残像が出るほどの速さを身に付けてるとは」
残像分身多重攻撃。ファントムアタックという剣技は、高速で動いて六体の分身を作り出し前後左右から攻撃を加えるもよし、四肢を拘束し大きな一撃を加えるもよし、同じ技を同時に繰り出して威力を底上げしたりなどの攻撃方法を取る事ができる。勿論、回避にも応用できるので攻防ともに役に立つものなのだ。だけど、自分がここまで素早く動けるとは思わなかったなぁ。あはは~・・・
「ハルトにはこの技かなぁ・・・」
夢幻剣。ゆっくりとした動きで剣を下からゆらゆらと振り上げ、敵に向かって振り下ろすと言うだけの技なんだけど、剣をゆらゆらと振る動作が相手を束縛する効果をもたらす。束縛が効かない時もあるけど、一撃の威力がすごい事になるので避けられたとしても相手に恐怖を与える事ができる筈。一対一用の剣技だがハルトには向いているだろう。必殺技ともいえる技があれば、戦い方も幅が広がると思う。
後もう一つがハルトのスピード不足を補う技だ。
ショックインパルスという技で範囲攻撃なので、使い所は気をつけないと駄目だけど範囲にいる敵をしびれさせる技だ。ハルトのような大剣持ちで無いと使えない技である。気合を剣に込めて、発声と共に気合を解放する技だ。これだけの説明だと普通のブロードソードあたりでもできそうな気もするんだけど、両手で持つ程の大剣でなければ、何故か技が発動しないのだ。モトネタのせいなんだろうな、きっと。
そして一撃の威力がかなり軽めのレイには、カウンター技の八手撃を覚えて貰おう。これは技と言うより状態と言う方がしっくりくる。この技は一対一のカウンターを想定するのではなく集団の中に突っ込んでいき、囲んだ敵の攻撃の全てにカウンターを合わせるのだ。だけどこの技にも注意が必要で、効果範囲の攻撃は相手が誰であろうとカウンターしちゃうのだ。無いとは思うけど、うっかり攻撃しちゃったらすかさずカウンターが来るんだよね。
素早さはかなりの物だし動体視力も悪くないのでカウンター使いになるにはもってこいでしょう。あと一つ大事な度胸の方はいつもひょうひょうとしているので、分かりにくいけどたぶん大丈夫でしょう。
セシリアは・・・どうしよう。速さはそこそこ、一撃の威力もそこそこ。攻撃の正確さはかなりの物があるので、それを活かした技を覚えて貰おうかな。得物もレイピアだから丁度良いし。呪言剣って言ってネーミングが怖いんだけど、やる事は魔力をこめた剣で敵に文字を刻むというものだ。文字も色々あり効果がそれぞれ違う。この技の便利な所は効果を選べる事と、一度に文字を刻まなくても少しずつ刻んで行き、最終的に文字を全て刻み込んだ時点で効果が発動するという点だ。ただし、正確に文字を刻まなければならず結構難しい剣技なのだ。
こんなものかな? 朝練に行ってる僕が戻ってくるまで、練習しとこうか。技を教えるのに失敗したら恥ずかしいもんね。